加藤知子(Vn)エルガー作品集



きょうで一月が終わり。正月気分もあまりないまま年明けし、変わり映えしない日常でひと月が経った。さて、きょうも夜も更けて…いつもながらの音盤タイム。今夜はちょっとリラックス…この盤を取り出した。


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エルガー作品集。加藤知子のヴァイオリン、江口玲のピアノ伴奏。1997年に山梨県の牧丘町民文化ホール(現:花かげホール)で録音されている。日本コロンビアの廉価盤シリーズ中の一枚。エルガーが生涯に渡って書き続けたヴァイオリンのための小品とソナタが収められている。収録曲は以下の通り。

1. 夜の歌op.15-1
2. 朝の歌op.15-2
3. 6つのとてもやさしい小品op.22
4. 愛の挨拶op.12
5. 気まぐれ女op.17
6. マズルカop.10-1
7. ため息op.70
8. ヴァイオリン・ソナタop.82
9. カント・ポポラーレ

<愛の挨拶>ばかりが有名になり、いささか手垢にまみれてしまった感があるが、他の小品も味わい深い。この作曲家の一面である穏やかなロマンティシズムと豊かな歌謡性に満ちた曲が続く。<夜の歌>は安息に満ちた夜のしじまを思わせ、<気まぐれ女>ではクライスラー風の軽妙な技巧を聴かせる。実際、クライスラーの愛想曲だったそうだ。短調のやや速いテンポの<マズルカ>はドヴォルザークの作品にヒントと得て書かれた由。ところどころにスラヴ風の曲想やペンタトニックが顔をみせる。<ため息>の原曲はオーケストラ、ハープ、オルガンのための作品。悲痛なロマンティシズムは作曲当時の第一次大戦に思いを寄せたものと、ライナーノーツにあった。こうした小品、そしてチェロやヴァイオリンのための協奏曲やシンフォニーなどの大曲、エルガーだけではないが、作曲家の多様な側面に等しく接していきたいものだ。


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この盤の音源。「夜の歌」


同 「マズルカ」


同 ヴァイオリンソナタ 全3楽章



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アンナ・モッフォ&ストコフスキー



日中の陽射しが暖かな一日。それでも夜半前には少々冷えてきた。ストーブに載せたやかんがコトコト音を立てる。安直にインスタントコーヒーを一杯。こんな夜は美形のディーヴァに癒されようかと、取っておきのこの盤を取り出した。


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アンナ・モッフォ(1932-2006)がストコフスキー(1882-1977)指揮の管弦楽伴奏で歌っている有名な盤。1964年録音。収録曲は以下の通り。

・カントルーブ:<オーヴェルニュの歌>から
  アントゥエノ/羊飼いの乙女/泉の水/バイレロ/牧場を通っておいで/
  女房持ちはかわいそう/子守歌
・ヴィラ=ロボス:ブラジル風バッハ第5番:アリア/ダンツァ
・ラフマニノフ:ヴォカリーズop.34-14

<オーヴェルニュの歌>は20世紀初頭にダンディ門下のカントルーブがフランスオーヴェルニュ地方の民謡を採譜しクラシカルな手法で歌曲に仕立てたもの。いずれも同地方の風光を思わせる明るい曲想。春の宵にはちょうどいい響きだ。ヴィラ=ロボスとラフマニノフは毎度お馴染み。ストコフスキーの伴奏はもっとアクが強かったのでは思ったが、こうして聴くといずれの曲も控え目に伴奏を付けていて、さすが老練の技といったらいいだろうか。ラフマニノフのヴォカリーズ、超好き~!などと高齢者オヤジが叫ぶのは我ながらどうかと思うが、すっかり通俗名曲となったとはいえ、やはりいつ聴いても胸キュンものの名曲だ。しかもハリウッドからも声がかかるほどの美貌のアンナ・モッフォが歌うとなれば尚更だ。通俗上等!ミーハー上等!…と


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この盤の音源のラフマニノフ「ヴォカリーズ」


同 「オーヴェルニュの歌」



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ジュリアーニ「私の愛する花の選集」作品46



一月も最終週。きょうも程々に寒い一日だった。しかしそこは文明社会。暖を取りつつギターの練習。こんな楽譜を取り出してひとしきり楽しんだ。


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マウロ・ジュリアーニ(1781-1829)の「私の愛する花の選集」作品46。楽譜は海外アーカイブで簡単に見ることが出来るが、校訂ノートも付いた楽譜が現代ギター社から出版されたので手に入れたもの。この曲集には10曲の小品から成る「ジュリアナーテ」作品148も収められている。「私の愛する花の選集」作品46は小品10曲からなる曲集で、以下の通りそれぞれの曲に花の名前が付されている。

1. Le Myrte ミルテ
2. La Pansée パンジー
3. Le Lis ユリ
4. Le Jasmin ジャスミン
5. La Rosmarin ローズマリー
6. L‘Oeillet ナデシコ
7. Le Narcisse スイセン
8. La Violette スミレ
9. La Rose バラ
10. Le Laurier ローリエ

ジュリアーニの作品というと明るい雰囲気とギター的な技巧をちりばめた曲想をイメージする。同時にそんな特性にいささか単調さを感じることもあるだろう。この作品46の小品集は、そんな「いつもの」ジュリアーニとはひと味違った曲想をの楽しめる。どういういきさつがあって、花の名前を付すことになったから定かでないが、楽譜を開いてざっとさらってみると、それぞれの曲の花と曲想が一致している、あるいはそういうイメージをもったのかと想像を掻き立てる。
例えば…第6曲の<なでしこ>は日本人としては楚々として可憐なイメージを持つが、この曲集では4分の2拍子アレグロ・ヴィヴァーチェの指定があって、ホ長調の闊達な動きをもつ。第9曲の<バラ>はジュリアーニにしては内声の微妙な変化と細かな装飾音風パッセージが続いて、愛と美の象徴にふさわしいようにも感じる。

道楽のギターにとやかくいうつもりはないが、バッハだ、バリオスだ、ディアンスだと、己の技術レベルを超えて結局弾けずに格闘するのもいいが、ふと足元をみて、こんな古典の小品をイマジネーション豊かに楽しむのも、セールスや集客を気にせずに済むアマチュアゆえの特権であり、務めでもあると思うがどうだろう。


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9曲目の<バラ>。 ジュリアーニにしては異例にロマンティックな曲想。 使われている楽器はミヒャエル・テムズという製作家によるトーレス:ラ・レオナのレプリカとある。


19世紀ギター(パノルモのレプリカ)で3曲<パンジー><ジャスミン><スミレ>を弾いている。もう少し感興にのった流れがほしいが…



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シノーポリ&ベルリンドイツオペラ 「オペラ合唱曲集」



先回聴いたワーグナーの合唱曲集。その流れできょうは音盤棚の隣りにあったこの盤を取り出した。


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ジョゼッペ・シノポリ(1946-2001)がベルリン・ドイツ・オペラを振って入れた「オペラ合唱曲集」。モーツァルト、ベートーヴェン、ワグナー、ウェーバーといったドイツオペラから5曲。そしてヴェルディが6曲収録されている。1982、1984年の録音。イタリアオペラはとんと縁がないのだが、この合唱曲集はときどき聴く。収録曲は以下の通り。オペラファンならずとも楽しめる選曲がいい。

1. 歌劇≪魔笛≫から 僧侶の合唱<イシスとオシリスの神に感謝を>
2. 歌劇≪フィデリオ≫から 囚人の合唱<おお、なんという自由のうれしさ>
3. 歌劇≪魔弾の射手≫から 狩人の合唱<狩人の喜びは>
4. 歌劇≪魔弾の射手≫から 村人たちの合唱<勝利だ!勝利だ!>
5. 歌劇≪タンホイザー≫から 大行進曲<歌の殿堂をたたえよう>
6. 歌劇≪ナブッコ≫から ヘブライの捕虜たちの合唱<行け、わが思いよ、金色の翼に乗って>
7. 歌劇≪十字軍のロンバルディア人≫から 十字軍兵士と巡礼の合唱<おお主よ、ふるさとの家々を>
8. 歌劇≪マクベス≫から スコットランド亡命者の合唱<しいたげられた祖国>
9. 歌劇≪トロヴァトーレ≫から アンヴィル・コーラス<朝の光がさしてきた>
10. 歌劇≪アイーダ≫から 凱旋の合唱<エジプトとイシスの神に栄光あれ>
11. 歌劇≪アイーダ≫から 勝利の合唱<戦いに勝った将軍よ、前に出よ>


こうして聴くと、豊かな声量と張りのある声質を持つ西洋人の合唱と伝統あるオーケストラサウンドの合体はまったく素晴らしい。この盤はセッション録音らしくテンポをゆっくりめに取ったスケールの大きな演奏が楽しめる。シノポリは次世代のオペラを担う指揮者として嘱望されたが、2001年にアイーダの指揮中に倒れて急逝した。 有名なアンヴィル・コーラス、そしてアイーダの凱旋の合唱と勝利の合唱…。もはや栄光も凱旋も勝利も無縁の年齢になったが、こうした曲を聴くと、先々の人生が無限で希望にあふれているように思えていた頃の気分を思い出す。


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この盤の音源。歌劇≪アイーダ≫から 凱旋の合唱「エジプトとイシスの神に栄光あれ」


同 歌劇≪ナブッコ≫から ヘブライの捕虜たちの合唱「行け、わが思いよ、金色の翼に乗って」


同 歌劇≪トロヴァトーレ≫から アンヴィル・コーラス「朝の光がさしてきた」



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ワーグナー合唱曲集



時々聴きたくなる盤というものがあるが、ワーグナーの作品もその一つだ。ドイツ語もゲルマン精神も分からずにワグナーファンなどと言うつもりはもちろんないが、かれこれ半世紀に渡り、その楽曲に親しんできた。とはいえ長大な全曲に何時間も対峙する覚悟もなく、大体は管弦楽曲集や抜粋盤を聴いて程々に手を打つことにしている。デッカのバイロイト・ライヴ盤やショルティ盤、いくつかのダイジェスト盤などを差し置いて、よく聴くのがワーグナーの合唱名場面を納めたナクソスのこの盤だ。


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フィンランド人のレイフ・セーゲルスタム(1944-)が指揮するスウェーデン王立歌劇場管弦楽団&合唱団による演奏。2003年のセッション録音で収録曲は以下の通り。

1. 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」~フィナーレ(抜粋)
2. 歌劇「さまよえるオランダ人」水夫の合唱「舵手よ、見張りをやめよ!」
3. 歌劇「タンホイザー」~入場の行進曲「夢の殿堂をたたえよう」
4. 歌劇「ローエングリン」~婚礼の合唱「真心こめてご先導いたします」
5. 歌劇「リエンツィ」~平和の使者
6. 舞台神聖祝典劇「パルジファル」~モンサルヴァートへの旅

マイナーな作曲家やマニアック楽曲を集めた盤ならともかく、ナクソスレーベルでワーグナー?…とほとんど期待せずに手にしたのだが、その予想は見事に裏切られた。何がいいって、この盤のタイトル通り、まず合唱が素晴らしい。スウェーデンは合唱王国だそうだ。中でもこの王立オペラは同国内トップにあることは間違いない。2003年から2006年の間に何度か仕事でスウェーデンを訪れた際、ストックホルムの王立フィルハーモニーのコンサートは聴くことが出来たが、ロイヤルオペラはタイミングが合わずに観られなかった。それでも大柄なスウェーデン人たちが歌う合唱の迫力は想像に難くない。それにスウェーデンはドイツ以外の国では最も数多くのワーグナー公演がある国だそうだ。歴史的にゲルマン民族とのつながりが深いスウェーデン人の血が騒ぐのだろうか。

収録されたどの曲もそうした彼らの合唱の素晴らしさを堪能できる。2曲目「さまよえるオランダ人」の有名な水夫の合唱だけでも誰しもが納得するだろう。セッション録音なのでバイロイト・ライヴ盤で聴けるような水夫達が足を踏み鳴らす音や歓声などは望むべくもないが、反面、整ったアンサンブルと発声による迫力と美しさは比類がない。マイスタージンガーも聴き馴染んだ第1幕前奏曲に出てくる様々なモチーフが合唱で響き渡り実に新鮮。リエンツィやローエングリンの合奏曲も美しい管弦楽を伴い聴き応え十分だ。

ワーグナー、それとバッハを聴いていると、星の数ほどあるクラシック音楽の中でワーグナーとバッハだけあれば、他ももういいかなと思うときがある。現実にはベートーヴェンもハイドンもブラームスももちろん捨てられないのだけれど。


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この盤の音源。「さまよえるオランダ人」水夫の合唱「舵手よ、見張りをやめよ!」


同 「タンホイザー」~入場の行進曲「夢の殿堂をたたえよう」


同 「ニュルンベルクのマイスタージンガー」~フィナーレ(抜粋)



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ベルリオーズ「ハンガリー行進曲」



先日の記事に書いたジョージ・セル&クリーヴランド管のライヴ盤。当日のアンコールとして演奏されたベルリオーズ「ハンガリー行進曲」を久しぶりに聴いて思い出し、きょうは手持ちの盤でこの曲の聴き比べをしてみた。取り出したのは写真の三点。


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まずはサバリッシュ先生(1923-2013)。1987年にバイエルン国立歌劇場管と録音した管弦楽名曲集の中のもの。いかにもサバリッシュというべきか、終始インテンポをキープ。各パートともバランスを崩さず、教科書的模範演奏という感じだ。言い換えれば、この曲に多くのリスナーが求める即興的な味わいは乏しく、いささか精彩を欠く。欠点のない演奏だが、この曲を四角四面にやっても、「はい、そうですか」で終わってしまうお手本。

続いて、先日記事にしたジョージ・セル(1897-1970)&クリーヴランド管の1970年来日ライヴ盤。シベリウス交響曲第2番のあとアンコールとして演奏されたもの。おそらくシベリウスで最高潮に達した会場の熱気を受け、その勢いのまま演奏されたのだろう、冒頭から速めのテンポで進む。録音条件もあるだろうが、ややデッドながら響きは透明を極め、低域までよくとらえられているが、決して肥大化せず、このコンビらしい筋肉質とでもいうべき音響バランス。鉄壁のアンサンブルをキープしたまま終盤一気にテンポを上げ、そのまま大団円となるあたりは鳥肌物の名演だ。

最後はポール・パレー(1886-1979)&デトロイト交響楽団による盤。幻想交響曲とこの曲の他、「海賊「ローマの謝肉祭」「トロイアの人々>」が収録されている。1958~59年録音。音質の良さで知られたマーキュリー・リヴィングプレゼンスシリーズの一枚。冒頭から輝かしい音色と広々とした音場感に圧倒される。やや強調感があるとも言えるが、少なくてもこの手の曲には相応しい音作り。フランス系指揮者ながらドイツ物も得意にしたパレーらしくやや遅めのテンポとどっしりとした低重心の響き。ジワジワと緊張感を高めつつ終盤へ。一旦テンポを上げておきながら、最後の最後で一気にテンポを落とすギミックが飛び出し、これまた大興奮のエンディングとなる。

コンサートのアンコールで演奏される機会の多い「ハンガリー行進曲」。こういう曲こそ指揮者の料理次第で如何様にもなるサンプルだろう。セルやパレーがみせる即興的な運びこそ、この曲を聴く醍醐味だ。


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セルの1970年来日ライヴ盤の音源。グランカッサの裏打ちは2分42秒から。出来のよいオーディオシステムなら、小音量ながら部屋の空気を揺るがす響きが楽しめる。3分15秒辺りから一気にアチェルランド、3分35秒辺りからさらにテンポアップ。音楽が最高潮に達したところで3分52秒から大きくリタルランド。そして4分02秒でテンポを戻して駆け抜ける。


ポール・パレー&デトロイト響盤。後半3分45秒過ぎからギアチェンジ。さらに終盤4分過ぎからテンポを上げ、ピークに達した4分25秒過ぎから一気にテンポを落とす大胆な演出!



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ベルガンサ&イエペス「中世・ルネサンスのスペイン歌曲」



14年目に入っている本ブログ。昨年末からの更新頻度アップにもかかわらず日々のアクセス数はほぼ横ばいではあるが、「心ある」閲覧者のランキング・バナークリックや拍手に支えられ日々更新を続けている。拍手の数はギターやオーディオの記事で多くなることから、閲覧者の関心はそのあたりなのかもしれないが、実態はわからない。まあ、日々の備忘録のようなものなので、このままいきます。 さて、ギター弾きを自認しながらギターの音盤を聴くことが少ないなあと思いつつ音盤棚を見渡し、きょうはこの盤を取り出した。


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スペインを代表するメゾ・ソプラノのテレサ・ベルガンサ(1933-2022)がギターのイエペス(1927-1997)の伴奏で、スペインの中世からルネサンス期の歌曲を歌っている1974年録音の盤。本来であればビウエラ(写真下)の伴奏が相応しいのだろうが、当時人気を博していたベルガンサの相方として、10弦ギターで世界的に活躍していたイエペスが選ばれたのだろう。少し細かくなるが収録曲は以下の通り。

01 アルフォンソ10世賢王:バラの中のバラ(Rosa das rosas)
02 ミゲル・デ・フエンリャーナ:アンテケーラの陥落(Pérdida de Antequera)
03 作者不詳:ディンディリンディン(Dindirindín)
04 アロンソ・ムダーラ:ダビデ王は悲しんでいた(Triste estaua el rey David)
05 作者不詳:悪い報せだ、カリーリョ(Nuevas te traygo, carillo)
06 作者不詳:人びとは大きな喜びに(Los hombres con gran plazer)
07 フランチェスコ・デ・ラ・トーレ:語れ、悲しい心よ(Dime, triste corazón)
08 エンリケス・デ・バルデラバノ:恋よ、どこからやってくる(De dónde venis, amore?)
09 ルイス・デ・ミラン:一生かけてそなたを愛した(Toda mi vida os amé)
10 フアン・デ・トリアーナ:言って下さい、御母よ(Dínos, madre del donsel)
11 アロンソ・ムダーラ: 誰か、私を呼ぶような(Si me llaman a mí)
12 フアン・デル・エンシーナ:巡礼(Romerico)
13 フアン・バスケス(ミゲル・デ・フエンリャーナ編曲):きみは私を殺めた(Vos me matastes)
14 ルイス・デ・ミラン:母さま、あの騎士が(Aquel caballero, madre)
15 アロンソ・ムダーラ:澄んで涼しい流れ(Claros y frescos rios)
16 アロンソ・ムダーラ:イサベルや、帯を失くしたね(Ysabel, perdiste la tu faxa)
17 ルイス・デ・ナルバエス:何をつかって洗いましょう(Con qué la lavaré?)
18 フアン・バスケス(ディエゴ・ピサドール編曲):バラの木の泉に(En la fuente del rosel)
19 アルフォンソ10世賢王:サンタ・マリア(Santa María)

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中世・ルネサンスのスペインは、教会音楽、宮廷・世俗音楽、いずれもがヨーロッパの中でも独自の音楽文化を築いたという。ぼくらギター弾きには、ランやナルバエス、ムダーラといった、ほんの僅かなビウエラの作曲家の名前が思いつく。この盤では無名の歌曲に加え、そうしたビウエラ作曲家達の世俗歌曲が多く収められている。ちょっと歌詞をみると、「ウグイスよ、ウグイスよ、わたしのこの便りを運んでおくれ、男友達に告げておくれ、わたしはもう亭主持ちだと」「マリ・ミンゴの娘がさきの日曜、結婚したぞ、あの村の若者と、お前にとっちゃひどいことさ、悪い知らせだぜ、お前はこんなにいい若者なのに」…といった具合に、たわいのない色恋沙汰の歌詞も多い。当時のスペインの民衆も宮廷人もこんな歌を歌っていたのだろうか。

ジャケット写真からも美しさがうかがえる民族衣装姿のベルガンサ、控えめな紳士然としたイエペス。当時ともに40代で人気アーティストだった。イエペスのギター独奏の演奏にはあまり感心したことはないのだが、この盤のイエペスは中々いい。お国物への共感もあってか、曲の時代性や背景を理解し、抑制の効いた表現で楚々と歌い、弾いている。


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この盤の音源。収録曲全19曲の再生リスト


イエペスのソロでルイス・ミラン「6つのパバーヌ」(原曲はビウエラ) ぼくら世代の中級アマチュアは必ず手がけた曲の一つ。



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音楽とクラシックギターに目覚めて幾年月。道楽人生成れの果てのお粗末。

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