アシュケナージ&ショルティの<皇帝>



どんよりとした雲におおわれた梅雨空の日曜日。格別のこともなく一日終わり、さて明日からまた仕事という夜。きのう記事に書いたショルティのワグナーで「そういえば」的に思い出し、こんな盤を取り出した。


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アシュケナージのピアノによるベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番変ホ長調<皇帝>。ショルティ指揮シカゴ交響楽団のバック。1972年の録音。手持ちの盤は発売当時のもので、確か近所のリサイクルショップのジャンク箱から金百円にて捕獲してきた記憶がある。

ショルティとシカゴ響は1977年の来日公演で実演に接した。大学4年のときで、6000円のチケット代が一度に払えず、学生向けに設定された2回分割で支払った。ぼくら世代のクラシックファンならはっきりと記憶していると思うが、この頃、70年代半ばから80年代初頭のショルティ&シカゴ響の人気には絶大なものがあった。このコンビによる管弦楽曲の新譜は英デッカのドル箱路線と言ってよく、常にトップセールスを誇った。中でもベートーヴェンの交響曲全集と、このアシュケナージをソリストに迎えた協奏曲のレコードはその代表格だった。

久々に聴いてみて、記憶の彼方にあるショルティ&シカゴ響による演奏のイメージと少々違っていて驚いた。記憶の中のこのコンビは、ともかくデカい音で鳴り、剛直かつ活気に満ち、というものだったが、こうしてこの盤を聴いてみると、生意気な言い方だが予想以上に<まとも>な演奏で、肩透かしをくった気分になった。
ショルティ&シカゴ響の音響は冒頭からよく整ったアンサンブルと明快に打ち込まれるアクセントが印象的であるが、決して力ずくという印象は受けない。全体のバランスも考慮されているし、ヴィオラやチェロによる内声部もよく聴こえてくる。テンポもほぼインテンポを基本にしていて恣意的なゆらぎはほとんど無い。加えて英デッカ録音の細部まで見通すような明瞭な録音ポリシーがこうした響きをよくとらえている。当時はまだピアニストとして全盛期にあったアシュケナージの音色も美しく、丁寧な弾きぶりだ。

そういえばその昔、FMから流れてくるブラームスの第3交響曲に、中々渋い演奏だが誰の指揮だろうと思いながら聴いていると、ショルティ&シカゴ響とのアナウンスがあって、我が耳を疑ったことがあった。評論家や雑誌からのインプットも重要な情報ではあるが、あまりそうした情報を前提とせずに、虚心に出てくる音楽に耳を傾けるべきだと学んだ。ショルティの名は当時の名声に比べ、昨今影が薄い感があるが、やはり一時代を画しただけのことはあると、納得の一枚である。


この盤の音源。全楽章。



ショルティの弾き振り。バレンボイム、シフと共にモーツァルトの3台ピアノのための協奏曲。
ショルティはキャリアの最初をオペラハウスのコレペティトール(歌手のための練習ピアニスト)としてスタートさせていることもあって、ピアノはお手の物だ。



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こんにちは。

たしかにショルティの指環からのイメ-ジからグラミー賞のベ-ト-ベンを期待して聴きましたが、大人しき演奏であっけにとられた事でした。

自慢の金管も噴かす場面もなく手持ちぶさたでしたでしょうか…セルのいきいきとしたドライブ感と古典の様式美とは違ってきますね。


貴兄に伺いますがセル、クリ-ブランドのK622はボックスに入っておりますか?


いま国内には一枚もなくて見つかりません。我等には歴史にトップクラスの吹き手のロバ-トマルセラスなのですが若く引退されたりでソロは無い方なのです。


Re: タイトルなし

> 貴兄に伺いますがセル、クリ-ブランドのK622はボックスに入っておりますか?

過日手に入れたモーツァルトの2枚組みは交響曲が6つと序曲が2つだけです。
例の49枚組のボックスセット、私は手に入れていないのです。もうどこにも在庫はありませんね。
http://tower.jp/item/3215846/George-Szell---The-Edition
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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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