ベートーヴェン ピアノソナタ第17番ニ短調「テンペスト」



先回久しぶりに聴いたグールドのベートーヴェンで思い出し、きょうも同じボックスセットからこの盤を取り出した。


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ベートーヴェンのピアノソナタ第17番ニ短調作品31-2「テンペスト」。例のグールド・ボックスセット中の一枚。作品31の第16、17、18番のソナタを収められている。1973年録音。

ベートーヴェンのピアノソナタで、副題や呼称が付されている曲の中でこの第17番「テンペスト」は、演奏頻度という点で「悲愴」や「熱情」「月光」に次ぐ位置にあるだろうか。知名度ではそれらの曲に一歩譲るものの、曲の内容は勝るとも劣らない。ぼく自身の嗜好もあって、ベートーヴェンのピアノソナタの中では「告別」「テレーゼ」等に次いでお気に入りの一曲だ。

第1楽章は明確な二つの主題をもつソナタ形式だが、その構成はよくある起承転結のソナタ形式とはやや異なる。開始冒頭のゆっくりとした導入句、また副主題の前にもゆっくりとした分散和音を配した経過句がおかれている。楽章全体を通して、古典的なソナタ形式をベースにしながらも、よりロマンティックに寄った幻想曲風の色合いをもつように感じる。これは第1楽章だけでなく、続く第2楽章ではより強く感じる。第3楽章は16分音符が連続する印象的はモチーフで始まる。キャッチーなモチーフだがその扱いはさずがにベートーヴェン、複雑な転調やヘミオラを含む拍節の移動など、凝った作りで音楽の深みを際立たせている。


グールドの演奏動画.。時折見せる指揮を取るようなアクションと共に、完全に音楽と同化した弾きぶりだ。
第1楽章。


同 第2楽章


第3楽章の管弦楽アレンジ(MIDI音源)



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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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