アルヘンタの<幻想>



暑さ癒えず。相変わらずの猛暑日続き。世間はお盆を前に夏休みモードか。都内での仕事の折に通り抜けたきょうの東京駅内コンコースは混雑MAX。人混みと暑さとでクラクラしそうになった。そんな一日を何とかしのいで帰宅。エアコンの力を借り、涼を呼んでの夜半の音盤タイムは今宵もまた暑気払い狙い。取り出したのはこの盤だ。


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アタウルフォ・アルヘンタ指揮パリ音楽院管弦楽団によるベルリオーズの幻想交響曲。1957年デッカ録音。手持ちの盤はオールドファンには懐かしい70年代中庸廉価盤の一枚。記憶があいまいだが、近所のリサイクルショップのジャンク箱から@100円で捕獲。ジャケットに少々焼けがあるが盤質良好の拾い物だ。
スペイン生まれのアルヘンタ(1913-1958)はそう多くの録音を残していないので大方の音楽ファンにとって馴染みが少ない指揮者だ。44歳の若さで夭折したアルヘンタ。このジャケット写真はいつ頃のものだろう。30歳前後だろうか。スペイン生まれということから直感するラテン系の情熱と鋭い眼光、と思いつつよく見ると、その眼差しには優しさも見え隠れする。才能に恵まれ、若くして嘱望され、可能性に満ちた青年像とも見える。印象的なジャケットだ。地元スペインの他では、スイスロマンドにしばしば客演し、アンセルメが自分の後継者に考えていたと、ものの本に書かれていた。

幻想交響曲というと、後半二つの楽章のドンパチばかりが目立つが、通して聴いてみると分かるように、この曲の前半三つの楽章は後半に勝るとも劣らず素晴らしい。後半の派手さとは対照的ながら色彩的で、オーケストラの表現を聴くにあたっては格好の楽曲だ。そして同時に、この曲が19世紀前半1826年に作られたことに今更ながら驚く。
フランス音楽も得意にしていたアルヘンタがパリのオケを振ったこの盤では、往時のフランスオケの音色が存分に楽しめる。第一楽章冒頭から管楽器群の音色とバランスが独自で、この曲の構造的な面白さをよく分からせてくれる。総じて前半三つの楽章が味わい深い。後半二つの楽章は継ぎはぎ録音でない即興性を感じさせる。デッカによる録音もややオンマイクながら、バランス、各パートの分離ともよい好録音。今回アヴァロンで聴きながらあらためて気付いたのは低音域の充実で、絞りぎみのボリュームで聴いているにも関わらず、コントラバスの深く沈み込む基音がよくとらえられていて驚いた。手元にある幻想のディスク…ミュンシュ&パリ管、アバド&シカゴ響、カラヤン&ベルリンフィル、モントゥー&北ドイツ放響、クリュイタンス&フィルハーモニア管、パレー&デトロイト響、クーベリック&バイエルン放響他に中にあって、異彩を放つ名盤だ。


ドゥダメル指揮のフランス放送フィルとシモンボリヴァルの大編成合同オケ。



シカゴ響の現在。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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