モーツァルト ピアノソナタ第8番・第13番
三連休が終わり、週半ばの水曜日。都内での仕事を終え、夕方5時過ぎの新幹線で帰途についた。コロナ第7波到来の中、人の動きはむしろより活発になっている感じで、新幹線も東京駅を出たあと、大宮駅で東北新幹線からの乗客が合流するとほぼ満席になる。 さて、帰宅後一服して弛緩タイム。音盤棚を見回し、しばらく手を伸ばしていなかったグールドのボックスセットを取り出し、くじ引きよろしく一枚引き当てた。

取り出したのはモーツァルトのピアノソナタ集のうち第8番・第10番・第12番・第13番の4曲が入っている盤。60年代後半から70年にかけての録音。
第8番のよく知られたイ短調のソナタは、いきなり猛スピードの第1楽章から始まる。確かにこの曲の1楽章の音形からすると楽譜の指示にはMaestosoとあるものの、荘重で悲劇的に奏するよりは、一気に疾走する方が相応しいようにも思える。グールドのテンポは悲しみを感じる間もなくイ短調という調性に駆られてひた走る感がある。展開部は更に激しく突き進む。そして対比するように第2楽章は美しいフレージングと適確なアーティキュレーションで落ち着いた弾きぶりを示す。
この盤で興味深いの第13番変ロ長調K.333のソナタだ。 モーツァルトのピアノソナタの中でももっとも優れたものの一つとされる。この曲の第1楽章に6分24秒かけているYouTubeの演奏(1967年)と比べると、この盤の録音(1970年)はずっと速いテンポ、3分44秒で弾き終えている。これほど違うとは正直驚いた。グールドの演奏は彼なりの完成された解釈と確固たる自信に裏付けられているものと思ったが、意外にも場合によっては相当異なった解釈をするものだということを知った次第だ。
この盤の楽譜付き音源。第8番イ短調全3楽章。1969年録音
K.333の演奏を比べてみよう。
この盤、1970年録音の楽譜付き音源。
こちらは映像収録用の演奏。1967年とのこと。
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