セルのメンデルスゾーン



梅雨入りから三週間。六月も下旬になった。週明け月曜日。八時過ぎに帰宅。ひと息ついて、ギターを弾こうか、音盤タイムか少々悩んで、音盤を選択。ここしばらく御執心のセルの盤を取り出した。


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ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団によるメンデルスゾーン作品を集めた1枚。現在発売中のソニークラシカル:名盤コレクション1000の中の1枚。収録曲は以下の通り。録音時期は、<フィンガルの洞窟>1957年、<真夏の夜の夢>1967年、<イタリア>1962年。

 序曲<フィンガルの洞窟> 作品26
 <真夏の夜の夢>の音楽:序曲・スケルツォ・夜想曲・間奏曲・結婚行進曲
 交響曲第4番イ長調作品90<イタリア>

こうして並べると、<真夏の夜の夢>と<イタリア>の間に休憩を入れて、そのまま一夜のコンサートプログラムにもなりそうな選曲だ。38歳で没したメンデルゾーンではあるが、いずれも比較的若い時期の作品。<真夏の夜の夢>に至っては、シェイクスピアの作品に触発され、序曲を17歳のときに書いている。確かに<真夏の夜の夢>は若き青年の作品と素直に理解もできるが、<フィンガルの洞窟>は、その渋く深い曲想が20歳にときの作品とはにわかに信じがたい。それはともかく、いずれの曲も初期ロマン派の薫り高き名曲だ。

セルとクリーヴランド管についてよく言われる特質は<真夏の夜の夢>と<イタリア>に顕著。特に<イタリア>は颯爽としたテンポで、音楽いっさい停滞せず、引き締まった響きとビシッと揃ったアンサンブルで辛口に進行する。第1楽章は提示部を繰り返しながら9分50秒と、おそらく数あるこの曲の盤のうち最速ではないだろうか。相変わらず各パートは明瞭に分離し、対旋律が浮かび上がる。そして弦楽器群のデタッシュ、木管群のタンギングの頭まで、きっちりと整った演奏が展開する。こういう演奏と聴いたあと、同じ<イタリア>をカラヤン&BPOで聴くと、まったく別世界の表現であることが分かる。カラヤン盤は各パートの分離より全体のマスの響きが重視され、細かな音形やアインザッツは意図的にぼかされる。フレーズは切れ目なくつながり、管楽器群の音のエッジも丸みを帯びる。セル&クリーヴランドとは方向性がまったく異なることを再認識する。

一方<フィンガルの洞窟>ではこうしたセルの解釈が一転。遅めにとったテンポで深々とした表現を聴かせる。<スコットランド>の名盤:ペーター・マーク&ロンドン響盤にカップリングされている同曲のゆったりとしたロマンティックに寄った演奏が10分02秒なの対し、この盤でのセルは10分55秒をかけていて驚いた。やはり<フィンガルの洞窟>が持つ幻想的な曲想に見合ったテンポと解釈なのだと合点した次第だ。


<真夏の夜の夢>からスケルツォ。セルがアムステルダムコンセルヘボウと残した一連の録音の中のもの。



<イタリア> セル&クリーヴランドのモノラル時代の録音



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セルとクリーヴランド管による、

明晰で爽やかなメンデルスゾーンですね。ご指摘どおり輪郭のぼやけた夢幻性の要素は少ないですが、こういう演奏の魅力はたしかにあります。体調の悪い時には、「イタリア」終楽章のエネルギッシュなサルタレロについていけない時もありますが(^o^)、そんな時にはカラヤンとベルリンフィルのような演奏にゆったりと身を任せて、無節操な音楽愛好家の幸福を思う次第です(^o^)/
「フィンガル」はマーク&ロンドン響よりもゆっくりですか。あらためて、再認識いたしました。

Re: セルとクリーヴランド管による、

カラヤンが悪者のように書いてしまいましたが、もちろんわたしもカラヤン流のレガートで雰囲気のある演奏も楽しみます。そう、素人の音楽好きの特権ですよね。勝手気ままで…(^^;
フィンガルの洞窟は、かなりゆっくりめのテンポです。それでも情緒たっぷりに歌わないあたりがセル流なかと感じました。そこがまたグッとくるのですね。

イタリア

こんにちは。

弾けるようなタンギングを聴けるだけでもス-パ-なイタリアです。
テンポを余裕で維持しながら色とりどりの風景を見せてくれる、梅雨入りしない北東北にはピッタリの爽やかな演奏と思います。


先日のK622の件、有難うございました。 配信ありますがガラケ-ではちょっとねぇ(笑)

Re: イタリア

おっしゃる通りで、このイタリアはセル&クリーヴランドのアンサンブルや如何にの見本のような演奏だと思います。木管群に集中して聴いていると、こちらまで一緒にブレスをしたくなります(^^;
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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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