セルシェル編「ギターのための12のイギリスの歌」



以前も書いた通り、昨年春頃から左手の不調が顕在化。人差し指に負担のかかる運指があると痛みが走るようになった。その後は、あまり無理せず指の様子をみながら騙し騙し…という状態が続いている。幸い決定的に弾けなくなったということもないので、調子のいいときはむしろ積極的に弾いている。先日、楽譜棚の整理をしながら見つけたこの楽譜を広げて少し遊んでみた。


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先回の記事に書いたイェラン・セルシェル(1955-)編の「ギターのための12のイギリスの歌」と題された曲集。十年程前に現代ギター社から発刊されたもの。ビートルズの作品から6曲、それとバロック期の作曲家フランチェスコ・バルサンティ(1690-1772)が採譜・編曲した「古いスコットランド民謡集」から6曲が選ばれ、セルシェルがギター用にアレンジしている。

おそらく、この曲集を手にした愛好家の多くはビートルズの名に惹かれたに違いない。あるいはセルシェルのアレンジしたビートルズを村治佳織が弾いたことも影響しているかもしれない。ぼく自身は十代だった60年代後半から70年代前半がそのままリアルタイムにビートルズ時代だったが、熱心なファンになることもなく過ごした。この曲集ももちろんビートルズの名で目に付いたものではあるが、ぜひ弾いてみようとも思わず、何となく…手に入れた。入手後しばらくは書棚に収まったままだったが、その後思い出したように取り出して弾いてみると、バルサンティ編の6曲が中々楽しく、そちらばかり弾いている。技術的な難易度もさほどではなく、苦よりも楽しみが勝る。

ビートルズのいくつかの曲がクラシカルな様式や雰囲気をもち、イギリス民謡に通じる曲想をもっていることはしばしば言われることだ。こうしてスコットランド由来の民謡と一緒に並べて曲集に収め、通して弾いてみると、そのことをあらためて実感する。20世紀の音楽と数百年前の音楽とが違和感なく繋がる。


セルシェルによる最近の演奏。バルサンティ編のスコットランド民謡から2曲。
「Busk Ye Busk Ye My Bonny Bride」「Clout the Cauldron」


同 「Lochaber」 楽譜ではト長調だが、ここではニ長調で弾いている。


ビートルズ「Eleanor Rigby」



IMSLPにあるバルサンティの「古いスコットランド民謡集」
https://vmirror.imslp.org/files/imglnks/usimg/2/29/IMSLP587257-PMLP194938-Completed_Version_for_Checking.pdf



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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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