現代ギター誌を読む_#5_1967年10~12月号



現代ギター誌のバックナンバーを振り返るシリーズ。先回の記事から少し間があいてしまったが、きょうはその5回目。創刊の年1967年の10~12月号を開くことにした。


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これまでの記事にも書いたように、この時期の国内のクラシックギター演奏家としてもっとも注目されていた一人が松田二郎(松田晃演1933- 2021)だ。1967年10月号ではその松田二郎がジョン・ウィリアムスのレッスンを受けていたときの様子が紹介されている。ジョンの住むアパートメントを一部屋借りて週に何度かのレッスンが続いた。セゴビアの高弟であったジョンだが、その解釈は独自であった由。また、難曲と思われる曲も初見でスラスラと弾き、2回目には暗譜で弾いていたというエピソードは、やはり天賦の才をうかがわせる。


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12月号には武井守成(1890-1949)に関する基本的情報が年譜と共に紹介されている。日本におけるクラシックギターの受容という面で武井守成の果たした役割は大きい。ギターと併せてマンドリンも習得し、合奏団(オルケストラ・シンフォニカ・タケイ)を作って精力的に活動した。名門出身で経済的にも恵まれていた環境も幸いした。海外から取り寄せた貴重な楽譜コレクションの多くを関東大震災で失ってしまったことは悔やまれるが、機関紙「マンドリンとギター」や単行本「マンドリン、ギター及び其オーケストラ」「マンドリン・ギター片影」などの出版はその後のギター・マンドリン界の規範となった。


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1967年11月号からは弦測定シリーズが始まっている。同年6月号から始まった柄多勇四郎氏による「ナイロン弦の研究」の続編ともいうべきもので、当時まだ河野ギター製作所に入ったばかりの桜井正樹氏とその後独立する杉山重光氏により弦の真円度の実測が行われている。マイクロメータにより弦の長さ方向90センチに渡り、2.5センチ毎にその径の最大値と最小値を計り、長さ方向での変化をみている。弦長さ方向での変化は音程に直接影響し、真円度は弦の不正振動に影響するという見解が示されている。今日みても妥当な視点だろう。このときの測定では、オーガスチンは真円度、弦長さ方向の変化ともにあまり良いとは言えず、コンセルティステは真円度は測定個体によってバラつきはあったものの、弦な長さ方向の変化は比較的均一という結果だった。


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この年1967年、現代ギター誌発行人でもある河野賢氏製作のギターがベルギーで開かれた国際ギター製作コンクールで金賞を受賞した。河野賢氏(1926-1998)は当時まだ40歳になったばかり。すでに十名近い職工を抱えて製作所を経営し、現代ギター社の運営にも関わりつつ、充実した日々を過ごしていたのではないだろうか。写真に写っている製作所の面々に中には、その後独立して製作家となったメンバーもいる(写真後列右から三人目は松村雅亘氏)。 銘器紹介の項では、アントニオ・エミリオ・パスカル1938年、ホセ・ヤコピ1966年、ホセ・ラミレス1957年が取り上げられている。


武井守成作曲の「落ち葉の精」 小原安正による演奏。武井守成は作曲もこなし、ギターやマンドリンの独奏・合奏曲を多く残した。


武井守成作曲「行く春」 マンドリンとギターをイタリアから持ち帰り、本邦での普及に務めた比留間賢八の子、比留間きぬ子(1915-2002)による演奏。



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