バッハ <ミサ曲ロ短調>



きのう久々に例のバッハ全集を取り出してBWV198のカンタータを聴いて記事にしたのだが、やはりバッハの声楽曲はエエナァを感じ入り、きょうは同じボックスセットの中から大曲<ミサ曲ロ短調>を取り出した。


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<ミサ曲ロ短調>あるいは<ロ短調ミサ>、いずれの呼び名が正しいかは諸説あるだろうが、ぼく自身の語感から以降は<ロ短調ミサ>と呼ぶことにする。
<ロ短調ミサ>…言わずもがなのことではあるが、バッハの数ある作品のうちもっとも素晴らしい曲の一つだ。声楽曲の中ではマタイ受難曲と双璧といえる存在ではあるが、曲の性格はかなり異なる。そして、ぼくのような声楽に馴染みのない、またその歌詞を聴きながら宗教的な意味合いを感じ取る素地がない聴き手には、マタイよりこのロ短調ミサの方が、音楽として親しみを感じながら楽しめる。マタイではエヴァンゲリストによるレシタチーヴォを交えつつ進行する<物語>としての側面が強いに対し、ミサ曲ロ短調は、お馴染みのミサ曲の様式により音楽だけで進行する。そのあたりが、声楽曲を<器楽的に聴く>ぼくのような聴き手には耳に馴染みやすい理由だろう。
冒頭のキリエの合唱とそれに続くフーガから一気にこの曲の魅力に引き込まれる。以降も全編バッハの対位法が駆使され、バッハファンならずとも身悶えるほどの音楽的感興に満ちている。一方でソリストの歌うアリアも美しいものばかりだ。同時にそうしたアリアにいくつかには器楽の魅力的なオブリガートが付く。例えば前半<グロリア>の中でアルトの歌う<Qui sedes ad dexteram Patris>にはオーボエダモーレの、そして続くバスの歌う<Quoniam tu solus sanctus>にはコルノ・デ・カッチャ(狩のホルン)によるオブリガートが付され、それを聴くだけでも心おどる。

先回のBWV198の盤で演奏していたネーデルランド・バッハ・コレギウムに比べ、この盤でロ短調ミサを受け持っているハリー・クリストファー指揮ザ・シクスティーンの演奏は数段洗練された印象を受ける。合唱、オケ、ソリスト、いずれも立派なもので、1994年に録られた音の状態も上出来だ。その名の通り16名の合唱団をベースにした団体で、規模や編成はBCJあたりと同一のもの。村治佳織(G)が英デッカに移籍したあと、現地の合唱団とコラボしたアルバム<ライア&ソネット>をリリースしたが、その合唱団がハリー・クリストファーが主宰するこのザ・シクスティーンだった。手元には、やや古い重厚長大スタイルのクレンペラー&NPO盤、先鋭的なピリオドスタイルとは一線を画しつつ、穏かなバッハ演奏を展開するヤーコブス&ベルリン古楽アカデミーの盤があるが、このザ・シクスティーンによる演奏も、それらとは異なるアプローチながら水準の高いクリアな演奏で、勝るとも劣らない。


オーボエダモーレの美しいオブリガートが付くアルトが歌うアリア<Qui sedes ad dexteram Patris>



2012年のプロムスでの全曲。冒頭から10分過ぎまでのオケと合唱によるフーガはこの曲の魅力のダイジェストといってもいい程だ。ハリー・ビケット指揮イングリッシュ・コンソートによる演奏。ハリー・ビケットはトレヴァー・ピノックを継ぐ2007年からのイングリッシュ・コンソート三代目のシェフ。
41分30秒過ぎから:オーボエダモーレのオブリガート付きのアリア。この演奏ではカウンターテナーが歌っている。
45分45秒過ぎから:コルノ・デ・カッチャ(狩のホルン)のオブリガート付きアリア。
1時間33分20秒過ぎから:フルートトラベルソのオブリガート付きアリア。



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No title

こんばんは。

偶然でしたが今朝にリヒタ-のミサ聴いてましたが、いつものごとくディスカウが巧いですが過ぎたるは…の気もしました(笑)

Re: No title

それは偶然でしたね。リヒター盤は手元にないのですが、昔からこの曲のもっとも模範的な演奏とされていますよね。ディッシャーディスカウがうま過ぎますか(^^; この曲に関しては、長い間クレンペラーやカラヤンに代表されるような少々古い演奏様式がいいなあと思っていたのですが、最近になって、ピリオドアプローチでかつそれほど先鋭的でないものが、程々でいいかなあと思うようになりました。
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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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