ペーター・トペルツェル(p)



先日来、ラファエル・オロスコ、フェリシア・ブルメンタール…と、今となってはほとんど話題に上がることのないピアニストの盤を聴いてきた。意図的に選んだわけではなく、音盤棚を眺めていて、これまで見過ごしてきた未聴在庫点検の結果だ。20年近く前、ネットの掲示板で知り合った方から数百枚のLP盤を廉価で譲ってもらった。何でも70~80年代を中心に膨大なデッドストックがあって、そこからランダムに箱詰めしたものというふれこみだった。大きな期待もなく手に入れたが、今となっては忘れられた演奏家も多く、半世紀近い年月を経て初めて触れる演奏は中々新鮮だ。さて、きょうもその流れを受けて未聴在庫の確認。こんな盤を取り出した。


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スロバキア出身のピアニスト:ペーター・トペルツェル(1944-2010)によるショパンのソナタ第2番変ロ短調「葬送行進曲つき」とシューマンの「ウィーンの謝肉祭」を収めた盤。1975年プラハ録音。手持ちの盤は1978年にビクター音楽産業から出た国内初出盤。

70年代当時、チェコスロバキアのピアニストといえばヤン・パネンカが知られていたが、それ以上の情報は一般にはなかった。トペルツェルは1944年生まれで、プラハ音楽アカデミーで学んだのち、1972年にブラティスラヴァのコンクールで優勝。その後、国外での演奏も始まった。この盤が出た頃にはすでに自国作品に加え、バルトーク、プロコフィエフ、リストなどの録音がリリースされていたようだ。

先ほどからB面に入っているシューマンのウィーンの謝肉祭を聴いている。一聴して、至極真っ当で素直な印象の弾きぶりだ。この曲を使って何かを強烈に印象付けようとか、訴えようといった気配はない。第1楽章は闊達なロンド主題といくつかの副主題(エピソード)が交錯するが、その切り替えもスムースで違和感がない。第2楽章ロマンツァでの感情表出も控えめで好感がもてる。ぼくはピアノの技術面にはまったく不案内だが、終曲の第5楽章などでは快速に飛ばしながらも、技巧のキレを聴かせるようなところはなく丁寧な弾きぶりだ。

ジャケット写真には当時30歳になったばかりのトペルツェルが大きく写っている。クラシックのアルバムで、これほど大写しのポートレート・ジャケットは珍しいのではないだろうか。その表情には何かつくったようなところがなく、穏やかな誠実さを感じる。録音当時はまだ冷戦時代。東欧という、いわば「向こう側」にいた有望なピアニストだったのだろうが、その後の冷戦終了や国際化の荒波の中でどのように過ごしたのか…。2010年に66歳で亡くなった。


この盤の音源。シューマン「ウィーンの謝肉祭」第1楽章アレグロ


同 第2楽章ロマンツァ


同 第5楽章フィナーレ



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