最近弾いたギター 2022年初夏



久しぶりの楽器試奏ネタ。最近弾いたギター・シリーズ(そんなものあるのか?)。五月の業務が一段落した先日、都内での仕事を少々早めに切り上げ、夕方二日続きで池袋・要町からのぉ~上野・入谷と巡ってきた。以下、記憶が失せないうちに簡単に備忘を記しておこう。


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要町GG社で弾いたのは以下の3本。

 ドミンゴ・エステソ 1929年
 ホセ・ルビオ 1992年
 クリストファー・ディーン 1992年

お目当てはエステソ。事前情報では状態すこぶる良好とのことで、お持ち帰りとなったらどうしよう…などどあらぬ妄想をしながらGG社のエレベータに乗った。その日はGGサロンがイベント中ということ3階ショップで試奏。エステソは昨年までラミレス2世が収まっていた湿度調整付きケースに鎮座していた。ケースから取り出してもらったエステソを慎重に受け取る。予想通りの軽さ。そして1929年作というのが信じられない状態の良さに驚く。どうやら塗装は塗り直してあるようだが、それを割り引いてもきれいだ。表板の変形もなくキズも少ない。胴内部もホコリの欠けらすら見当たらず、ラベルも新品の様。こんなオールド・スパニッシュは初めてだ。シープレスボディから放たれる音は実に軽く発音し、アタック音を伴なってポーンと立ち上がる。低音ウルフは当然低めでF以下。ドンと鳴るが、これも重量感は控えめ。高音域と音調を合わせたかのように軽く鳴る低音だ。高音域は12フレット越えのハイポジションまでストレスなく反応する。やはりサステインは短めで、立ち上がりのアタック音にエネルギーが集中する感じだ。いわゆるフラメンコギター風の鳴り方だろうが、全域で凹凸なく均一でストレスなく鳴る。デッドな空間でゆったりをメロディーを奏でようとすると、少し気分が乗らないかもしれないが、それにしても、楽器の物理的状態が素晴らしく、こういう音色が好みであれば価値ある一台だろう。

続いてみたルビオ、ディーンは大きなくくりで言えば同系列の楽器。いかにも60年代以降のモダン楽器という風体で剛性感のある作り。しっかりしたタッチで弾けば良く通る太い音で発音する。ルビオの方がやや鋭い高音を持っていたが、もしかすると弦がカーボンだったかもしれない。ちなにみルビオのラベルには修業時代のサイモン・アンブリッジのサインがあった。ポール・フィッシャーやカズオ・サトウのサインは見たことあるが、サイモン・アンブリッジのものは始めてだった。


202205_Aura.jpg


翌日は上野アウラへ。こちらも久しぶりだ。日比谷線入谷駅で降り、国道4号線を少し北に行ったところで左折。アウラを訪れた海外製作家が興味を示したという江戸指物店の横を過ぎると見慣れた看板が現れる。この日は事前に連絡しておいた以下の3本を拝見した(写真ではレンズ歪で大きさ・形がかなり変化してしまった)。

田邊雅啓 2022年作 サントスモデル
箭内ショウイチ 2022年作 ハウザーモデル
デイヴィッド・ホワイトマン 2013年作 トーレスモデル

まずは田邊サントス。
実は少し前に田邊氏から「アウラに新作2本を納品した。HPには載せていないようだが、1本はすでに売れた。もう1本サントスモデルがまだ在庫していると思うので、時間あればぜひ試奏してインプレッションを聞かせてほしい」と聞いていた。 慎重にチューニングを確認し、ゆっくりと低音域のスケールから弾き始め、次第に高音域に移る。低音はドッシリとした重量感があり、胴共鳴だけの軽いボンッで終わらない。そして高音はカリカリッと鋭い立ち上がり。アタック音だけでなく十分なサステインも伴う。音質もピュアでメロディーがきれいに歌える。これはいい!思わず小声で叫んでしまった。 

次に弾いた箭内ハウザーも大健闘だった。
田邊サントスから持ち替えると、一聴して全体的にややマイルド。低音ウルフはG辺りだが、あまり目立たない。高音は田邊サントスのようなカリカリ感は控えめだが、全体的にみたらバランス良好と感じた。さらにしばらく弾いていると耳が慣れてきたのか、マイルドな高音も反応よくレスポンスし音量も十分。低音もそれほど強靭でもふっくらでもないが、全体バランスの中では必要十分なエネルギーで不足はない。工作精度もぼくのような素人目には十分精緻に見えるし、磨き過ぎない落ち着いた塗装の具合も非常にいい雰囲気だ。これで上代30万は破格値。そう断言できる。

続いてホワイトマントーレス。
2013年作。松の表板、シープレスの横裏共に色白。その外観通りのイメージで、軽い発音でポンポンと鳴る。反応良く音量もある。低音ウルフはE付近だが、やはり軽い共鳴音主体の音で、重量感や強さはない。この辺りが同じ低いレゾナンスを持ちながら印象の異なる田邊サントスとの違いだ。高音もやや短めのサステインでコンコンと良く鳴る。表板はかなり薄いのか、高音域のいくつかの音に凸凹があって均一性は今一つ。ホワイトマンの楽器はこれまで何本か所有したり、試奏したりしたが、ときに工作精度の甘さが気になることがあった。しかし、この個体は良く出来ていて、眉をしかめるような所はなかった。弦高他細かなセッティングも良好。もしかしたら後から手が入っているのかも知れない。

この日、アウラのショーケースには他にも尾野薫の新作他も鎮座。コロナ禍以降、室内遊戯系のビジネスは活発のようで、対応してくれた吉田さんの話ではギターもよく売れてるとのこと。しかも海外からのネット注文もしばしばあり、日本の製作家を指名買いするケースも珍しくないとのこと。ここ十数年、日本の製作家のレベルはとても上がり、海外製と何ら遜色ないと感じる。特にアウラお抱えの伝統工法を受け継ぐ面々の作品は、いずれを選んでも後悔はないだろうと思う。

コロナ禍も改善傾向が続き、あらたな懸念はあるものの、世間もようやく明るさを取り戻しつつある。楽器店の営業担当の話でも総じてよい状況が続いているとのこと。久々の楽器試奏も、限られた時間ではあったが、そんな雰囲気を感じつつ楽しいひとときを過ごすことが出来た。例によって、試奏の御礼にと買った弦と楽譜を手に帰途につく。 梅雨入り前の初夏の昼下がり。楽しいひとときだった。 う~ん、それにしても田邊サントス、良かったなあ!オーダーしちゃおうかな…


益田正洋氏アウラの在庫総ざらい!


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音楽とクラシックギターに目覚めて幾年月。道楽人生成れの果てのお粗末。

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