カザルスの無伴奏チェロ


秋真っ只中。
きょう10月22日は1973年に96歳で没したパブロ・カザルスの命日。以前書いた記事を再掲しておこう。


今夜はカザルスの盤からバッハの無伴奏チェロを聴くことにした。といっても手元にあるカザルスの盤はごくわずかで、きょう取り出したバッハ無伴奏と、以前記事に書いたホワイトハウスコンサート、それと小品集があったかとなという程度だ。

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カザルスのこの録音は1930年代後半のSP時代のもので、現在まで継続してEMIのリストに載っている。LP3枚組の写真の盤はイタリアのMAESTOSOというレーベルの輸入盤で1986年のリリース。当時都内のどこかの店で安く売られていたのを買った記憶がある。おそらくEMIからのライセンスを受けてのものだろうが、ライナーノーツもなく詳細は不明。少し調べてみたがMAESTOSOというそのレーベルも今は見当たらなかった。

この盤には久しく針を通していなかったし、30年代の録音ということで、さすがに古色蒼然とした演奏かと思いながら1枚目の組曲第1番に針を下ろした。軽いスクラッチノイズに続いてト長調のアルペジオ風のお馴染みのフレーズがスピーカーから流れてきた。予想よりもずっとフレッシュな音に驚く。もちろん帯域は狭いし、音のエッジはそがれているのだが、その分聴きやすく、ノイズもほとんど気にならない。本家EMI盤や現行CDはどんな音なのだろうか。少なくてもこの盤も音質を理由に聴くのをためらうようなものではない。

録音当時六十を過ぎたばかりのカザルスはまだ技巧的に破綻はなく表現も意欲的だ。テンポも総じて速めだし、当時としては画期的といわれたダイナミックなボーイングのテクニックもよくわかる。但しそれはいずれも当時の水準であって、21世紀の基準に照らすといささか難があることは否めない。バッハの無伴奏は第1番から第6番まで順に難易度が上がっているといわれる。第1番に続いてハイポジションを多用する難曲の第6番も聴いてみた。こちらは冒頭のプレリュードの音形がやや不安定に聴こえる。これはぼくらがすでに20世紀後半以降の高い技巧の演奏に慣れてしまっているからだろう。加えてSP時代の録音技術に起因する音のふらつきもある。
表現としてはもっと19世紀的なロマンティシズムを引きずっているものと思っていたが、第1番も第6番も十分現代的かつ意欲的だ。フレーズの頭に長めのボーイングで少し音を引っ張る特徴があるものの、テンポや拍節感はほとんど違和感はない。この曲を発掘し、のちに続くチェリストにとってのバイブルとしたカザルスの原点の曲であり、壮年期の充実した記録だ。

バッハ無伴奏チェロ第1番。1954年カザルス77歳のときの演奏。場所はカザルスが故郷スペインのフランコ政権に背を向けて移り住んだ仏プラドの教会。


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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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