ジェフェリ版ソル全集
注文していたフェルナンド・ソルの楽譜が届いた。

英TECLA社から出ているソルの全集。TECLA社を主宰するブライアン・ジェフリーの編纂によるもの。ソルの作品が作品番号順に全11巻に収められている。 実はコロナ禍が始まった二年前の春、在宅勤務シフトが増えたことで仕事を差し引いても自宅で過ごす時間が多くなり、かつ通勤時間が削減されたことでギターを手にする時間が増えた。折角のチャンスだから、災い転じて何とやらではないが、以前から気になっていた楽譜をいくつか取り寄せた。その際、このソル全集も候補に挙げたのだが、TECAL社に問い合わせたところ、先方もコロナ禍影響で業務が滞り、出荷を約束できないという返答があった。仕方なく諦めるか、半世紀近く前、世界に先駆けてソル全集として発刊された中野二郎編に敬意を表して、以前から何冊か手元にある同編を買い足すか迷っているうちに、そのままうやむやになっていた。最近になってあらためてTECLA社に問い合わせると現在は出荷可能、製品はダウンロードによるオンライン版へ移行し、製本ベースの従来品は在庫僅少とのこと。昭和感覚のギター弾きとしてはやはり製本ベースを手元におきたいと思い、早速同社のサイトから注文を入れたという次第。
昨今、フェルナンド・ソル(1778-1839 )の楽譜のほとんどがデジタルアーカイブで閲覧できる。今更紙ベースの新規購入は不要では?という声もあるが、こうして手元において広げてみると、見やすさやアクセスの容易さは他に代えがたい。編纂者による差異を仔細に見比べる程の見識も時間もないが、編者ジェフェリ氏はソルに関する伝記を書き、従来出版されていなかった作品を世に出すなど「ソル愛」に溢れる編者で、その熱意と誠意もこの版の魅力ではないかと思う。現在、信頼に足るソル全集となると現代ギター社から出ている中野二郎版(全13巻)かこのジェフェリ版(全11巻)の二択のようだ。価格は両者あまり変わらない(ジェフェリ版は118ユーロ≒1万6千円+送料)。大きな違いは、中野編が練習曲、ソナタ等ジャンル別にまとめているのに対し、ジェフェリ編は作品番号順に並べている。楽譜の見やすさは個人によって感じ方は異なるだろうから一概には言えないが、中野編の方が五線、音符ともジェフェリ編より大きめ。玉や旗の感じも中野編は見慣れた日本の楽譜と感じる。もちろん、いずれも運指等の記述はなく、すっきりとしていて見通しがいい。
クラシックギターを手にしてから半世紀。今更ながらのソル全集。勝手に自己見積した、残された健康寿命二十年の友として、ソルの作品を楽しもうと思う。
このところ大盤振る舞いが目立つ廉価盤CDボックスセットの雄・ブリリアントクラシック社のYouTubeチャンネル。クラシックギターの音源も充実している。以下はソル「練習曲全曲」。
同 「幻想曲全曲」
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