ミニコンポ



花散らしの雨で気温も低く、ちょっとした寒の戻り。もっとも、どしや降りにならず、程々に降る雨は風情もあって悪くない。そんな中、通勤帰りもゴアテックスにしっかりガードされつつ9時過ぎに帰宅した。

実はちょっと事情あって、先週末から写真のミニコンポを引っ張り出して使っている。ビクターJVCと経営統合する前のケンウッド社製R-K700。随分前に一度紹介記事を書いたことがある。2008年、そろそろ生産終了かという時期に3万円ほどで手に入れた。この手のコンポとしては例外的にロングセラーだった。ソースとしてはAM/FMにCD。そしてこの時代の遺産ともいうべきMDのドライブも付いていて、ラジオやCDからの録音が可能。更にこのコンポを選んだ理由であるフォノ入力があって、数ミリボルトのMM型カートリッジが接続可能。デジタル入力はオプティカル入力が1系統あるが今風のUSB入力はない。総じて2000年代中庸のスペックだ。


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このセットは現役時代から素性の良さで評判になっていた。販売もスピーカーがセットされておらず、お好きなスピーカーでどうぞという姿勢で、裏を返せば、どんなスピーカーでもそこそこ鳴らせますよという自信の現れでもあった。実際このセットでJBLの大型器を鳴らしている輩もいたし、ぼくも三菱2S-305を接続し、何の問題もなく音楽を楽しんだ経験がある。スピーカーの能率が80dB後半以上あれば、8畳程度の部屋で常識的な音量を出すのにパワー不足は感じない。音質も極めて真っ当で、意図的な色付けがなくSNも良好だ。

このセット、回路的に少々面白い構成を採っている。プリアンプ段が完全デジタル化され、トーンコントロールや付属のマイクロフォンを使った簡単なルームイコライゼイションをデジタル処理で実現している。一方パワー段はオーソドクスなアナログ構成。このルームイコライゼイションは中々の出来で、ホワイトノイズを間欠的に発しながら、部屋の影響からくる左右の音量差、周波数応答等を測定、補正してくれる。デジタル処理のおかげで、目立った音質劣化なく音の印象が一変するのには驚いた。

現在、オルトフォンSPU-Gを手持ちの昇圧トランスを通して、このセットのフォノ入力につないでいる。カートリッジ1個でこのセットが3台買えてしまうという、とんでもなくアンバランスなセッティングながら、接続したタンノイ:スターリングSEから出てくる音は実に素直で堅実。MC型に付きもののSNに悩まされることもない。SN比に関しては先日のA級アンプ頂上対決にこのセットを持ち込んでも、L-570といい勝負だったろう。唯一の難といえば、機械としての存在感、風格、そういう愛すべきメンタリティーを感じる要素は少ないことだろうか。もっとも、当時の他のミニコンポよりは大人のデザインで、かつスイッチやボリュームの操作感も良好だ。

昨今のミニコンポ事情は寡聞にして不案内。このモデルの後継機種も続いているようだが、その後のネットワークやハイレゾ等への対応で、各社のミニコンポも仕様変更の時期を迎えている。少なくてもフォノ入力を持つセットは皆無になるだろう。いずれ30キロもあるアンプは手に負えなくなるだろうから、そのときにこんな良心的なセットが残っていてほしいものだと思う。


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