ヨッフムのブラームス



このところ続けて聴いているブラームス。クラシックを聴き始めて間もなくブラームスの交響曲に惹かれて以来半世紀、一体何度聴いたことか。そしてきょうもまた飽きもせず、この盤を取り出した。


202305_Jochum_JB.jpg


オイゲン・ヨッフム(1902-1987)がロンドンフィルと入れたブラームス全集LP盤から第2番ニ長調を聴いている。1976年録音。以前も書いたが、手元には結構な数のブラームス交響曲全集盤がある。カラヤン/BPO(60年代・70年代)、ベーム/VPO、バーンスタイン/VPO、フルトヴェングラー/BPO他、ワルター/コロンビア響、ヨッフム/LPO、クレンペラー/PO、ケンペ/MPO(以上はLP盤)、ボールト/LSO、バルビローリ/VPO、セル/クリーブランド、アンチェル/チェコPO、ヴァント/NDR、チェリビダッケ/SWR、ザンデルリング/SKD、シャイー/RCO、インバル/フランクフルト放響、スウィトナー/SKB。この他に<単品>がゴロゴロという状況。中ではこのヨッフム盤はあまり頻繁に聴いた記憶がない。演奏が気に入らないという理由ではなく、そもそも音楽そのものをむさぼるように聴いた時期を過ぎてから手に入れた盤だという理由による。そんなこともあって、今夜は久しぶりにこの盤に針を下ろすことにした。

ヨッフムは晩年になっても老成することなくあまりテンポも落ちず、明快な音楽作りをしたと認識している。この盤もそれを証明するように、録音当時70代半ばながら巨匠然とすることなく、音楽は極めてスムースに進行する。テンポは中庸でフレーズの歌いまわしも極めてナチュラル。それでいて決め所の重量感に不足はない。第2楽章など、もっと寂寥感をただよわせて歌い込んでもいいかなと思うのだが、その一歩手前で抑えているあたりが老練の技かもしれない。終楽章は年齢が信じられないほど精気にあふれ、最後のコーダに入ってからのアチェルランドには思わず手に汗握る。ロンドンフィルは細かいところのアンサンブルで時々難がないではないが、雰囲気は実にブラームスらしく落ち着いた音色と深いアインザッツでヨッフムの棒に応えている。録音場所はキングスウェイホール。もう少し響きのブレンドと空間の広がり感がほしい気もするが、低弦群の重量感はたっぷりでブラームスのシンフォニーに相応しい仕上がり。他のEMI録音でも感じるように、キングスウェイホールでの録音はホールトーンをやや控えめ、反面各パートの分離は良好で広めのスタジオでのライヴを聴く趣きだ。

ブラームスはこの第2交響曲を避暑先のペルチャッハで作った。明るいニ長調の調性と相まって、初夏を感じさせるこの時期にしみじみ聴くのに相応しい名曲だ。


この盤の音源。第4楽章


ブラームス自身が編曲したピアノ連弾版による演奏。全4楽章



■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
関連記事
プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

カレンダー
04 | 2023/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
最新記事
最新コメント
カテゴリ
検索フォーム
月別アーカイブ
QRコード
QR
閲覧御礼(2010.10.01より)