ピアソラ<タンゴ組曲>



早いもので二月も最終週。またいつもの一週間が始まった。
きょうは大そう暖かな一日。夜になっても昼間の暖気が残っている。一旦スイッチを入れた暖房も早々にオフし、かわってアンプの灯を入れ音盤タイムとなった。


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先週末のイベント打上げの席では様々な音楽談義となったのだが、ギター弾き以外の楽器愛好家の中でのギターに対するいくつかの共通認識もあらためて確認した。ギターそのものは世の中でもっとも大量にあふれ、身近な楽器であるものの、その歴史や実態はあまり認知されていないこと、そして楽曲に関しては伝統的なクラシカルな世界とは別の領域にあるものという認識も強い等々。そうした認識は実はギターを弾く側にも正しい認識がされていない実情を反映しているといっていいだろう。楽曲に関して言えば、ソルやジュリアーニの名前が出てくることはなく、ロドリーゴ(アランフェス協奏曲)、シューベルト(シューベルトがチェロパートを付け加えたマティエカ作の例のカルテット経験者が複数いたため)、そしてピアソラの名前が出てきた。特にピアソタ<タンゴの歴史>の知名度は高く、チェロ弾きとその伴奏者の集まりだったが、話をしたほぼ全員の口から<タンゴの歴史>の名前が出てきた。そんなこともあって、今夜はピアソラがギターデュオのために作った<タンゴ組曲>を聴くことにした。

取り出したのは、ラテン系ギターデュオの創始者ともいえるアサド兄弟による<中南米のギター音楽>と題された1枚。手持ちの盤は、10年程前に廉価盤で出た際に手に入れたもので、現在も入手可能。収録曲は以下の通り。1985年録音。

ピアソラ/タンゴ組曲
 I.Deciso、II.Andante、III.Allegro
ブローウェル/ミクロ・ピエサス
 I.Tranquillo、II.Allegro vivace
 III.Vivacissimo muy ritmico、IV.Sonoro
パスコアール/ベベ
ジナタリ/組曲「肖像」から
 アナクレート・ジ・メデイロス
 シキーニャ・ゴンザーガ
セルジュ・アサド/
 珊瑚の市レシーフェ、ヴァルセアーナ(ワルツ風)
 大鬼蓮、跳躍
ヒナステラ/たそがれの牧歌~バレエ「エスタンシア」から

ピアソラは30代になってから、それまで関わっていた伝統的なタンゴ音楽の新開地を求めるべく、クラシカルな世界を学ぼうと渡仏。ナディア・ブーランジェに学んだ。ぼくらが今ピアソラの曲として認知しているのはほとんどがそうした彼の後半生の音楽といえる。
<タンゴ組曲>はピアソラがこの盤の演奏者であるアサド兄弟に献呈した。タンゴ…とあるが、他のピアソラのタンゴ作品同様、舞踏音楽としての要素は希薄で、三楽章からなる自由な形式の組曲。フランスで学んだ成果といえるような近代的な和声感や自由な曲構成、伝統的なラテン的な歯切れのいいリズムやセンチメンタリズムが同居する。演奏には高いレベルの技巧が要求され、アマチュアレベルではまともな演奏は難しい。この盤のアサド兄弟は、高い技巧レベルと持ち前のリズム感の良さ、そして<泣かせる>歌いっぷりをもって完璧に弾きこなしていて見事というほかはない。


<タンゴ組曲>全曲。イタリアの新しいデュオユニットによる演奏。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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