BOSE WMS3



知人から頼まれ、ボーズ社の一体型オーディオシステム<ウェーブミュージックシステム3=WMS3>を調達。昨日拙宅に到着し、「ちょっと、開けていいかな?」「どうぞ、遠慮なく」ということで、引渡し前に確認&検分中だ。

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確か数年前にマイナーチャンジしたWMS3。今回依頼されて注文しようとしたらすでに販売終了。継続機種としてインターネットやPC環境への親和性を高めた新機種が少し前に発売になっていた。依頼主はCDが聴ければいい、他の機能は不要とのこと。いくつかのボーズ直営のアウトレット店舗に問い合わせたところ、某店に僅少ながら新品在庫有りとのことで、何とか入手できた。ボーズの小型一体型システムは、以前のモデルを何度か聴く機会があったが、このWMS3を自宅で聴くのは初めてだ。ボーズと聴いただけであまり期待しないながらも興味津々で、さっそく日頃聴きなれているCDを取り出して試聴となった。

結論から言うと…
ピアノソロ、ヴァイオリンやチェロのソロあるいはピアノ伴奏などはいずれも悪くない。あまり四の五の言わなければ、十分メインシステムとして楽しめるかもしれない。小口径スピーカーゆえの立上がりの良さが奏功して、中高音が明快だ。特にピアノはいい。アファナシエフのショパン:マズルカ集をしばし聴き入ったが、日頃聴いているメインのシステムと比べても違和感がないほどだ。フローリング8畳の部屋で、ゼロから99まであるこのセットの音量設定で75程度まで上げると部屋が音に満たされ、日頃メインのシステムで聴いている感じに近くなる。しかし音の出口が本体幅30センチほどのところから出てくるわけで、電気的に何らかの処理をしていると思われるが、左右への広がりは希薄。モノラル録音を擬似ステレオ化した音のような感じだ。この広がり感の欠如が、少し編成の大きなものになると足かせになる。フル編成のオケも個々の楽器の音は確認できるものの、音の出所が真ん中に集中するため、その個々の音を注意深く聴き取ろうとすると、いささか疲れる。弦楽四重奏程度の編成でも四人の奏者の定位を聴き取るのは難しい。

ボーズの売りである<サイズを超えた低音>はどうか。
60ヘルツ以下をあきらめれば及第。バッハ<ロ短調ミサ>を大編成で演奏しているクレンペラー盤をフルボリューム(音量設定75~80)で聴いてみたが、低弦群の深い低音もかなりの程度に聴こえてくる。低音増強のために本体内に設けられた共鳴管は、もちろん特定の周波数で突出した鳴り方をするが、音楽の中ではその周波数ばかり連続して出ているわけではないのであまり気にならないだろう。但し、コントラバス低域の音程まで聴き取ろうとすると限界がある。また60ヘルツから下の、本当に沈み込むような低域は空振りになる。これはクラシックよりは、コンテンポラリーなジャズやフュージョンなどではっきりと分かる。
ジャズのホーン類もピアノ同様、音の立上がりはよく、クリアに前に出てくるが、中音域の質感に乏しいので(ドンシャリと言えばわかりやすいだろうか)、メインのシステムと聴き比べると旗色が悪くなる。本来分厚いサックスのブロウが、少し極端な言い方とすると、力の抜けたブリキのサックスから出たような音に感じる。中々聴かせるピアノや弦楽器のソロも、音の質感まで欲しくなるとやはり少々難しいだろうか。

総じて音の基本的な素性は、多少のドンシャリ傾向に目をつぶれば悪くない。音量も12畳程度までなら歪むことなく十分確保できる。再生帯域や音の広がりに関しては、音楽を構造的に聴くこと、例えばオーケストラの各パートの定位やポリフォニックな音楽の和声の構成に耳を傾け楽しむ、といった聴き方を追求しなければ及第だ。もしこのシステム本体が三分割可能で、スピーカー部が多少でも離隔してセッティング出来たら、メインの装置として使えそうな感じがする。もっともそれなら他のミニコンポでも…ということになってしまうのだろうが。


BOSE社による本機の簡単な紹介動画



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No title

BOSE WMS3 は日常生活にさりげなく音楽を溶け込まさせるスタイルが売りと思いますし、会話を邪魔しない程度の音量で解りやすい音楽を流す…

YAMAHAでも最近、高級ラジカセ?出しましたが枕元に置くのには悪くないですね。

シビアにはヘッドフォンです。。

Re: No title

おっしゃる通りですね。スピーカーに対峙して聴くと、やはり無理があるという感じです。それでも、思っていた以上の健闘ではありました。

> シビアにはヘッドフォンです。

そう、そのことを記事に書こうと思っていた忘れました。ヘッドフォン用出力の音を確認しなかったので何とも言えませんが、ヘッドフォンリスニングと使い分けられれば、このセットでもいいかなと。だいぶ前から思っているのですが、いつまで今の部屋、今のシステム聴いていられるかどうか分からず、もし病院や介護施設といった制約の多い環境で生活することになり、それでも音楽を聴きたいと思ったときには、こんなセットになるのかなあと、漠然と考えていました。
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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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