ハイドン チェロ協奏曲第1番ハ長調



世間はお盆休み。週末土曜日。朝から野暮用外出で午後3時過ぎに帰宅した。夕方近くになってひと息つき、エアコンの効いた部屋で一服。ついでにこんな盤を取り出した。


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十年程まえに来日して強い印象を残したクリスティーヌ・ワレフスカ(1945-)がメジャーデヴューした70年代にフィリップスに入れた一連の初期録音を集めたタワーレコードの企画盤。少し長くなるが収録曲を記しておく。

<CD1>
ブロッホ:ヘブライ狂詩曲「シェロモ」
ブルッフ:コル・ニドライ 作品47
シューマン:チェロ協奏曲イ短調 作品129
チャイコフスキー:ロココの主題による変奏曲 作品33
<CD2>
ドヴォルザーク:チェロ協奏曲ロ短調 作品104
ハイドン:チェロ協奏曲第1番 Hob.VIIb-1
<CD3>
プロコフィエフ:チェロ協奏曲第1番 ホ短調 作品58
ハチャトゥリアン:チェロ協奏曲(1946)
<CD4>
サン=サーンス:チェロ協奏曲第1番イ短調 作品33
サン=サーンス:チェロ協奏曲第2番ニ短調 作品119
サン=サーンス:チェロと管弦楽のための組曲 作品16
サン=サーンス:アレグロ・アパッショナート 作品43
<CD5>
ヴィヴァルディ:チェロ協奏曲ト長調 RV414 P.118
ヴィヴァルディ:チェロ協奏曲イ短調 RV418 P.35
ヴィヴァルディ:チェロ協奏曲ト短調 RV417 P.369
ヴィヴァルディ:チェロ協奏曲イ短調 RV420
ハイドン:チェロ協奏曲第2番ニ長調 Hob.VIIb-2

クリスティーヌ・ワレフスカ(チェロ)
エリアフ・インバル指揮・モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団
アレキサンダー・ギブソン指揮・ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団(ドヴォルザーク、チャイコフスキー)
エド・デ・ワールト指揮・イギリス室内管弦楽団(ハイドン)
クルト・レーデル指揮・オランダ室内管弦楽団(ヴィヴァルディ)
【録音】
1970年11月(ブロッホ、ブルッフ、シューマン)
1971年1月(チャイコフスキー、ドヴォルザーク)
1972年1月(ハイドン)
1972年10月(プロコフィエフ、ハチャトゥリアン)
1973年11月(サン=サーンス)
1976年2月(ヴィヴァルディ)

…というように、主要な協奏曲がCD5枚に収められている。今夜はこの中からハイドンの第1番の協奏曲を取り出した。
まずハイドンのこの曲自体が貴重かつ素晴らしい作品だ。世の著名なチェロ協奏曲といえば、現在ではほどんどがロマン派以降の作品で占められる。ドヴォルザーク、シューマン、サン・サーンス、プロコフィエフ、ハチャトゥリアン、エルガー等々。イタリアンバロックではヴィヴァルディ他多くの作品が残されているが、古典派、取り分けウィーン古典派ではチェロ教程で必ず出てくるロンベルク等の作品等を除くと、モーツァルトにもベートーヴェンにもチェロ協奏曲はない(現存しない)。そんな中、ハイドンの二つのチェロ協奏曲はバロック期と古典期の手法を混在させながらもソナタ形式をもつ充実した作品として残されている。

第1楽章。この時期の作品としては比較的長い序奏のあとソロが入る。特に展開部では短調に転じて極めて充実した響きを繰り広げる。第2楽章は穏やかで美しいラルゴ。ハイドンの書いたオケ部の響きが素晴らしく、交響曲作曲家としての面目躍如だ。第3楽章もソナタ形式で書かれていて、単純なロンド形式にはない充実した音響。チェロのテクニカルな側面も十全に発揮されハイポジションでの難所が続く。

ワレフスカの演奏は、彼女のソロが出た途端、大げさにいうと、これはコントラバスではないか、あるいは控え目にいってもピッチがかなり低いのはないかと思うほど。そう思わせるほど音が太く豊かに響く。チェロの胴全体がうなるような音、大きなヴィブラート等々。それらは裏返せば、現代的視点では演奏全体に揺れや誤差があることの証左でもあるが、同時に豊かに歌う楽器としてのチェロの顔でもある。エド・デ・ワールト指揮イギリス室内管弦楽団のバックもピリオドスタイルが一般化する前の時代のチャンバーサウンド。豊かで包まれるような音響でワレフスカの演奏と方向性がピタリと合う。かれこれ半世紀前の録音ということになるが、僅かに感じるのノスタルジックな音も


この盤のハイドンの音源。ワレフスカのチェロ、エド・デ・ワールト指揮イギリス室内管弦楽団による演奏。


マリー=エリザベート・ヘッカーによる全楽章。フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮ヒルヴァーサム放送室内フィルハーモニーのバック。マリー=エリザベート・ヘッカーは宮田大が優勝したロストロポーヴィッチ国際コンクールで宮田大の前の回の覇者。



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