F・ソル Cantabile Op.43-3
一昨年来の左手指の不調。加齢起因のことなので、これで完治というような処方箋はなく一進一退。非公式コメントでお知らせいただいた手法やあれこれ見聞きした対策を程々に試みつつ様子見の毎日だ。とは言え、痛みに耐えかねて弾けないという程のことはなく、ちょっとストレスが加わりそうな左手運指さえ避ければ、さほど不自由なく弾ける。何とかこのレベルをキープ出来ればと思っている。 さて、週末土曜日。昼前からちょっと野暮用あって外出。帰宅後ひと息ついたあと、ギターを取り出して小一時間楽しんだ。きょうさらったのはこの曲だ。

フェルナンド・ソル(1778-1839)の作品43「6つのバガテル」から第3曲目「Cantabile」。クラシックギターを弾き始めて半世紀となった昨年、今更ながらに手に入れたソルの全集を開いて何度か通してみた。
イ長調4分の3。カンタービレと付されているように、冒頭からシンプルながらそのまま声を出して歌えそうなモチーフが提示される。ギターではもっとも弾きやすい調性の一つイ長調。旋律線を1弦に取り、2弦で三度下を支えてメロディーが進む。同じテーマが何度か繰り返し出てくるが、その度にちょっとした和声の変化をもたせる辺りがソルらしい。中間部で同主調のイ短調に転じ、前半の明るく穏やかな曲想から一転、憂いを含む表情となる。そして後半再びイ長調に戻って冒頭のテーマが再現されたあと、終結部に導かれる。
この曲、日本の名曲集的な出版譜では見かけたことがないが、形式・曲想など、ソルの作品としてよりポピュラーな「アンダンテ・ラルゴ作品5-5」に通じるところがあるが、技術的にはこの作品43-3の方がやさしい。弦長650㎜のモダンギターだといくつか左手の拡張が必要な箇所があるが、中上級者なら初見で通せるだろう。ソルらしい曲としての良さも十分楽しめる小品だ。
フランス弦楽器の里ミルクール製の楽器による演奏。ソルと同時代のもの。
楽譜は以下のBoijeコレクションのリンク参照
https://boijefiles.musikverket.se/Boije_0483.pdf
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