ビルスマ(Vc)のヴィヴァルディ



「与太さん、これ聴いてみてよ。」
そう言われてチェロ相方から手渡されたCD、アンナー・ビルスマの弾くヴァヴァルディのチェロソナタ集を聴いている。


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ひと月ほど前に例のAPAの発表会でメンデルスゾーンを演奏し一段落していたのだが、相方はさっそく次なる目標を検討。候補曲の一つにヴィヴァルディのチェロソナタ第5番ホ短調はどうかということになった。幸い、例の石月一匡編<チェロとギターのための二重奏曲集>にも載っているし、バロックの様式感を楽しむには好適かなということで、ぼくも二つ返事で快諾。まだ本番はだいぶ先だが、いろいろとイメージを膨らませている。せっかくだから数字付き通奏低音の勉強はどうか、いやいやそれは中々難しいからチェンバロ用に書き下された楽譜と石月編を見比べながら書き改めてみようか…あれこれと楽しみつつ悩んでいる。

さて、ヴィヴァルディのチェロソナタ。手元にはジャンドロン盤、トルトゥリエ盤などがあるが、このビルスマ盤はそれらとは、演奏コンセプト、内容ともに一線を画す。収録曲他以下の通り。

・チェロ・ソナタ第1番変ロ長調 RV47
・チェロ・ソナタ第2番ヘ長調 RV41
・チェロ・ソナタ第3番イ短調 RV43
・チェロ・ソナタ第4番変ロ長調 RV45
・チェロ・ソナタ第5番ホ短調 RV40
・チェロ・ソナタ第6番変ロ長調 RV46
  アンナー・ビルスマ(Vc)
  アンドレーア・マルコン(Cemb&Org)
  アレッサンドロ・ズブロジョ(ヴィオローネ)
  フランチェスコ・ガッリジョーニ (通奏低音Vc)
  イヴァーノ・ザネンギ(アーチリュート)

こうしてみるとまず通奏低音の多彩さに目がいく。この盤では曲によって通奏低音を受け持つ楽器を変えている。もっともシンプルなのはチェロとチェンバロによるもの。第2番、第5番がこの形式によっている。次にこれら二つにアーチリュートが加わるもの。第3番、第4番がこれにあたる。残りの第1番、第6番はさらにヴィオローネが加わり、同時にチェンバロがオルガンに変る。曲に応じた通奏低音楽器の変更は、様々な資料や演奏効果を検討した上で決めたものを思うが、このこと自体がこの盤の演奏のコンセプトを物語っている。

チェロソナタと聞けば、主役は独奏チェロ。通奏低音は伴奏あるいは添え物程度と考えがちだ。実際かつての録音の多くも通奏低音が、添え物とは言わないまでも、チェロがど真ん中の主役であることを主張する演奏がほとんどだったろう。この盤はそこの成り立ちが違う。ビルスマのチェロはもちろん主役には違いないが、決して主役に視線を集めるような演奏、音作りにはなっていない。多彩な編成の通奏低音が、その名の通り曲のベースを形作り、響きのイメージを決めている。どの編成の通奏低音も柔らかく豊かな響き。まるで上質の羽毛布団のようなその響きに上で、ビルスマのチェロが軽やかに、よく調和して歌う。ピッチが現代のA=440Hz前後に比べると半音ほど低く、415Hz付近にとっていることも大きく影響しているだろう。その結果、ビルスマ・オンステージではなく、このメンバー全員によるヴィヴァルディ時代の空気感の再現…。そんなイメージを聴かせてくれる。
よくピリオドアプローチというが、楽器の音色と物理的な曲の解釈にばかりに関心がいきがちだ。この演奏のように、まだ見ぬ、あるいは想像の先にある、かつての時代の雰囲気を伝えてくれてこそのピリオドアプローチではないかと思うが、どうだろう。


この盤の音源で第4番変ロ長調


チェロ相方との候補曲第5番の第1・2楽章。第1楽章は独奏チェロと通奏低音(チェロ)の二重奏のように書かれている。


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かつて練習しました

この曲はスズキのチェロ教則本に収められているので、私も練習しました。
弾けません! 難しいです! とくに第2楽章。
でもいい曲です。
いまもときどき練習しています。
こういう曲がさらっと弾けるとカッコいいだろうなあ。

Re: かつて練習しました

木曽のあばら屋さん、こんばんは。
そうですか、鈴木の教本でね…。この5番ソナタは、チェロを習い始めてから比較的早い時期に取り組める課題曲だそうで、譜ヅラはさほど難しいところはないものの、雰囲気よく弾くのは中々難しいと、チェロ相方が話しておりました。
プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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