リパッティのバッハ
今週は前半に少々重い仕事があったが何とか切り抜け、年内の峠を越した(やれやれ…)。さて、週末ではないが気分は少々リラックス。音盤棚を眺めていて、この盤と目が合ったので久々に取り出した。


ディヌ・リパッティ(1917-1950)の2枚組。20年程前に出ていた「Great Pianists of the 20th Century」というシリーズの中のもの。2枚組の1枚は協奏曲で、カラヤンとのシューマン、ガリエラとのグリーク、共にオーケストラはフィルハーモニア管。もう1枚はバッハのパルティータ第1番の他、モーツァルトのイ短調のソナタKV310、ショパンの3番のソナタ、ブラームスのワルツなどが収められている。ぼくは熱心なリパッティファンではないのでよくは知らないのだが、リパッティの録音は多くないはず。現在CDで簡単に手に入るのはおそらく数枚ではないか。
バッハのパルティータ第1番を聴く。端整なバッハ演奏。ぼくの中にあるリパッティのイメージではもっと前世紀的なロマンティシズムを引きずっていると思っていたのだが、あらためてこのパルティータを聴くと、その予見は見事に外れた。プレリュードは速からず遅からずの中庸のテンポ設定で、大きなルバートをかけることなく、トリッキーな仕掛けもなく、淡々と穏やかに進む。1950年録音で音の状態は決してよくはないが、彼の音楽作りの方向性はよく聴き取れる。アルマンドは粒立ちのいいスケールがよどみなく流れる。サラバンドももたれるところがなく、遅すぎないテンポであっさりと弾き切っている。もっぱらショパン弾きのイメージが強いリッパティだが、バッハからもそのリリシズムは十分伝わってくる。
この盤の音源。バッハのパルティータ第1番BWV825 1950年7月ジュネーヴでのセッション録音。
リパッティ最後の演奏会ライヴ@1950年9月ブザンソン
最初にバッハのパルティータ第1番。そのあとモーツァルトのソナタ第8番、シューマン、ショパンと続く。この演奏会から三ヶ月後、1950年12月に亡くなった。
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