ブレンデルのベートーヴェン ピアノ協奏曲第3番・第4番
寒波到来で、日本海側と北日本では大雪だそうだ。当地群馬南部は雪こそないが、朝晩の寒さは雪国並みだ。今朝も出勤時プリウスの温度計はちょうど零度を指していた。それでも陽射しのありがたさ、およそ1時間のドライブの間に陽も登り、8時過ぎに会社へ着いた頃には3℃ほどになっていた。さらに昼間は季節風もなく穏やかな日和だった。きょうあすで仕事も終わるとあって、部内にはきょうあすと休みを取って先週末から10連休にしている者もいる。円高の折、海外逃亡かと仲間内で冗談交じりのやり取りもあるが、まずは平和な年の瀬だ。さて今夜は夕飯を済ませ、遅ればせながら年賀状の準備を少ししたあと、昨日の釣果からブレンデルの盤を聴くことにした。

このボックスセットには、ブレンデルが70年代から80年代にかけてフィリップスに録音した彼にとっては生涯3回の録音のうち、2回目のベートーヴェン;ピアノソナタ全曲と、80年代前半のライブ録音のピアノ協奏曲全曲の全12枚が収められている。今夜その中から、ピアノ協奏曲のうちぼくが好きな第3番と第4番を収めた盤をセットした。このピアノ協奏曲が録音された80年代前半当時ブレンデルは50歳台前半、シカゴ交響楽団を振ってバックを務めるジェームス・レヴァインは40歳になるかならないかという時期。共に才気あふれる全盛期といってよいだろうか。
第3番は出だしのオケの音からして少々剛直なイメージだ。それがレヴァインの指示なのか、シカゴ響の特質なのか不明だが、多分後者だろう。何といってもまだ豪腕ショルティが君臨していた時期のシカゴ響だ。あらゆるところにショルティのくせが染み込んでいるのかもしれない。もう一つは、この録音がライブ録音であることも一因だろう。スタジオセッションであれば、もっと細かな部分も磨き込んだだろうが、ライブ録音であれば、その場の勢いや演奏会での前後の曲にも左右されるに違いない。とはいっても、それゆえにこの第3番のイメージは、剛健なベートーヴェンのイメージに似つかわしいともいえる。ぼくとしてはもう少ししなやかな表現を期待したいところだ。
第4番ではシカゴ響の整った合奏が各声部を克明に描き出し、この曲の持つ独自の緊張感にプラスに働いていて、第3番よりもずっと出来がよい。ベートーヴェンの曲の中でも傑作の一つである第2楽章などは、より神秘的で瞑想的な表現が欲しいと思うのだが、レヴァインは神秘性よりは感情の激しい表出が前に出る感じだ。それでも第3楽章などはそれがプラスに機能して実にシンフォニックな出来上がりだ。しかしこうして聴いていると、どうしてもピアノよりもオーケストラ部分の響きや表現に耳がいってしまう。それはそれでコンチェルトを聴く醍醐味の一つではあるのだが。


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