バーンスタイン&VPO <英雄>



八月最後の週末日曜日。相変わらずの低温傾向で肌寒い朝を迎えた。きのう土曜日は野暮用外出で一日終わり、いささか疲れてめずらしく日付が変わらない時刻に床に就いた。どっぷり惰眠をむさぼり、遅い朝ご飯のあと、おもむろにアンプの灯を入れ、こんな盤を取り出した。


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レナード・バーンスタイン(1918-1990)とウィーンフィルによるベートーヴェンの交響曲第3番変ホ長調<英雄>。同コンビによるベートーヴェン交響曲全集の中の一枚。手持ちの盤は前回のベーム&VPO盤同様、LP8枚組のカートンボックス入りセット。やはり90年代をだいぶ過ぎた頃に中古で買い求めた。

60年代後半のイッセルシュテットに始まり、ベーム(70年代初頭)、バーンスタイン(70年代後半)、アバド(80年代中庸)、ラトル(2002年)、ティーレマン(2008~2010)と、ウィーンフィルはこれまで何度か一人の指揮者によるベートーヴェンの交響曲全集を録音(ライヴ含む)している。熱心なクラシック愛好家はおそらく、それぞれが音楽にもっとも接した時期に応じて、いずれかの盤を愛聴しているに違いない。ぼくの場合は世代的にベームとバーンスタインということになる。

バーンスタインは60年代までに多くのレパートリーを当時の手兵ニューヨークフィルと録音していたが、ぼく自身はあまり馴染みがなく、何となくアメリカ生まれの、ミュージカルも手がける器用な作曲家兼指揮者というイメージしかもっていなかった。そのためマーラーやチャイコフスキーの一部の録音を除く、ベートーヴェンやブラームスなどの独墺系楽曲にはほとんど接していなかった。実際世評でもバーンスタインのベートーヴェンやブラームスを高く買われていたという記憶はない。そんなバーンスタインの評価が一変したのは、70年代以降、活躍の場を欧州に移し、とりわけウィーンフィルとの結びつきを深めてからだった。バーンスタインの音楽はウィーンフィルとの出会いによって、欧州の伝統とバーンスタインの解釈とが融合した。その結果、ベートーヴェンやブラームス、シューマンなどの録音が世に出て、その演奏は以降も名盤として今日に引き継がれている。このベートーヴェン全集もその時期のバーンスタイン、そしてウィーンフィルを代表する盤となった。

中でもこの<英雄>はバーンスタインとのロマンと情熱とを併せ持つ解釈とウィーンフィルの艶やかでありながら重量感もある特性とにより、素晴らしい演奏を展開している。バーンスタインは80年代以降の晩年になると、テンポが極端に遅くなり、粘着質の解釈と相まって、音楽の進行が鈍重になり、くどさを増す面が否めないが、この録音の頃はまだそれがない。音楽は第1楽章から雄渾に流れ、第2楽章では深い慟哭にむせぶ。終楽章では重量感を増しつつテンポを上げ、ややもするとダレだちになるこの楽章でも緊張感と情熱を持続して大団円を迎える。


この録音と同時期の映像音源。ウィーンフィルとムジークフェラインにて。
ダンディーな姿で指揮台に向かったバーンスタイン。最初の二つの和音ですでに髪の毛が乱れ、以降ウィーンフィルを情熱的にドライブする。第2楽章の山場、終盤26分30秒からのフーガでは一層感情移入を強める。27分11秒からのコントラバスの入りは、オケ奏者になるなら絶対コンバスだ!と思わせるひと節だ。27分43秒高らかに咆哮するウィンナホルン。27分58秒ティンパニの一撃。28分18秒から短二度の響きで緊張感MAXとなり、28分37秒から続くスフォルツァンドで一気にカタルシスを迎える。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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