セゴビア・コレクション第9集「練習曲集」



バブル絶頂期の80年代終わりに当時のワーナーパイオニアが企画し、セゴビアのMCA録音を集大成した「セゴビア・コレクション全16巻」をたどるシリーズ。しばらく間が空いてしまったが、きょうはその第9集を取り出した。


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この第9集では、マウロ・ジュリアーニ(1781-1829)、ディオニシオ・アグアド(1784-1849)、フェルナンド・ソル(1778-1839)、ナポレオン・コスト(1805-1883)といった19世紀古典ギター隆盛期の作曲家の練習曲から43曲が収められている。

セゴビアの功績に一つに後進の育成があげられる。拠点の一つとしていたコンポステラでの講習会をはじめ、世界各地でマスタークラスを開いた。後進といっても自身の奏法や解釈の伝承にあまりこだわらなかったところもセゴビアの偉さではないかを思う。また、学習者が対象の練習曲も積極的に取り上げた。第一級のプロが録音として残す練習曲ともなれば、技巧的な難易度が高く演奏映えのする曲を選びがちだが、この録音でも初級者から中級・上級者に至るまで、ギター修得の過程で接する広い範囲の曲が選ばれていることも特筆に値するだろう。練習曲の模範演奏としてこの録音が最適だとは思わないが、セゴビア流ながら機能和声の勘どころをおさえ、かつ音楽としての感情表現も兼ね備えた演奏になっている。

ソル、ジュリアーニ、アグアドそしてコスト。時代的には古典派からロマン派初期に位置する。中では楽想の豊かさという点でソルは他に勝るし、今でも多くの愛好者を惹きつける。
ソルの練習曲からセゴビア自身が選んだ「20の練習曲」は今でも中級以上の愛好家のバイブルだ。しかしジュリアーニやアグアドの「足らなさ」を実感するのも、音楽的な成長ゆえと解釈して、折に触れて奏でたいものだ。またコストは年代からみても、よりロマン派の色合いが濃くなる。代表作ともいえる「25の練習曲」などは多声を駆使したロマン派好みの佳曲が多い。難易度は高くきちんと弾くには相応の技量が必要だが、ところどころかじるだけでも、他の練習曲では味わえない感興に触れることができる。


ジュリアーニ 作品50の25「アンダンティーノ・グラチオーソ」


アグアド 練習曲ホ短調



これまで取り上げたセゴビア・コレクションは以下の通り。
セゴビア・コレクション第1集「バッハ作品集」
セゴビア・コレクション第2集「協奏曲集・スペインの城」
セゴビア・コレクション第3集「ポンセ・ソナタ集」
セゴビア・コレクション第4集「ポンセ作品集」
セゴビア・コレクション第5集「テデスコ作品集」
セゴビア・コレクション第6集「ボッケリーニ賛」
セゴビア・コレクション第7集「タンスマン・ドビュッシー・ルーセル作品集」
セゴビア・コレクション第8集「ソル・ジュリアーニ:作品集」


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