モーツァルト交響曲第31番ニ長調「パリ」
モーツァルトの交響曲というと、まずは後期の36番以降。ついで35番「ハフナー」、25番ト短調あたりがポピュラー。加えて29番イ長調の簡素ながら穏やかな曲調もいい。おそらくこのあたりまでは多くの輩の共通認識だろう。問題はその次だ。大方の意見は第31番パリ交響曲ではないか。…ということで、今夜はこの盤を取り出した。

ジェームス・レヴァイン(1943-2021)が1985年にウィーンフィルといれたモーツァルト交響曲集。手持ちの盤は録音の数年後にミッドプライスのシリーズで出たときのもの。31番の他、25番と29番がカップリングされていて、ちょうど後期作品の次にセレクトする佳曲が収まっている。はっきりした記憶はないが、このカップリングの妙にひかれてこの盤を手にしたのだろう。
31番「パリ」はメヌエット楽章を持たない全3楽章形式ながら、派手好きだったパリの聴衆に合せたのか、オケの編成はモーツァルトの交響曲の中では最大級のもので、完全な二管編成。モーツァルトが初めてクラリネットを使った曲でもある。
第1楽章は当時のパリの聴衆が好んだという輝かしいユニゾンで始まり、35番ハフナー交響曲を思わせる。展開部は冒頭のユニゾンで始まるが次の瞬間、大胆な短調への転調があり、ここだけでもモーツァルトの天才性を感じる。穏やかな第2楽章アンダンテをはさんで第3楽章は再び輝かしいフレーズで始まる。しかし脳天気なロンドではなく、短いながらソナタ形式で書かれ、ときフーガを配し、大胆な転調も加えて後期作品にも勝るとも劣らない素晴らしい効果をあげている。レヴァインの指揮はこの第31番の輝かしい雰囲気にぴったりで、速めのテンポで鮮やかに進む。カップリングされている29番などは、もう少し素朴にのんびりやってほしいのだが、25番やこのパリ交響曲での相性は悪くない。
この盤の音源。
今年設立50周年を迎えるベルリンフィル・カラヤンアカデミーによる演奏。
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