田邊三兄弟
忙中閑あり。仕事の追われているだの何だとといいながら先日、都内での仕事を早めに切り上げ、上野下谷の六弦聖地アウラへGo!となった。

(田邊三兄弟:左から…ハウザーモデル、アルカンヘルモデル。サントスモデル)
少し前にギター製作家田邊雅啓氏より連絡があり、サントスモデルの新作が出来たので試奏しますか?とのお誘い。あいにくぼくの都合が付かず、工房へお邪魔するタイミングを逸し、結局先日、納品先のアウラにて試奏となった。折しもアウラには現在、田邊氏の以下の3本を在庫していて、それらを比較試奏することが出来た。印象がホットなうちに備忘を記しておこう。
(1)サントス・モデル 2022年新作
(2)アルカンヘル・モデル 2022年新作
(3)ハウザー1世・モデル 2018年中古
(1)サントス・モデル 2022年新作
先週末に入荷したばかりの新作。きょう現在まだアウラHPにも出ていない。田邊氏のサントスモデルは数年前に初号機が出来たとき以来、何度か弾いている。今年5月にも新作を弾き、非常に好印象だった。今回の作品も出来上がった直後に田邊氏より連絡があって「とてもいい感じに出来上がった。特に6弦は過去最高かも」との自信あふれるメッセージが届いていた。
さて、実際に弾いてみると…田邊氏自身が自ら絶賛していた低音はもちろんだが、高音もカリッと立ち上がり、音量・サステインも十分。ちょっと鳴り過ぎか?と思う程、開放的にカーンと音が抜けてくる。5月に弾いた前作より更に良くなっている。低音のボディレゾナンスはF#付近。6弦5フレット以下の量感は十分だ。低音レゾナンスのオクターブ上、5弦9フレットF#がデッドトーン気味になるのは宿命ながら、タッチで対応できるレベルで問題ない。簡単な曲を少し弾いてみると、低音・高音のバランス良く、いきなり音楽的に響いて驚いた。これまで見た田邊サントスはいずれも極めてレベルの高い出来上がり。首をかしげたくなるところは皆無。これなら店在庫、注文とも安心してチョイス出来るだろう。
(2)アルカンヘル・モデル 2022年新作
このアルカンヘルモデルは今年9月に行われたイーストエンド国際ギターフェスティバル出品作。弾き比べコンサートでは、あのホルヘ・カバジェロが弾いている。ぼくはフェスティバルには行けなかったのだが、イベント終了後、楽器が田邊工房に戻ってきた際にうまくタイミングが合って工房にお邪魔して弾くことが出来た。
この作品は田邊氏が1985年製アルカンヘルを横に置きながら製作したもので、そのオリジナル個体の色合いがよく反映されている。サントスモデルを弾いたあとだと、マイルドで落ち着いた感じを受ける。軽いタッチで楽々鳴る楽器ではなく、スイートスポットを探るように慎重に弾き進めると、深みのある音が出てくる。そういう意味ではやや通好みかもしれない。おそらく何年か弾き込んで音がこなれてくると素晴らしい楽器になるに違いない。
(3)ハウザー1世・モデル 2018年中古
このハウザーモデルは性格こそ異なるが、サントスモデルと並んで好印象だった。低音ウルフはやや高めながら6弦ローポジ全体に十分なボリュームがあり、不足感なし。高音はサントスモデル並みに反応良く、音量・サステインとも十分だった。その上で全体としてはサントスモデルよりクラシカルな雰囲気。2018年作でわずか4年経過ながら、指板や表板の感じから前所有者はかなり弾き込んでいたようで、全体に音がこなれていて発音がスムースだった。表板の塗装もやや濃い目で適度な焼け具合もあり、ビンテージ風の味わい。少々キズが多いからか価格は44万円。これは超お買い得だろう。
この日は上記田邊三兄弟の他にもいくつか興味深いギターを拝見した。しかし、あえて言おう。田邊サントスモデルを越えて興味を引くギターはなかった。田邊氏の自信作だけのことはある。近日中にアウラHPに出るだろうが、もはやそのときにはSOLDになっている可能性も高そうだ。
上記の田邊ギター:アルカンヘルモデル2022年
上記の田邊ギター:ハウザーモデル2018年 録音レベルが少々小さいのが残念
横裏メイプルの田邊ギター2012年
クロサワ楽器在庫(現在は無し)の田邊ハウザー2018
マイ田邊ギター:ロマニリョスモデル2004年
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