カルカッシ<ルソーの夢>変奏曲



昼をはさんで野暮用外出。外は少々冷たい風が吹いていたが、帰宅後、昼下がりの室内は穏やかに陽が射し込み、小春日和。久々にのんびりギターを取り出す。先週、チェロ相方との二重奏本番を終え、当面これといった目標もなく(大体いつもないのだが…)、手持ちの楽譜の拾い弾きでのんびり過ごした。いくつかの楽譜に混じって、懐かしい曲があったので少しさらってみた。


Jean-Jacques_Rousseau_(painted_portrait).jpg  DSCN3240 (480x480)


ギター弾きには教則本でお馴染み、マッテオ・カルカッシ(1792~1853)による<ルソーの夢>変奏曲作品17。手持ちの楽譜は60~70年代に出回っていた、今は無き好学社のピース。オレンジ色の表紙に国藤和枝編の文字が懐かしい。
社会契約論で有名なフランスの思想家ジャン・ジャック・ルソーは音楽家としても活躍した。<ルソーの夢>と題されるこの曲の元歌は、彼が書いたオペラの中のもので、当時イギリス、フランスではかなり流行ったとのこと。日本では童謡<むすんでひらいて>と言えば、なんだあの曲かとなるだろう。ギターのみならず当時の音楽マーケットでは、流行りのオペラのアリアを使った変奏曲やポプリは重要なジャンルの一つだった。この曲も、イタリア生まれながら生涯の多くをフランスで過ごしたカルカッシが耳にして、さっそくギター用にアレンジしたのだろう。

ラルゲットの比較的長い序奏のあと<むすんでひらいて>の主題が提示され、その後9曲の変奏が続く。変奏それぞれは、当時19世紀古典期のギター曲にみられる典型的な技巧をベースにしている。和声的には特別凝ったところはなく、簡潔な古典的和声感。グッとくるほどの響きの良さはないが、当時の雰囲気を楽しむには相応だ。中では2声が絡み合うように進む第2変奏、和声の変化が楽しめる第5変奏、短いながら唯一短調に転じる第8変奏あたりが充実している。最後の変奏が属七の和音で擬終止したあと、アンダンテ・エスプレシーヴォの回想的な8小節のフレーズがあって曲は終わる。自称中級諸氏には基本技巧の復習に好適な素材かと。


Boijeコレクションにある楽譜。
http://boije.statensmusikverk.se/ebibliotek/boije/pdf/Boije%2085.pdf



石村洋氏の演奏。



もうひとりのシューベルトとでもいうべき、同時代にドレスデンで活躍したフランツ・アントン・シューベルトによると伝えられる<ルソーの夢>変奏曲。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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