五頭目の盲導犬パピー
数年前に始めた盲導犬パピー育成のボランティア。実は今年始めから新しいパピーを預かっている。

我が家に来て間もなくの頃。
以前からこのブログをご覧いただいている方は覚えているかもしれないが、今回で五頭目になる。先回、先々回と黒ラブ(黒毛のラブラドールレトリバー)だったが、今回はイエロー。上の写真と動画は我が家に来てまもなく、初めての散歩に出た頃のものだ。まだ体重は5キロ程度だった。生後二ヶ月のパピーを預かり、ほぼ一年間育てる。以前も書いた内容だが、この間のプロセスを以下に記しておこう(少々偉そうに書いているが、ほとんどは妻に任せきりです)。
まずは排泄のトレーニング。盲導犬として好きな時に勝手に排泄することは出来ない。人間の声掛けに促されて排泄するよう習慣付ける。次いで基本的なコマンド(sit,down,wait)の修得。盲導犬としての仕事のほとんどは待つこと。人のコマンドに対応出来るようにする。生後3カ月を過ぎた頃から外散歩。よく見かける散歩のように犬の気ままで右左、そちこちで臭い取りの道草、連れいてる人間達の犬トモ井戸端会議…という散歩はいけない。常に人(リーダー)の左横について速めのピッチで歩く。リーダーの歩く止まるに合わせるようにする。もちろん散歩に出る前に排泄は済ませる(排泄をしたら散歩に行ける!と習慣付ける)。そうすれば散歩途中で粗相することはない。
食事は決まった時間に決まった量だけ。人間の食事の際、犬に何かを与えてはいけない。人間の食事は自分とは関係ないことと認識させないと、盲導犬としてレストランに入ることも出来なくなるからだ。「うちの子はご飯になると吠えて教えてくれるのよ」と近所の奥様が言っていたが、それは単なる要求吠えだ。盲導犬として仕事をするには要求吠えがあってはいけない。小さいうちは何かと吠えたりクンクン言ったり、一緒に遊んで!ご飯頂戴!と要求するものだが、そうした犬からの吠えや声には、静かにしなさい!といった応答はしない。吠えたら黙って部屋から出て行ってしまうくらいの対応をする。そのうち吠えても無駄と知り吠えなくなる。
…と書くと随分窮屈そうに見えるだろうが、習慣性の強い犬はこうしたことをよく修得する。素人のボランティアであっても初期のトレーニングは十分可能だ。もちろん窮屈な思いばかりをさせているわけではなく、一緒にボール投げで遊ぶこともある。がしかし、過度に興奮させないということは常に念頭におく。これまで経験した5頭とも、生後半年までにほぼこうした習慣付けが出来上がり、一緒に食事に行ってもいたずらに騒ぐようなことはなかった。もっとも犬種としてラブラドールレトリバーの特性も大いにあるだろう。また、こうした習慣付けは、愛玩用として犬と暮らす場合にも有効だと思う。
さてさて、すでに預かってから半年余りが経ち、少しずつ落ち着きも出てきた。残る期間は四カ月程。秋風が吹き始める頃には、ギターを弾くぼくの傍らで静かにダウンして待っていられるようになるだろうか…
■■■盲導犬に出会ったら…愛ある無視を!■■■
・声をかけたり、じっと前から見たり、口笛をならしたりしない。
・食べ物を見せたり、あげたりしない。
・盲導犬をなでたり、ハーネスを触ったりしない。
・自分のペットと挨拶させようと近づけたりしない。
■■■犬の十戒■■■
<1>私の一生はだいたい10年から15年です。あなたと離れるのが一番つらいことです。どうか、私と暮らす前にそのことを覚えておいて欲しいのです。
<2>あなたが私に何を求めているのか、私がそれを理解するまで待って欲しいのです。
<3>私を信頼して欲しい、それが私にとってあなたと共に生活できる幸せなのですから。
<4>私を長い間叱ったり、罰として閉じ込めたりしないで下さい。あなたには他にやる事があって、楽しみがあって、友達もいるかもしれない。でも、私にはあなたしかいないのです。
<5>時々話しかけて欲しい。言葉は分からなくても、あなたの声は十分私に届いています。
<6>あなたがどのように私を扱ったか、私はそれを決して忘れません。
<7>私を殴ったり、いじめたりする前に覚えておいて欲しいのです。私は鋭い歯であなたを傷つけることができるにもかかわらず、あなたを傷つけないと決めているのです。
<8>私が言うことを聞かないだとか、頑固だとか、怠けているからといって叱る前に、私が何かで苦しんでいないか気づいて下さい。もしかしたら、食事に問題があるかもしれないし、長い間日に照らされているかもしれない。それとも、もう体が老いて、弱ってきているのかもしれません。
<9>私が年を取っても、私の世話はして下さい。あなたもまた同じように年を取るのですから。
<10>最後のその時まで一緒に側にいて欲しいのです。このようなことは言わないで下さい、「もう見てはいられない。」、「居たたまれない。」などと。あなたが側にいてくれるから最後の日も安らかに逝けるのですから。忘れないで下さい、私は生涯あなたを一番愛しているのです。
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