年末のバイロイト 追悼;竜鉄也 「奥飛騨慕情」


夜更けて、チューナーをNHK-FMに合わせたステレオから年末恒例のバイロイト音楽祭の録音が静かに流れている。もう30年以上昔の学生時代、金欠学生にとっての音楽ソースはもっぱらFM放送だった。なけなしの金をはたいてカセットテープを買い、せっせとエアチェックに明け暮れた。12月に入って冬休み前の時期になると、NHK-FMでその夏に行われたバイロイト音楽祭のライブ録音テープが放送された。ワグナーの長大な楽劇のレコードを買うことなど当然出来ず、その録音をカセットに録って聴いていたのを懐かしく思い出す。今夜は楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」を放送中だ。深夜、ボリュームを絞って静かに聴くワグナーも味わい深い。


カラヤンのワグナーアルバムと竜鉄也「奥飛騨慕情」のシングル盤


さて、ドイツの権化ワグナーから突然飛ぶが、歌手の竜鉄也が亡くなった。演歌ファンならずとも1980年のヒット曲「奥飛騨慕情」は知っている方は多いだろう。もちろんぼくもそれ以上は知らないのだが、この曲は妙に心に残り、後年リサイクルショップのジャンクレコード箱からドーナッツ盤を50円で拾ってきた。確かそのとき一緒にジャンク箱から救済してきたのがカラヤン&ドレスデン国立歌劇場によるワグナー楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」の全曲盤LP5枚組の豪華セット。980円だった記憶がある。そんな思い出があって、ワグナーと竜鉄也が頭の中で一緒に思い出されるのだ。

久々に「奥飛騨慕情」に針を落としてみた。
イントロではマンドリンとギターの短いフレーズに続いて弦楽合奏のメロディーが続く。演歌の王道をいくスタイルだ。ワンフレーズ終えて次のフレーズからはアコーディオンのオブリガートが静かに入ってくる。マンドリンとアコーディオンによる伴奏は古賀メロディー以来の日本歌謡曲の定番だろう。この二つ目のフレーズのアコーディオンオブリガートは「湯の香恋しい 奥飛騨路」という歌詞をより切なく盛り上げて次のサビへのブリッジとなっている。この曲はⅥ・Ⅳ・Ⅲ(Am・Dm・E7)の3和音しか使っていないし、メロディーも極めて自然でありながら、単調さを感じさせず、起承転結が見事だ。ぼくは演歌ファンでもないが、何曲かいい曲だと思う曲があるが、この「奥飛騨慕情」のその中も最右翼の一つだ。竜鉄也は1980年のヒット後、2000年に脳溢血で倒れたあとは療養生活を送っていたとのこと。74歳没。合掌。


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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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