バッハ <コーヒーカンタータ>



寒気流入で当地関東は肌寒い一日。週末にかけて例の二つ玉低気圧の通過で日本列島は大荒れの予報。さて、あすはどんな塩梅か知らんと思いながら、夜半の音盤タイム。平日の晩ということもあって、そうリラックスできるわけでもないが、ふと思いついてこんな盤を取り出した。


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バッハのカンタータBWV211<コーヒーカンタータ>。だいぶ前に一度記事に書いていたので、それを再掲。 バッハが活躍していた18世紀当時、珈琲はすでに庶民に人気の飲み物になっていたらしい。一方で珈琲は風紀を乱すものという評判もあって、このコーヒー・カンタータはそんな世相を取り上げている。「珈琲は千回のキスより素敵、マスカット酒より芳しい。コーヒーは素晴らしい」という娘に対して父親が、「コーヒーをやめないなら外出禁止だ」と言い出すといった、案外ドタバタ喜劇のような歌詞が付いている。歌詞を見ずに音楽だけを聴いていると、そんなドタバタは想像すら出来ず、いつものバッハらしい機知に富んだメロディーや和声で、純粋な音楽として楽しめる。特に第4曲のソプラノが歌う短調のアリアはことのほか美しい。

ブリリアント版バッハ全集中のカンタータは、オランダのネザーランド・バッハ・コレギウムという少しマイナーな団体による演奏が多いが、このコーヒー・カンタータを含むいくつかの世俗カンタータは、ペーター・シュライヤー指揮ベルリン室内合奏団の録音が使われている。ソプラノがエディット・マチス、テノール;ペーター・シュライアー、バス;テオ・アダムという、往時の独オールスターズといった顔ぶれだ。演奏スタイルも今から見ればひと世代前のものかもしれないが、終始安定したオーソドクスな曲の運び、そしてそれをよくとらえた低域の充実した素晴らしい録音だ。

バッハ自身も無類の珈琲好きで、この曲も彼自身による珈琲賛歌なのだろう。そういえばベートーヴェンも大そう珈琲が好きで、いつも60個の豆の数をきちんと数えて淹れていたという。緻密で隙のない楽曲を作ったベートーヴェンらしいエピソードだ。ぼくは珈琲が好きでほぼ毎日飲むが、豆の数を数えるほどではない。更に、珈琲がキスより千倍も素敵だとは思えない。もっともその辺りをつぶさに検証するチャンスもとんとないのだが…


コープマンと手兵アムステルダムバロック管による劇仕立ての音源。ネットで歌詞を探し、それを見ながら聴くとよく分かると思う。第4曲、フルートのオブリガートにのって歌うソプラノのアリアは4分10秒から。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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