ジョン・ラター「レクイエム」



先週末、音盤棚を整理しながら見つけた盤。そういえば随分前に記事にして以来聴いていなかったなあと思い出し、久しぶりにプレイヤーにセットした。


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現代イギリスの作曲家ジョン・ラター(1945-)の「レクイエム」。いつになくデザインされたジャケットまとったナクソス盤。ケンブリッジ・クレア・カレッジ聖歌隊とシティ・オブ・ロンドン・シンフォニアというオケをティモシー・ブラウンという指揮者が振っている。2002年録音。この曲は90年代後半あたりから大そうな人気曲のようで、多くのアマチュア合唱団が取り上げているという。

以前聴いたラターの管弦楽曲もそうだったが、全編わかりやすく美しいメロディーと和声に満ちている。ポピュラリティーが強く、これならアマチュア合唱団の多くの飛び付くのも無理もない。ラターはフォーレ「レクイエム」の新しい版を監修したらしいが、この曲を聴きだして間もなく、そのフォーレのレクイエムを思い出したほどイメージが近い。時にオルフの「カルミナプラーナ」を感じさせるフレーズも出てくる。レクイエムの様式に沿った曲構成になってはいるが、言葉のわからないぼくなどが聴くと、平易で美しい合唱曲としか感じない。

イギリスの教会組織やプロの合唱団は、この曲を重要な曲としては認めていないと、何かの記事で読んだことがある。つまり正式な典礼には使わないだろうし、作品としての質にも疑問を持っているということだろうか。死者を弔う音楽として不適切と判断しているということかもしれない。事の始終は知らないが、この曲を聴く限り、ぼくもそうした見解にうなづく。あまりにキャッチーな美しさが耳につきオリジナリティーを感じない。そういう音楽が世に多々あることは承知だし、ぼくも時に好んで接する。しかし曲に冠した表題はレクイエム…ということなのだろう。事情を知らないものが語る資格もないが、さて世の評価どうなのだろうか。


全曲。 冒頭、不穏な空気を感じさせるモチーフで出るが、ほどなく霧が晴れるように美しいハーモニーが始まる。


もっともよく歌われる第3曲「Pie Jesu」


この盤の音源。



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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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