スウィトナー&SKB <シューマン第2>
朝は雨。昼にかけて低気圧通過で強風吹き抜ける大荒れの天気。色付いた街路樹が一気に葉を落とした。ともあれ週末金曜日。きょうはちょうど仕事の切りよく、夕刻に懸案スッキリ処理完了。幾分軽やかな気分で帰途についた。さて、一服して四日ぶりにオーディオのスイッチを入れ、先日調達したCDの検分と相成った。


取り出したのは、オトマール・スウィトナー(1922-2010)指揮ベルリン国立歌劇場管弦楽団(SKB)によるシューマン第2交響曲。Blu-SpecCD仕様で2012年にリリースされた日本コロンビアの廉価盤シリーズの一枚。4番とカップリングされ、もう一枚と合せて、このコンビによるシューマン交響曲全集となっている。1987年、お馴染みのベルリンイエスキリスト教会での録音。
素晴らしい演奏。予想以上というか、期待以上というか…。今まで素通りしてきたおのれの不明を恥じるばかりだ。 70~80年代、度々N響に客演していたスウィトナーしか知らないぼくにとっては、そのぶっきら棒で、およそスタイリッシュという言葉とは縁遠い指揮ぶりばかりが目に焼き付いていて、その結果、出てくる音も程々のスケール感と無難な解釈…かつてはそんなイメージが先に立ってしまっていた。それまで手持ちのスウィトナーの盤といえばモーツァルトが中心で、よい演奏ではあるが、ベートーヴェンやブラームス、シューマンなど、深みとコクのある演奏が期待出来るのだろうかと、半信半疑のところがあったのだ。そのイメージを改めさせてくれたのは、SKBとのベートーヴェンの交響曲全集であり、同団との来日公演のライヴ録音だった。そして、このシューマンもそんなスウィトナーのロマン派交響曲へのアプローチを再認識させてくれる演奏だ。
やや遅めのテンポで入る第1楽章冒頭の序奏から、深々とした弦楽群の展開する響きに引き込まれる。ヴァイオリン群に対向する旋律を奏でる地を這うような低弦群の響きが部屋に広がる。まさにピラミッドバランス。イエスキリスト教会のアコースティックはやや残響過多と感じられるほどだか、そのナチュラルなエコーが演奏のテンポや、アインザッツの深さを決めている。主部は一転して速めのテンポ。アンサンブルもよく、時折り鳴り響く金管群の強奏、印象的なティンパニーの強打、いずれも素晴らしく音楽的だ。第2楽章スケルツォも速めのテンポで推進力み満ちている。第3楽章アダージョ・エスプレシーヴォは一転してしみじみとした歌いっぷり。アーティキュレーションはあっさりとしているが、常に低弦群が雄弁に音楽を支える。オケ全体の音色感も素晴らしく、コクのある響きに酔いしれる。まだ東独時代だったSKBの深くコクのある響き、重厚で深みのある音ながら重苦しさのないバランス。終楽章は活力に満ち、弦楽群とよくブレンドする木管群が活躍する。もちろん最後のティンパニーの強打も申し分ない。
日本コロンビアとドイツシャルプラッテンの共同作業による録音も特筆に値する。PCM録音開始から十年を経てノウハウを積み上げた頃。サヴァリッシュ&SKDによる同じシューマン交響曲全集の録音を思わせる豊かなホールエコーを生かしつつ、細部もよく録れている。アヴァロンで聴くとオケが前後左右に広く深く定位しつつ、木管群の細かな動きもはるか遠くからはっきりと聴こえてきて、オーケストラサウンドを聴く醍醐味にあふれる。 さて、このスウィトナー盤。もう一枚に収録されている第1交響曲は、初稿にあたる1841年版の楽譜による録音とのことで、こちらも楽しみだ。近々まだ取り上げよう。
この盤の音源。全楽章。
以前も貼ったダニエル・ハーディングとマーラー室内管弦楽団による演奏@プロムス2013。少しインタヴューがあって演奏は3分過ぎから。オケは対向配置を取っている。中編成とピリオドスタイルの良さが生きる、クリアかつしなやかで躍動感あふれる演奏だ。第1楽章提示部は繰り返し有り(7分35秒から)。8分50秒から展開部へ。10分25秒あたりからゾクゾクくるところだ。11分過ぎまで緊張感あふれる展開が続く。40分50秒過ぎからの終楽章最後のティンパニー連打はいつ聴いても興奮する。
★★追伸★★
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