K・ベーム&BPO モーツァルト交響曲第25番ト短調
五月半ばの週末日曜日。このところ関東地方は梅雨の走りのような天気が続いていたが、きょうは好天。午前中に野暮用少々、昼からはダラダラと過ごす。ダラダラついでの音盤タイム。先回のベーム盤モーツァルトで思い出し、この盤を取り出した。

カール・ベーム&ベルリンフィルによるモーツァルト交響曲第25番ト短調。1968年ベルリンイエスキリスト教会での録音。数年前に手に入れたベームのボックスセット中の一枚。
モーツァルトの交響曲というと第36番以降の数曲がもっとも有名で、次いで先日の記事に書いた第35番「ハフナー」や第31番「パリ」が並ぶ。そんな中、第25番はそうした一連の流れに紛れるのは不本意だと、曲自らが主張するように、一頭抜きん出て存在するように感じる。数少ないモーツァルトの短調作品の中にあって、第40番や弦楽五重奏曲と同じト短調の傑作として人気が高い。
80年代以降、ピリオドアプローチの隆盛でこの曲のイメージも随分と変わったような気がする。多くのピリオドアプローチに聴くこの曲は、疾走するエネルギーと劇的なディナーミク、時に過剰なセンチメタリズム…そんな印象を受ける。それに対してこのベーム&ベルリンフィル盤はすべてが対極にある。疾走には程遠いテンポ、大型のオケで恰幅はいいが力による激情は一切なく、耽美な歌も聴こえない。今となっては遅めのテンポ設定で、フレーズのルバートもなく淡々としたディナーミクで進む。万事が無骨で素っ気ない。しかしその素っ気なさがじわじわとこちらの琴線に迫り、やがて言い知れぬ悲しみに包まれる。名曲にして名演の得難い録音だ。
この盤の音源。全4楽章。第1楽章提示部繰り返し有り。4分50秒から展開部へ。
吉田秀和「名曲の楽しみ」1981年 ベーム追悼として第25番、第40番を取り上げている。(音声はモノラル)
1978年ウィーンフィルとの演奏
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