ブラームス<弦五第二番>



三月最初の土曜日。終日雲に覆われ、冬の寒さの一日。昼前から野暮用外出。五時過ぎに帰宅した。そろそろ出番少なくなるはずの暖房機も今夜は全開。ようやく暖かくなったところでラックスマンL-570の灯を入れてスタンバイ。本体上部がほんのりと暖まったところで、こんな盤を取り出した。


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ブラームスの弦楽五重奏曲第二番ト長調作品111。ベルリンフィルメンバーによる1970年の録音。弦五の一番と二番がそれぞれA面B面に収められている。手持ちの盤は1979年に<室内楽1300>と称されたフィリップス系廉価盤シリーズ中の一枚。演奏団体名はベルリン八重奏団としてクレジットされて、その中の以下のメンバーが参加している。土屋氏は1959年から2001年まで当時BPO唯一の日本人プレイヤーとしてに在籍。この録音は入団から10年を経った頃のもので、名実共に名門オケのヴィオラ奏者として活躍していた時期の記録となる。

 アルフレッド・マレチェック(Vn)
 フェルディナンド・メツガー(Vn)
 土屋邦雄(Va)
 ディートリッヒ・ゲルハルト(Va)
 ペーター・シュタイナー(Vc)

ブラームスの五重奏ではクラリネット五重奏曲、ピアノ五重奏曲がまっさきに頭に浮かぶが、管もピアノもない弦楽五重奏曲、取り分けこの第二番もいかにもブラームスらしい渋さに満ちている。加えて、この曲には渋さゆえの難解さがない。全楽章とも穏やかな歌謡性を持ち、親しみ易い。ベートーベン最晩年の室内楽やピアノソナタが、深く瞑想的かつ常人を受け付けないようなところがあるのとは対照的だ。ぼく自身はブラームスの室内楽中、もっとも素晴らしいものの一つと感じる。

第1楽章、冒頭こそ明るいト長調で始まるが、決して陽光さんさんと降り注ぐ明るさではない。穏やかで平和的ながら、ほの暗い落ち着きも併せ持って曲が進む。2本のヴィオラによる響きは中音部が厚く、それでいて同じブラームスのチェロを2本にした弦楽六重奏ほどの重さはなく、程よく重厚で温厚な響きだ。
第2楽章と第3楽章はそれぞれニ短調、ト短調の短調に転じる。第2楽章はヴィオラの哀愁に満ちた主題で始まり、ヴァイオリンによって変奏されていく。最後に主題が回想され、長調に転じて終止するあたりは本当に美しい。続く第3楽章のレントラー風のメロディーも一度聴いたら忘れないほど印象的なものだ。哀愁に満ちた旋律を各パートが綾を成すように展開される。終楽章はブラームス得意のハンガリー風(ロマ風)のモチーフで始まる。途中、穏やかな副主題をはさみながらも、最後はラプソディックに盛り上がり曲を終える。

ベルリンフィルメンバーによる演奏は、昨今の、よりダイナミックかつアクティブな演奏スタイルに比べるとずっと内省的。1970年というと、ベルリンフィルはカラヤン施政下ですっかり近代的なオケになっていたと思うが、こうして室内楽と聴くと、個々の演奏者のベースにはまだまだひと昔前のスタイルが残っていたのかと実感する。


2013年ヘルシンキ室内楽フェスティバルでの録音とのこと。セルシェル(G)とデュオのアルバム出しているジャン・ワンがチェロを弾いている。少しググッてみると他のメンバーもみな素晴らしキャリアの持ち主。モダンかつシャープな演奏。当然だが、BPOメンバーによる45年前の演奏とは印象がまったく異なる。
第2楽章12:12~ 第3楽章 18:12~ 第4楽章23:30~



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こんばんは。

こちらは冬型たぶん最後の嵐が吹きまくっておりまして明日朝の交通網と雪掻き!が心配です。


この頃のベルリン八重奏団はライスタ-の先輩ヘルベルト
シュテ-ルのブラームスのクラリネット五重奏曲と弦楽六重奏を愛聴で大切にしておりますが、カラヤンより前任者とドイツ訛りがままに感じられます。
クラリネットも近代化前のドイツの味わいですし六重奏二楽章の深いロマンも素晴らしいと思います。この主題は若い頃の映画かドラマのテ-マになっておりましたね。

Re: タイトルなし

マイスターフォークさん、こんばんは。
毎度コメントありがとうございます。

ベルリンフィルも60年代以降、年を追うごとにインターナショナルな性格が強くなっていったのでしょうね。回顧的になるつもりはないのですが、オケでも室内楽でも昨今の演奏はやたらと先鋭的で、自己主張ばかりが先に立つような印象です。

そういえば以前、ブラームスの弦六を記事に書いたのと思い出しました。
http://guitarandmylife.blog86.fc2.com/blog-entry-232.html

ブラ-ムス室内楽にのlecture素晴らしいと思います。
勉強になりました、、

このCDは古いタンノイを真空管で鳴らしてるような色がでるのでより懐かしい音楽に聴こえますが、どうしても現代のスピーカーからは録音年代もあり響きが固まりやすく、同族楽器のアンサンブルでは立体感に不足を感じてました。


室内楽ではその辺が再現出来ないと面白くないですね、、


新しいヘッドフォンに任せてからはソロやアンサンブル系のreferenceには従来では掬えなかったニュアンスに多々感じてます。


今朝に弦楽六重奏を聴きましたが、貴兄のおっしゃられる事よく理解できました。

ありがとうございましたm(__)m

Re: タイトルなし

実際のアンサンブルを山ほどご経験のマイスターフォークさんに、当方の与太話など、まったく御恥ずかしい限りです。呑気に聴いて勝手なことを言っているだけですからね(^^;
言い尽くされたことですが、レコードにせよCDにせよ、それが作られた時代のハードウェアで再生するのが、よい結果につながるように感じます。

プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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