ベートーヴェン弦楽四重奏曲第7番ヘ長調「ラズモフスキー第1番」
室内楽、最近あまり聴いていなかったと思い、久しぶりにこの盤を取り出した。

ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第7番ヘ長調作品59-1。数年前に手に入れたゲヴァントハウス四重奏団による全集盤中の1枚。2002年録音。手元にあるベートーヴェン弦四はバリリSQのモノラル盤全集LP、ABQの中期作品、ラサールSQの後期作品がある。このゲヴァントハウス四重奏団の盤は、比較的新しい録音で何か全集盤リファレンスをと思い、手に入れた。
この曲は弦楽四重奏第7番というよりは、ラズモフスキー第1番と呼ばれる方が多いかもしれない。中期弦楽四重奏を構成するラズモフスキーセットの3曲は規模・大胆な曲想等、前期作品の作品18の6曲と一線を画すといってよい傑作揃いだ。今夜取り出した第7番作品59-1も40分近くを要する大曲だ。
ヘ長調の明るい曲調で始まる第1楽章は周到に作られたソナタ形式。特に展開部では曲の勢いを増すだけの構成ではなく、フーガも導入されて各パートごとの対比や緊張感の表現が見事。この作品を含む<傑作の森>を実感させてくれる。さらにこの曲では第2楽章にスケルツォ、第3楽章にアダージョの緩徐楽章がおかれている。構成の上、第9交響曲の先取りのようでもあるし、曲想そのものも豊で飽きさせない。発表当時「冗談だろう」と言われたスケルツォの出だしのチェロのリズムがブルックナー第7のスケルツォを思わせるし、ヘ短調に転じる第3楽章の悲痛な歌では全楽章を通して活躍するチェロが一層雄弁に語る。 ゲヴァントハウス四重奏団のこの演奏は現代風のスッキリ系で、演出臭さも皆無。スコアを素直に再現している感があって好感がもてる。古いバリリSQの弾く第3楽章はどんな感じだっただろうか。いずれも聴き直してみようと思う。
この盤の音源。全4楽章
スコア付き音源。エマーソンSQの演奏とのこと。
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