ブロムシュテットのシューベルト
ひと月程前のEテレ「クラシック音楽館」で指揮者ヘルベルト・ブロムシュテットの特集が組まれた。ご覧になった向きも多いだろう。今年95歳になるブロムシュテットの生い立ち、キャリアそして現在の日常を紹介するドキュメンタリーがあり、そのあとNHK交響楽団とのベートーヴェン「英雄」が放映された。そのブロムシュテットが今年もまた来日するということでチケットを取ることにした。

現役最高齢の指揮者ヘルベルト・ブロムシュテット(1927-)。ぼくら世代にはもっとも親しみのある外国人指揮者の一人だ。サヴァリッシュ、マタチッチ、スウィトナーらと共に70~80年代以降、NHK交響楽団に度々客演し、その指揮ぶりと作り出す音楽は映像と共にしっかり記憶に定着している。中でもブロムシュテットは80歳を過ぎてもまったく年齢を感じさせず来日を続け、気付けば95歳。
今回は3つのプログラムで計6回の演奏会が予定されている。3つとも聴きたいところだが、公私予定を考慮し、平日夜のシューベルト・プロを選んだ。いくつかの理由があるが、ドキュメンタリーでも紹介された近年の様子や、コロナ禍前年までのNHK交響楽団での指揮ぶりに触れ、ブロムシュテットが40年前の壮年期に全曲録音したシューベルトの交響曲を今どんな風に聴かせてくれるのかが最大の関心だ。二カ月先を楽しみに待つことにしよう。

今回取り上げられるシューベルトは交響曲第1番ニ長調と第6番ハ長調。第1番はシューベルトがまだ十代のときの作品。そして第6番も二十歳のときに作られた。31歳で夭逝したとはいえ、若き日の作品といえる。今夜はブロムシュテットが名門シュターツカペレドレスデン(SKD)を振って1979~1980年に録音した全集盤から第6番を取り出して聴いている。 同じハ長調の大作第8(7・9)番「ザ・グレート」に対比されて「小ハ長調」交響曲と呼ばれる第6番だが、4楽章それぞれがきっちりと作られ、どうして中々立派な構えの曲だ。曲想は明るく大らかで、トランペットが所々で華やかに響く。如何にも二十代青年の明朗な作品。「小ハ長調」では可哀そうな気もするがどうだろう。
第6番全4楽章。ブロムシュテットとSKDによる1979年の録音。
シューベルトの大きい方のハ長調「ザ・グレート」。ブロムシュテット指揮NDRエルプフィルハーモニー(旧NDR響=北ドイツ放送交響楽団)による、コロナ禍となった2020年暮れの演奏。ブロムシュテット93歳。 第4楽章最後のコードが鳴り終わったあと、観客の拍手に代わり団員たちからブロムシュテットに拍手が送られる。そのあとの談笑も聴こえてくる…何と言っているのだろう。
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