オルディゲスの弦交換2022年夏



先週末の日曜日、少し前のハウザーに続きオルディゲス作のギターを取り出し、久しぶりに弦を交換した。


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オルディゲスを手に入れたのは2014年。前後して何本かのオルディゲスを弾いた中で、一昨年閉店したカリス@恵比寿で出会ったのが2008年作の個体。音は一度で気に入った。いくつか細かい箇所で気になるところがあって、その後少々手を入れ、現在はベストな状態になっている。これまでごくノーマルなナイロン弦を張っていたが、少し個性を変えてみようと思い立ち、今回はアクイーラ社のアラバストロ弦を張ることにした。

ギター弾きにとって弦の選択は楽しくもあり悩ましくもある。楽器そのものと比べたら無視できる程の価格で(ヴァイオリン属に比べるとずっと安い)かなりの種類の弦が手に入ることもあって、あれこれ試したくなる。ぼくもそのくちではあるが、実際のところは「素材が同じなら、どれを選んでもそう変わらない」という印象をもっている(某著名プロ奏者も同じようなことを言っていたなあ…)。 音の記憶は実に曖昧で、弦を張り替え、すなわち何分かの時間をおいて、記憶を頼りに微妙な音の違いを区別できる能力はぼくにはない。カーボン弦と釣り糸の比較をやったときのように、同じ楽器に比較すべき弦を並べて張って弾き比べないと分からない。オーディオの聴き比べに近い状況だ。もっとも客観的に白黒つけなけばならない話ではないし、本人が感じるままに気分よく納得して弾ければそれで事済む話なので、これ以上詮索するつもりもなく現在に至っている。 一方、素材が違う場合は、記憶にはっきり残るくらい音が変化するのはぼくにも分かるし、誰しも認めるだろう。通常のナイロン弦に対して、カーボンを配合したものや組成が違うものなどは、はっきりと判別がつく。


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アクイーラ社の弦は従来のナイロン弦やカーボン入り素材と異なる素材を使った弦が何種類かラインナップされている。これまで同社のアルケミア、ペルラ、アンブラを使ったことがあるが、それぞれが中々個性的で明らかに弦で音が変わるという実感をもつものが多い。今回のアラバストロもそうした違いが実感できる弦の一つだ。 これまで張っていたナイロン弦に比べ、アラバストロを張ったオルゲディスは、この楽器が範としたハウザー1世が作られた時代の響きを感じさせる。全体に反応よく軽快に音が立ち上がり、よく鳴る。同社のペルラほどではないが、通常のナイロン弦に比べるを少し余韻は短めのようで、タッチのアタックにエネルギーがのる。音の反応はいいが、カリカリした音色ではなく、ペルラほどではないものの、やはり少し古風な響きだ。もっとも張り替え直後ゆえ、このあと初期の伸びが落ち着き、馴染んでくると、また変化するだろう。

アクイーラ社の弦が日本に入ってきたのは20年程前と記憶している。当初はその価格の高さに驚いたものだが、その後バリエーションの拡充や価格改定もあって、現在は他のメーカーとさほど変わらない価格設定になっている。一般的なナイロン弦やカーボン入り素材から変化を求めるにはいい選択かと思う。


オルディゲスで弾いた音源から4曲ピックアップした再生リスト。弦は通常のナイロン弦です。



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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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