由紀さおり&Pink Martini「1969」



きょうで十月も終わり…といっても何の変りもなく日々過ぎゆく。気付けば立派な前期高齢者。オジサン通り越してジイサン…まあ、ぶつぶつ言っても仕方ない。年を取れば取ったでいいこともある。昔の音楽に懐かしさを感じる度合いが強まることもポジティブ・シンキング。楽しみは増える一方だ…と粋がりながら、さてきょうはこんな盤を取り出した。


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由紀さおりがピンク・マルティーニのバンドをバックに歌ったアルバム「1969」。
2011年に米国他海外で火が付き、逆輸入の形で日本でもリリースされて話題になった。なんでも全世界で260万枚売れたそうだ。当時、由紀さおりが長らく続けてきた姉妹デュエットとしての活動をクローズすると聞き、いよいよ保守本流の歌謡曲に回帰してくれるかと期待をしていた矢先に突然海外で大ブレイクの報に接した。

ここだけの話だが、由紀さおりLOVE状態になって久しい。まず由紀さおりという名前の響きがいいではないか。さおりさん、さおりちゃん、さおちゃん…なんてね(爆)!  彼女の生まれは当地群馬県の桐生市。由紀さおりに篠原涼子…小さな町だがべっぴんさんを輩出している。この盤も話題を聞きつけ、すぐにCDショップへ急いだ。ぼくが買ったのは輸入盤。収録曲は同じだが曲順が違うらしい。多分輸入盤の方がオリジナルコンセプトだろうとそちらを選んだ。まあ、値段が国内盤の半額ということもあったのだが。収録曲は以下の通り。アルバムタイトル通り、ぼくら世代に懐かしい1969年当時のヒット曲が並ぶ。

1. ブルー・ライト・ヨコハマ (いしだあゆみ)
2. 真夜中のボサ・ノバ (ヒデとロザンナ)
3. さらば夏の日<Du soleil plein les yeux> (フランシス・レイ)
4. パフ<Puff, The Magin Dragon> (ピーター・ポール&マリー)
5. いいじゃないの幸せならば (佐良直美)
6. 夕月 (黛ジュン)
7. 夜明けのスキャット (由紀さおり)
8. マシュ・ケ・ナダ<Mas Qua Nada> (アストラッド・ジルベルド)
9. イズ・ザット・オール・ゼア・イズ<Is That All There Is?> (ペギー・リー)
10. 私もあなたと泣いていい? (兼田みえ子)
11. わすれたいのに (モコ・ビーバー・オリーブ)
12. 季節の足音

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少々危惧していた海外勢によるバックオーケストラの伴奏は、予想外に素直なアレンジで昭和40年代の歌謡曲全盛期のテイストを十分感じさせる。もちろん歌は文句なくいい。ラテンムード歌謡風アレンジに由紀さおりのまったりしたヴォーカルがのる「ブルーライトヨコハマ」。ヒデとロザンナよりずっと落ち着いた雰囲気の「真夜中のボサノバ」。彼女にしては低いキーでしみじみ歌い、こんなにいい曲だったかとグッときてしまう「いいじゃないの幸せならば」。伸びやで透明な歌声がぴったりくる「わすれたいのに」は当時モコ・ビーバー・オリーブが歌ったオリジナルの記憶がないのだが、こうして聴くとまったく由紀さおりのためのオリジナルではないかと思うほどだ。ボーナストラックの「季節の足音」ではスロー・ボッサのアレンジにのって穏やかに歌い、このアルバムを締めくくっている。


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このコンビによるライヴ「ブルー・ライト・ヨコハマ」


同 「真夜中のボサノバ」


この盤全曲のプレイリスト



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ヴィタウタス・ソンデツキス(Vc)



十月最後の週末日曜日。好天続く。昼過ぎから道楽部屋の片付け。アンプの灯を入れ、こんな盤を取り出した。


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リトアニア出身のチェリスト:ヴィタウタス・ソンデツキス(1972-)がオーケストラ伴奏でチェロの小品を入れたNAXOS盤。1998年録音。ダヴィド・ゲリンガス指揮リトアニア室内管弦楽団がバックを務める。収録曲は以下の通り。

リムスキー=コルサコフ:くまんばちの飛行
バリス・ドヴァリョーナス:湖にて
チャイコフスキー:メロディー、夜想曲嬰ハ短調
アントン・ルビンシテイン:メロディ
ダヴィドフ:バラード、泉のほとり
ドヴァリョーナス:序曲とロンディーノ
タネーエフ:カンツォーナ
ショスタコーヴィッチ:アダージョ(バレエ組曲第2番より)
ラフマニノフ:ヴォカリーズ
リムスキー=コルサコフ:セレナーデ
チャイコフスキー:アンダンテ・カンタービレ

このヴィタウタス・ソンデツキスというチェリストはこの盤で初めて知った。2000年前後にいくつかの国際的コンクールに入賞しているようだが、それ以上のことは寡聞にして不案内。この盤のタイトルは「Romantic Music For Cello and Orchestra」となっているが、さらにタイトルのどこかに「ロシアの」と付け加えたいところだ。収録曲にはこの盤で初めて接する曲もいくつは含まれている。そもそもバリス・ドヴァリョーナスというリトアニアの作曲家もまったく知らなかった。

チャイコフスキーやラフマニノフ、リムスキー=コルサコフあたりはお馴染みの曲だが、そのバリス・ドヴァリョーナスやユーリヴィッチ・ダヴィドフ、タネーエフといったややマイナーな作家の作品も美しく、チェロの特性によく合う。中では、ドヴァリョーナスの序曲とロンディーノ、タネーエフのカンツォーナなどはほれぼれする旋律にあふれている。ラフマニノフのヴォカリーズはもちろん、ショスタコービッチのアダージョもさりげなく美しい。ソンデツキスというチェリストについては何も知らないのだが、この盤を聴く限り、力に任せてバリバリ弾くタイプではないようだ。この盤の選曲によるところも大きいだろうが、やや控え目かと思うくらいの弾きぶりで、抒情的なこれらの曲想によくマッチしている。

チェロの小品集というと多くはピアノ伴奏で、オケ伴奏はありそうでない。久しぶりに聴いたが、チェロの美しい旋律が堪能できる隠れた名盤だ。


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この盤の音源。全13曲のプレイリスト


チェイコフスキー:夜想曲。バックはリトアニア国立響。指揮はソンデツキスの父親だ。


この盤には入っていないチャイコフスキー:ロココ・ヴァリエーション



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ケンペ&MPO ブラームス交響曲第3番ヘ長調



秋の宵。聴くべき音楽はブラームス。ブロムシュテットの公演が中止にならなければ、この週末には所沢でブラームスの3番を聴いているはずだった…そんなことを思いつつ、取り出したのはこの盤だ。


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ブラームスの交響曲第3番へ長調。ルドルフ・ケンペ指揮ミュンヘンフィルハーモニー管弦楽団によって1974~75年にブラームスの交響曲全集として録音された内の一枚。手元には当時出たLP盤で4曲が揃っている。80年代初頭に今はなき数寄屋橋ハンターで買い求めた記憶がある。このケンペ&ミュンヘンフィルの盤は短期間にレーベルがあれこれ変ったため、手持ちの4枚にはBASF・ACANTA・LIBEROの3種類が混在している。きょう聴いている第3番はBASFレーベル。いずれも日本での発売はテイチクだった。


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派手さとは無縁で堅実な職人指揮者というイメージがあったケンペ(1910-1976)だが、50年代からベルリンフィルを振ったり(ブラームスの交響曲他)、ドレスデンのオケとリヒャルト・シュトラウスの管弦楽曲を録音したりと、日本での人気が高まる前から欧州では一流の評価がなされていたのだろう。日本ではこのブラームスやブルックナーで70年代半ばに大いに人気を得た。ミュンヘンフィルとのブラームス録音は彼の晩年の録音ではあるが、66歳で亡くなった彼のキャリアからすれば、まさに充実した壮年期の演奏記録と言える。

速めのテンポを採った第2番などと違い、この第3番でケンペは中庸よりややゆっくりめのテンポ設定で曲を始める。どこかのパートを強調したり、テンポを煽ったりすることもなく落ち着いた歩みだ。特に緩徐楽章がいい。第2楽章は淡々と曲を進めながらもブラームスが仕組んだ聴かせどころ、終盤の弦楽のフレーズなどは深い呼吸で歌い抜く。第3楽章も有名な主題を相応に起伏を持たせたフレージングで訴えてくる。それでも全体としては整然とし、この曲に相応しい落ち着きと節度を崩さない。第3番をこうした演奏で聴くと、しみじみ秋の深まりを感じる。


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この盤の音源。第1楽章


同 第3楽章


ブロムシュテット&ロイヤルコンセルヘボウによる2014年の演奏。 第3楽章



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新・田邊ギター(続)



予定していたブロムシュテット&N響のコンサート。結局ブロムシュテットの来日かなわず、全日程が中止もしくは指揮者変更となった。ブロムシュテットからN響へ届いたコメントによると…すでに来年2024年10月にN響との演奏会がスケジューリングされている。今回は医師の指示に従い来日見合わせとなったが、来年はぜひ日本を訪れたい…とのこと。その言葉を信じて来年の来日を楽しみに待ちたい。 さて、待つと言えば注文した田邊ギターの完成も待ち遠しい。先日の記事に途中経過を記したが、きょうはその後の状況を。

注文の経緯は前回書いた通り。当初はトーレスモデルを考えてたが、その後ぼくの嗜好が変わったのと、近年のサントスモデルの出来栄えに感心したことで最終的にはサントスモデルに決めた。注文品ということで細かな設計事項に自分の好みを反映することが可能だが、今回のぼくのお願いした事項は以下の通りだ。

・ロゼッタ、パーフリング、ヘッド等の造作・装飾は極力シンプルに
・ロゼッタの幅は16ミリ
・19フレットの中央部3分の1カットがサウンドホールでカットされるように(譲れない見た目のこだわり)
・駒は3ホール(シンプルな1ホールにするかで大いに悩んだ)
・サドルは標準高と低めの2本作成

その他、ナット・サドルの材質は田邊氏と相談した結果、ナットは牛骨、サドルは標準高を象牙、低めは標準高の音を確認したあと決定することにした。また糸巻きはロジャースから選んで直接オーダー。塗装色もぼくの好みを伝えてお願いした。


ロゼッタの事前調整。幅は16ミリ。デザインはヴィルフィン・リースケ所有のサントス1925年を参照。
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ロゼッタ組込み状態。 19フレット中央約3分の1がサウンドホールでカットされる。
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象牙材の切り出し。
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ナット部 僅かにテーパが付けられ、溝にピタリと収まる。
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駒の様子。糸止め部は貝で周縁を飾り、簡素な中にも品格を与える。硬い貝の加工は中々大変だそうだが、45度の合わせもピタリ。
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ネックの削りも完了。
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水拭きで加工状態を見やすくして確認。木目がはっきり出て、加工状態や塗装したときの見栄え等を併せてチェックできるとのこと。
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糸巻を仮装着して弦を張り、ナット・サドルのセッティング確認。ヘッドデザインはロゼッタ同様、ヴィルフィン・リースケ所有のサントス1925年を参照。
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木地状態でほぼ完成。塗装を待つばかりの状態
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この記事をアップする頃には、すでに塗装に取り掛かっているだろう。仮装着した糸巻に弦を張った状態で音を確認した田邊氏より「与太さん、これ名器の予感MAXですよ。乞うご期待!」との連絡をもらった。秋深し、期待高まる、田邊ギター…楽しみに待とう。


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田邊ギター:マヌエル・ラミレスモデル。ヘッドデザインや内部構造などで今回のサントスモデルに近い要素がある。


田邊氏によるナット作成法。7本の動画からなる労作!



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荒井由実「ひこうき雲」「MISSLIM」



高校時代からの友人とのメールで先日、…社会人になったばかりの80年代初頭も40年前のことになったが、感覚としては「ついこの間」でしかない。ミレニアムに沸いた21世紀の始まりは「きのうのこと」。健康寿命の尽きるであろう20年後もあっという間にやってくる…と、そんな話になった。高齢者のたわ言ではあるが、リアルな真実だ。そうか、あっという間に人生も終わりか… そんなことを考えつつ、秋の夜長に取り出したのはこの盤だ。


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昨年デビュー50周年を迎えた松任谷由実。そのキャリアのスタートを飾った荒井由実時代の2枚のアルバム「ひこうき雲」と「MISSLIM」。それぞれ1973、1974年のリリース。収録曲は以下の通り。

「ひこうき雲」
ひこうき雲/曇り空/恋のスーパーパラシューター/
空と海の輝きに向けて/きっと言える/ベルベット・イースター/
紙ヒコーキ/雨の街を/返事はいらない/そのまま/ひこうき雲

「MISSLIM」
生まれた街で/瞳を閉じて/やさしさに包まれたなら/
海を見ていた午後/12月の雨/あなただけのもの/魔法の鏡/
たぶんあなたはむかえに来ない/私のフランソワーズ/旅立つ秋

手持ちの盤は当時のLP盤。この盤が人気になっていた頃、ぼくはまだ学生。すっかりクラシックに傾倒し、世の歌謡曲もポップスもほとんど興味を持たなかった。この盤も後年リサイクルショップのジャンクコーナーで手に入れたものだが、帯付き美品で今でもいい音を聴かせてくれる。


アルバム「ひこうき雲」は一時期アルファレコードから出ていた時期がある。手持ちの2枚の盤、左:アルファレコードレーベルALR-4006 右:東芝EMIレーベル ETP-72051
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荒井由実の音楽については門外漢のぼくなどが付け加えることはない。アルバムに収められた曲はヒット当時から半世紀を経てもなお生き生きと響くことに驚く。荒井由実の登場によって、それまでの邦楽ポップスとは一線を画す音楽的手法が当時の気鋭の若者たちによって世に出た。コードワーク、ベースライン等、荒井由実の作曲センスも素晴らしいが、アレンジやバックを務めたメンバーの手腕もそれまでの邦楽とは別次元だったことが、今こうして聴いてみるとよくわかる。

出会いや別れも、それまでの歌謡曲や四畳半フォークと違って暗さや悲痛さを訴えない。恨みつらみもなく、暗くうらぶれた居酒屋も出てこない。どの曲も穏やかな抒情をたたえ、温厚な言葉によって語られる。こうした曲想は一部の人から「山の手育ちの良家の子女的」と揶揄されるかもしれないが、今は次第に失われつつあるそんな感覚を伝えてくれる貴重な遺産だ。当時もその後もほとんど顧みることのなかった荒井由実だが、周回遅れの今頃になって妙に心に響く。残る終盤人生はこんな穏やかな音楽を聴いて過ごしたい。


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「ひこうき雲」  アルバムにはフルアレンジとピアノソロ伴奏版が収められているが、この曲はシンプルなバックが合うと思う。


荒井由実が影響を受けたプロコルハルム「青い影」から「ひこうき雲」へ


「12月の雨」


「瞳を閉じて」誕生秘話を伝えるNHK「新日本紀行」



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ブラームス クラリネット五重奏曲ロ短調



朝から野暮用外出で3時過ぎに帰宅。ちょっとした外出で疲れを感じるようになったのも、加齢ゆえか…。さて秋の夜更け、聴くべき音楽は…それはもうブラームスに決まっているだろうと、独りつぶやきながら、この盤を取り出した。


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ブラームスのクラリネット五重奏曲ロ短調。ウィーン八重奏団員よる演奏。アルフレード・ボスコフスキー(CL)、アントン・フィーツ(Vn)、ギュンター・ブライテンバッハ(Va)、ニコラウス・ヒューブナー(Vc)。手持ちの盤は、80年代初頭にミドルプライスで発売されたときのLP盤。録音は1961年。

ウィーン八重奏団はウィーンフィルのコンサートマスターだったウィリー・ボスコフスキーが主宰していた四重奏団にクラリネット・ファゴット・ホルン・コントラバスが加わって構成された楽団だ。60年代入り、ボスコフスキーがウィーンフィル四重奏団や指揮者としての活動に移るため勇退。第1ヴァイオリンがボスコフスキーから、この盤でも演奏しているアントン・フィーツに代わったとライナーノーツに記されている。ちなみに、この盤でクラリネットを吹いているアルフレード・ボスコフスキーはウィリー・ボスコフスキーの弟である。

ブラームスのクラリネット五重奏曲はモーツァルトのそれと共にクラリネットの名曲の一つだ。クラリネットの音色というと、ぼくなどは少々コミカルなイメージを持つが、ブラームスやモーツァルトの手にかかると一転深みのある音楽を奏でる。このブラームスの五重奏曲も、いかにもブラームス風の落ち着きと憂いと優しさに満ちている。特に第2楽章の美しい歌は比類がない。ここでいう美しさとは言うまでもなく、耳あたりのいいキャッチーなメロディーということではない。憧れとあきらめ、希望と悲しみ、出会いと別れ、そうしたものが隣り合わせになったブラームス特有の美しさだ。とかく軽く見られがちな第3楽章もいい。スケルツォ風の軽快な運びながら、クラリネットが楽天的になり過ぎないメロディーを吹き、弦楽合奏がそれを支える、聴き応えのある楽章だ。


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カール・ライスターと日本のトップメンバーによる演奏。


この盤と同じメンバーによる50年代モノラル録音の音源。第1楽章



スコア付き音源。カール・ライスターとアマデウス四重奏団による演奏。ギター抱えて2ndヴァイオリンのパート辺りを追いかけてみるのも初見練習に好適かと。



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シューリヒト&南ドイツ放響 シューマン交響曲第3番「ライン」



10月も半ばを過ぎた。少し前まで、長く続いた酷暑から一転した秋の気配に驚いていたが、身も心もようやく慣れてきた。しばらくはよい季節が続く。さて、このところライナー、クナッパーツブッシュと、ぼくがクラシックを聴き始めた半世紀前にはすでに物故していた指揮者の盤が続いたが、きょうもその路線でこんな盤を取り出した。


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シューマンの交響曲第3番変ホ長調「ライン」。ドイツの名匠カール・シューリヒト(1880-1967)と南ドイツ放響(のちのシュトゥットガルト放響→現・南西ドイツ放響)による演奏。1960年録音。10年程前にリリースされたコンサートホール盤復刻シリーズ中の1枚。以前からシューリヒトのこのシューマンは独自の味わいを持つ名演とされてきた。

シューマンの4つある交響曲はいずれもドイツ物の交響曲の中では好きな曲の上位に位置する。手元にはサヴァリッシュ&シュターツカペレドレスデン、コンヴィチュニー&ライプツィッヒゲヴァントハウス管、クーベリック&バイエルン放響、クレンペラー&フィルハーモニア管、スウィトナー&シュターツカペレベルリン、コリン・デイヴィス&シュターツカペレドレスデンなどの全集盤他がある。それらの第3番と比べると、このシューリヒト盤は抜きん出て個性的だ。

第1楽章の出だしから速いテンポと拍の頭でビシッビシッと決まる小気味よいアインザッツ、そしてフレーズのそこかしこに明確なアーティキュレーションを施していく。しなやかな中にもゴツゴツとした肌合い、快速調の生き生きとしたフレージングはシューリヒトの真骨頂だ。 意味のないことと知りながら、チェリビダッケ&ミュンヘンフィルと演奏時間と比べてみると、チェリビダッケ盤が全5楽章に39分を要しているに対し、このシューリヒト盤は30分に満たない。ドイツの深い森のイメージやとうとうと流れるラインの流れでなく、もっと活気と生命力に満ちた父なる河ファーター・ラインだ。

古いコンサートホール原盤のもつ冴えない録音というイメージも、リマスタリングの成果著しく、シューリヒトの音楽表現の意図同様、細部までクリアによみがえっている。もっと深くたっぷりとした響き、うっそうとしたシュヴァルツヴァルトをイメージする演奏を求める向きにはお勧め出来ないが、若々しく生気にみなぎるシューマンは一聴に価するだろう。


この盤の音源。全4楽章。ゴツゴツとした肌合いと明確なアーティキュレーションが独自で、快速調ながら軽々しさはまったくない。



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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
音楽とクラシックギターに目覚めて幾年月。道楽人生成れの果てのお粗末。

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