バッハ フルート作品集



ここ数年に比べて寒い日多かった今年の三月。きのう午後からようやく暖気流入。桜もこれからボチボチだ。野暮用一つ二つ。続いて道楽部屋の片付け。BGMにしたのはこの盤。


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ブリリアント版バッハ全集ボックスのフルート作品集。ステファン・プレストン(1945-)のトラベルソとトレヴァー・ピノック(1946-)のチェンバロ。伴奏部が通奏低音による曲ではジョルディ・サヴァールのガンバが加わる。1975年録音。以下のバッハのフルート作品8曲がCD2枚に収録されている。

 フルートとチェンバロのためのソナタ BWV1030-1032
 フルートと通奏低音のためのソナタ BWV1033-1035
 2本のフルートと通奏低音のためのトリオ・ソナタ BWV1039
 無伴奏フルートのためのパルティータ イ短調 BWV1013

曲のタイトルでも分かる通り、BWV1030~1032の3曲はチェンバロパートが記譜されたもので、BWV1033~1035は通奏低音で記譜され、実際はそのリアライゼーションによって演奏される(この盤ではチェンバロとガンバ)。バッハのフルート作品の中ではBWV1030ロ短調のソナタがもっともよく知られ、また傑作でもあるが、今夜はBWV1034ホ短調のトラックを選んだ。

 第1楽章 アダージョ・ノン・タント
 第2楽章 アレグロ
 第3楽章 アンダンテ
 第4楽章 アレグロ

セオリー通り、ゆっくり、はやい、ゆっくり、はやいの4楽章構成。トラヴェルソの演奏ということもあって(加えて通奏低音がチェロではなく、ガンバということもあって)、冒頭のアダージョから落ち着いた渋めの響き。第2楽章のアレグロになって、トラヴェルソの技巧的なフレーズやそれに絡む通奏低音も闊達に響き、ようやく音楽は活気付く。第3楽章は温かみのある穏やかな旋律が長調と短調と行き来する。終楽章は再びソロの技巧の見せ所。ガンバによる通奏低音も負けずに活躍し、バッハらしい精緻なポリフォニックな響きが続く。

モダンフルートによる演奏ならずっと明るく華やかな響きになるところだが、やはりトラヴェルソの響きはぐっと渋く、趣き深い。ピッチや、音域の高い方低い方のコントロールは中々大変そうというのが聴いていても分かる。しかし柔らかいアタックと独特の音色は現代にはない響きで魅力的だ。1975年の録音ながらアナログ最盛期らしく美しい音で録られていて、廉価盤ボックスセットというエクスキューズは不要のよい演奏だ。


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この盤の音源。BWV1034(前半二つの楽章)。 音量レベルが少々低い(原盤も同様)。


BWV1034。ギター伴奏による演奏。


ホ長調のソナタBWV1035。ギター伴奏による演奏。ギターは名手ジョン・フィーリー


アナ・ヴィドヴィッチが弾くBWV1013:アルマンド



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サウンドバーガー



随分前に手に入れながら長らく放置状態だったオモチャをようやく箱から取り出した。


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オーディオテクニカ製のレコードプレーヤー「サウンドバーガー」。一昨年、2022年秋にネットで限定発売され、その後昨年春からレギュラー商品としてラインナップされた。ぼくら世代以上の中には80年代に目にした輩も多いだろう。今から42年前の1982年に発売されたサウンドバーガー。カセットウォークマンで一世を風靡していたソニーもほぼ同時期に、カセットテープに続きレコードも屋外に持ち出そうというコンセプトで「フラミンゴ」というポータブルレコードプレイヤーを発売した。リニアトラッキングを採用した「フラミンゴ」はその名が体を表わすように直立使用も可能で、見た目にもユニークな製品だった。

ソニー「フラミンゴ」
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若い世代に昭和時代の歌謡曲・ポップスが注目され、同時にそのメディアであったアナログレコードがちょっとしたブームになっていることは知っているが、実態はどの程度のものか。今の若者とってはレコード盤はレトロ感と見知らぬ新しさを兼ね備えた、中々魅力的な「モノ」ということだが、ぼくのようにレコードで音楽に親しみ、それを引きずっているものにとっては、その辺りの実態・実感がよくわからない。しかし、このサウンドバーガーのような製品が40年の年月を経て復刻され、ネット販売では瞬時に売り切れとなり、その後レギュラー化される様子などみると、確実な需要があるのだろう。

40年前の復刻ではあるが、今どきの製品らしく、外部機器との接続にはライン出力に加え、Bluetoothが備わっている。セットアップを終え、ライン出力でアンプに接続して鳴らしてみると予想外の音質で驚いた。そもそもアンプを通してスピーカーからいつも聴いているレベルの音量で鳴らせるとは思わず、プレイヤーがポータブルならアンプやスピーカーもデスクサイドで聴く程度のコンパクトなものが相応だろうと思っていた。ところだどっこい、アンプのボリュームを恐る恐る上げていくと、破綻することなく鳴る。歪みっぽさはなく、無音溝のトレースノイズも不快なゴロゴロ音も気になるほどではない。もちろん中高音のレンジ、分解能はまともなプレイヤー・カートリッジには及ばないので、女性ボーカル高音域のスカッと抜ける感じや、オーケストラ弦楽部の絹糸のような冴え冴えとした音色は望めない。がしかし、オモチャ感100%の見た目から想像するよりは遥かにまともな音だ。フルボリュームで鳴らしたスピーカーから出る音を聴いたら、おそらく多くの人は「いいんじゃない!」と返答する気がする。何の前提もない若い世代の、ともかくレコードとやらを聴いてみたいというリクエストに応えるには十分だ。もちろんぼくら世代でかつてレコードの親しみながらその後疎遠になっている輩も、こんな小道具とBluetoothスピーカーやヘッドフォンで久しぶりに古いレコードを聴いてみるのもいいだろう。


サウンドバーガーのライン出力からZOOM社のレコーダーQ2n-4Kに入力して録音してみた。


渋いブラームスもいけるぞ!


How to use SOUND BURGER


若い世代が感じるアナログ・ワールド



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オーガスティン・ヴィーデマン(g)「Guitar Music of 90’s」



今冬は当初暖冬の予報だったが、どうもこの三月は寒い日が多く、関東地方でも先週末には小雪が舞う程の天気だった。桜前線も昨年より遅れ気味の様子。これから一気に開花に進むのか…。さて、きょうもダラダラと無為に過ごし、道楽部屋の整理は遅々として進まず。溜息まじりに一服。BGMにこの盤を取り出した。


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1992年のハバナ国際ギターコンクールで優勝したドイツ生まれのオーガスチン・ヴィーデマン(1965-)というギタリストが1990年代のギター曲を集めて弾いている盤。ARTENOVAという輸入廉価盤レーベル中の一枚。以前は都内の店ではよく見かけたレーベルだが最近目にしない。収録曲は以下の通り。3.を除き他は数曲の小品で構成されている。

 1. ローラン・ディアンス:フランスシャンソン集
 2. ボグダノヴィッチ:ジャズソナタ
 3. スティング:孤独のメッセージ
 4. ヘルムート・ヤスバー:4 Miles 2 Davi

いずれの曲も耳に心地よく、夜更けのBGMとしても最適だ。ローラン・ディアンス(1955-2016)の有名なフランスシャンソン集からは全26曲中5曲が選ばれている。いずれもジャスとポピュラーのテイストを帯びた曲想をクラシックギターの技巧にのせて奏でられる。フランスシャンソン集は挑戦してみたい曲ではあるが、楽譜を見るとクラシカルな古典的素養だけでは初見がききにくい譜割りだ。ジャズギタリストが耳コピーして弾けば、正確さはともかく、雰囲気は掴んでいとも簡単に弾くのかもしれない。ボグダノヴィッチのジャズソナタもしばらく前から人気の曲。スティング「孤独のメッセージ」はポピュラーファンにはお馴染み曲だろう。

一般の音楽愛好家から、クラシックギターってどういうギタージャンル?と聞かれて説明しようとすると中々難しい。19世紀の古典ギター隆盛期の話をしたらいいのか、よく知られるアルハンブラの思い出やアランフェス協奏曲をサンプルに出すのか…。あるいは、この盤に取り上げられているようなジャズやポップステイストとクラシカルなギター技法とが融合した「今どき」の作品がよいサンプルなのか。おそらくギター弾き自身も確信を持てないケースが多いように思う。


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この盤の音源。ディアンスのフランスシャンソンから「Un jour tu verras」


この盤の音源。ボグダノヴィッチ「ジャズソナタ」 第3楽章


この盤の音源。全16曲のプレイリスト


ヴィーデマンの弾くバリオス「País de Abanicos」 2013年の演奏



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ポリーニのショパンピアノ協奏曲第1番ホ短調



マウリツィオ・ポリーニが亡くなった。享年82歳。今朝のネットニュースで知った。ぼくら前後の世代にとっては青春時代から今日まで、実力・人気とも、常に世界のトップといってよいピアニストだった。合掌
かつて音楽に親しみ始めた頃に若き俊英だった指揮者や演奏家の訃報にふれる機会が増えてきた。マゼール、アバド、小澤、ポリーニ…みな鬼籍に入った。気付けば自分も相応の年齢。長いようで短い人の一生に思いを馳せざるを得ない。そんなことを考えつつ、取り出したのはこの盤だ。


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マウリツィオ・ポリーニ(1942-2024)が弾くショパンのピアノ協奏曲第1番ホ短調。パウル・クレツキ(1900-1973)指揮フィルハーモニア管との演奏。ポリーニが1960年のショパンコンクールにおいて弱冠18歳で優勝し、その直後にロンドンで録音されたもの。ポリーニの最初のセッション録音にして、ライヴ録音を除き、この曲の唯一の録音だ。手持ちの盤は80年代初頭にミドルプライスで再発されたときの盤。70年代中庸には例の緑色ジャケットの廉価盤セラフィムシリーズで出ていた。この再発盤の帯には最新カッティング盤と記されている。例によってかつて出張先の大阪・梅田の中古レコード店で手に入れた。

よく知られているようにポリーニは1960年のショパンコンクールで優勝を飾った直後にこの録音を残し、そのあと十年近く第一線から姿を消して研鑽を積んだ。そしてその後あらためて一連のショパン録音他で世に出ることになる。その意味でコンクールでの優勝と18歳という人生の一瞬の輝きともいうべき時の貴重な録音だ。

クレツキ指揮フィルハーモニア管のやや抑え気味の落ち着いた表情と淡々とした運びの前奏が美しく響く。アナログ最終期の最新カッティングも奏功してか、まったくといってよいほどトレースノイズを感じない。<北の宿から>を思わせるホ短調のモチーフも楚々と奏され、そしてピアノが入ってくる。ポリーニのピアノは意外にもと言ったらいいだろうか、勢いのある若者というイメージとは少し違う、落ち着いた弾き振りで始まる。今どきのコンクール優勝者であれば、もっと派手な弾きぶりで攻撃的とさえ言えるほどに攻め立てるような演奏をしがちだろうが、この盤のポリーニにそういう気配はない。もちろん技術的には優秀で余裕は十二分にあるのだろうが、力でねじ伏せる感じがまったくなく、終始しなやかに瑞々しく歌う。展開部や終盤の一部でさすがの力を感じるが、それとても汗の匂いなどは皆無だ。70年代以降の完璧な技巧とメカニズムが先に聴こえてくる演奏とは随分印象が異なる。まさに詩情あふれる清廉な弾きぶり。ロンド楽章の第3楽章でも印象は変らない。

第2楽章はそうした資質が一層映える。ショパンがこの曲を書いたのは20歳のとき。そして第2楽章について彼自身は「アダージョはホ長調で、静かな憂いを帯びた気持ちから生まれた。これは春の美しい月夜といった、多くの心地よい思い出を呼び覚ます風景にふれた印象を書いたのだ」と記している。そうしたショパン自身の当時の有り様と、この録音のポリーニの演奏とはまさに一致するように感じる。同時に桜の咲き始めるこの時期にも相応しいのかなあと思い、聴いているこちらも若き日に戻った気分になるのだ。


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この盤の音源。全3楽章


2016年ティーレマン&BPOと。第2楽章の一部


ポーランドのギタリスト:イェジィ・ケーニッヒによるギター編。最初にタイトルを見たとき我が目を疑った。全3楽章。第1楽章冒頭のオケ部は省略されている。



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ミッシャ・エルマン(Vn) クライスラー愛奏曲集



ちょうど一年前、年度末業務が片付くとともに三月末で退職が決まった頃、呑気に東京散歩をしていたことを思い出す。 さて、きょうは野暮用あってあわただしく過ごすも昼過ぎには一段落。渋茶で一服しつつ、この盤を取り出した。


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オールドファン、それもぼくら世代よりひと回りかふた回り上の世代には懐かしいミッシャ・エルマン(1891-1967)。 19世紀末生まれでSP時代からの盤歴を持つエルマンの録音はCD時代になってからは中々入手が難しかった。このクライスラー小品集は十数年前、日本コロンビアのヴィンテージシリーズとして廉価盤で復刻されたときに手に入れた。収録曲は以下の通り、クライスラーのお馴染みの曲が少し珍しい曲も含めて収められている。録音は1960年と最晩年の1966年。

愛の喜び/スラヴ舞曲 作品72の2/美しきロスマリン/
ジプシーの女/ベートーヴェンの主題によるロンディーノ/
ウィーン奇想曲/グラナドスの様式によるマラゲーニャ/
コレッリの主題による変奏曲/マルティーニの様式による 「祈る女」/
ボッケリーニの様式によるアレグレット/フランクールの様式によるシチリアーノとリゴードン/
スラヴ舞曲 作品46の1/プニャーニの形式による前奏曲とアレグロ/
マルティーニの様式によるアンダンティーノ/クープランの様式による 『才たけた貴婦人』/
スラヴ幻想曲 ロ短調

エルマンの名でまず語られるのは<エルマン・トーン>と称されたその特徴的な音色だ。太く、甘く、たっぷりとした音、ちょっと鼻にかかったような、周波数レンジの狭いSP盤のような印象さえある特徴的なもの…そんなイメージだろうか。ヴァイオリンに関してはまったく不案内なので、その秘密を語ることは出来ないのだが、楽器そのものや楽器細部の調整、弦や弓の選択、そしてボーイングの力加減や左手の押弦、そうしたものが合わさって出てくるものだろう。時代からしてもクラシックギターにおけるセゴビア・トーンと状況は似ているかもしれない。

しかしこの盤で聴ける音色は60年代のステレオ録音であることも手伝って、そうした先入観なしで耳を傾ければ、それほどオールドファッションという感じはない。再生装置の傾向もあるだろうが、意外にも音はシャープかつ繊細だ。もちろん音は太く豊かに響き、ヴィブラートのかけ具合も現代のスタンダードよりたっぷりしているが、いかにも古いなあというほどではない。もっともエルマンの真骨頂はSP時代までで、晩年は技術的にも衰えがあって万全ではないというのが定説でもある。

演奏のスタイルは19世紀的要素を持ち合わせたロマンティックに寄った解釈だが、甘くはあっても歌いまわしは中々繊細で、「こってり厚化粧で全体に反応が鈍くて…」という感じはまったくない。クライスラーの小品にはぴったりだ。また、晩年の録音というこもあって、速いテンポで鮮やかに弾き切るというものではないため、全体にゆっくりしたテンポを取っているが、それが曲を深く見据えることにもつながり、一つの味わいになっている。昨今ではこうした際立った個性の音色を持つ奏者は、どの楽器でも少なくなってしまった。


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この盤のLP音源。「フランクールの様式によるシチリアーノとリゴードン」


この盤全曲の再生リスト


「美しきロスマリン」を弾くエルマン。この盤の録音と同時期1962年のものとのこと。例によって!マークが出ているが、「YouTubeで見る」をクリックすればOK



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言行不一致にもほどがある!



優秀なアキュフェーズを勝手な理由で放り出し、ヴィンテージ路線でいくだの、アンプはプリメインが潔いだのと言っておきながら、何だこのザマは…言行不一致にもほどがあるぞ、という話。


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昨年末、マランツPM-5とルボックスB226がやってきて、これで終生幸せな日々を送れるかと思っていた。しかしB226が到着後の初期不良かつ修理不能でサヨナラ(返品・返金)。出鼻をくじかれてしまった。そうなると無傷のアンプまで途端に輝きを失ってくる。 意気消沈していたこちらの様子を伺っていたかのように、いつも利用するハイファイ堂HPに懐かしいセットが登場した。1977年にDENONから発売されたセパレートアンプ:PRA-1003とPOA-1003。社会人になって初めてのまともなオーディオセットを買おうと思った際に候補にしたモデルだった。当時セパレートのセットを買うまで資金がなく、結局同社のプリメインアンプPMA-850を手に入れたが、そのときの記憶が蘇ってきた。商品説明によれば、ひと通りメンテナンスの手も入っていて価格も適正。懐かしさもあってその日のうちに注文を入れた。


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到着後、さっそく開梱・音出し。45年余の年月を経ている割には外観もまずまず。音もほぼ初期性能を維持している様子で良好だ。パワーアンプPOA-1003は格別ハイパワーというわけではないが、内部構造はコンパクトながら左右独立したツインモノラル構造。大型トランス2器と片チャンネル当たり44,000uFのコンデンサが奢られている。前面パネルの据えられたピークメーターは大型かつ針の振れ具合もいい塩梅で見やすい。出力段は当時から現在まで続くDENON特有のシングル構成。今では見られなくなったキャンタイプTO-3型のトランジスタが懐かしい。パワーアンプの機能として重要なDCオフセット、ドリフト抑制の制御も万全のようだ。

一方、プリアンプPRA-1003はごくオーソドクスな機能とスペックながら丁寧な回路構成。エミッタフォロアの出力段には±38Vが供給され、最大出力20Vrmsと中々のスペックだ。2系統あるフォノ入力は左右独立した基板で構成されているが、MC入力には対応していない。ここは手持ちの昇圧トランスENTREのET-15でしのぐことにした。


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両機器とも幅・奥行き・重量共に最近の機器に比べるとコンパクトで、物量で他を圧する気配はない。細かな設定をするスイッチ類は前面下部のパネル内に収められていてスッキリとした印象。外観デザインはオーディオマニア的には少々淡泊過ぎる気もするが、いま見ると程々のレトロ感も漂い、悪くない。さて、これで残る人生を静かに送れるのか…。いやいや、そう簡単にはいかないだろう。言行不一致上等! 懲りない道楽人生だ。


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以下は例によって参考にもならないお遊び動画。プリアンプPRA-1003の出力をいつも使っているレコーダーZOOM社Q2n-4Kの外部入力に接続して録音した(スピーカーからの空気録音にあらず)。音の確認には適当でない音源(盤のコンディションもあまり良くない)だが、たまたま聴いていたブラームスのヨッフム盤で様子見。プリアンプの上にのっている黒い機器は10年程前のSACD対応パイオニアDVDプレイヤー。当時の売価1万円程。ハイエンドオーディオメーカー:ゴールドムンド社が中身をそっくり移植し100倍の値付けで販売したという例のモデルだ。音はまともで、B226の代打として久々に引っ張りだしたが、そのままレギュラーに。



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J・ブリーム 「Plays Granados and Albeniz」



予想外に寒かった三月前半が終わり、先週後半からようやくこの時期らしい暖かさになってきたが、きょうは冬に逆戻り。寒い一日となった。暖を取りつつ道楽部屋の整理整頓。作業用BGMに選んだのはこの盤だ。


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ジュリアン・ブリーム(1933-2020)の録音を代表するアルバム10枚をオリジナル・ジャケットのデザインで復刻したボックスセット。2011年のリリース。その中からスペイン物を弾いた一枚を取り出した。収録曲は以下の通り。ギター弾きにはお馴染みのグラナドスやアルベニスの編曲物が収められている。1982年録音。

グラナドス:献呈、ゴヤの美女、スペイン舞曲第4番、第5番、詩的なワルツ集
アルベニス:マジョルカOp.202、スペイン組曲Op.47、コルドバOp.232-4

高校2年になった頃に始めたクラシックギター。半年ほどして少々楽譜も読めるようになって初級向けの古典的なエチュードをさらい、その後はタレガのアラビア風奇想曲、ソルのグランソロや魔笛バリエーションあたりにトライした。同時にFMで聴くアルベニスやグラナドスといったスペイン物のギター編曲版にも興味を持ち始めた。当時出回っていた好楽社の楽譜など手に入れてさらってみたが、これが滅法難しかった。アルベニスのセビリアなど、カッコいいなあと思いながら楽譜を広げると、ほとんどお手上げだった。まあ、ギターを始めて1年にもならない頃だったから無理もない。以降、スペイン物からは次第に距離を置くようになってしまった。

そんなスペイン物をあらためて聴くようになり、楽譜を広げようと思うようになったのは、五十を過ぎてギターを再開し少したった頃だった。かつては酔っぱらいのふらふら歩きのようで、忌み嫌っていたセゴビアの弾くアルベニスやグラナドスに味わいを感じるようになり、ギター1弦ハイポジションが奏でるつややかな音色はピアノのよりも相応しいのではないかとさえ感じるようになった。そんな過去のあれこれを思い出しながら聴くこの盤のブリームは中々素晴らしい。

収録されている曲はギター弾きにはお馴染みの曲ばかりだが、そのいずれも技巧的な模範として、またギターの多彩な音色のサンプルとして一級品だ。ブリームらしく、時に大胆な音色変化やテンポルバートなどもあるが、この時代のスペイン物の表現としては過度なところはなく、むしろブリームらしいノリの良さに通じ、中々痛快。 選曲、演奏、録音…三拍子揃った良い盤だ。聴いていると楽譜を広げてトライしてみようという気になるのだが、技巧難易度の高さは昔と変わらないことに気付き、溜息をついてしまう。


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この盤の音源。全曲のプレイリスト


この盤を併せて作られた映像作品。グラナドスの詩的ワルツ集から



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音楽とクラシックギターに目覚めて幾年月。道楽人生成れの果てのお粗末。

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