ベーム&ベルリンフィル モーツァルト;協奏交響曲


きのう五嶋みどりと今井信子のモーツァルト;協奏交響曲を聴いていたとき、カール・ベームとベルリンフィルのメンバーによるLPがあったことを思い出した。今夜はそれを聴くことにした。70年代終盤に出ていたグラモフォンの廉価盤シリーズの1枚で、このヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲と管楽器のための協奏交響曲がカップリングされている(こちらで試聴も)。


ベーム&ベルリンフィル モーツァルト協奏交響曲


カール・ベームといえば、ぼくら世代は70年代後半のウィーンフィルとのコンビで人気を博していた頃を思い出す。日本にもウィーンフィルと再三来日し、万雷の拍手を受けた。それに先立つ60年代、ベームは当時カラヤンの手兵となっていたベルリンフィルとモーツァルトの交響曲集やシューベルトの交響曲などを録音している。60年代は契約の関係でウィーンフィルは英デッカとの録音が主体で、ベームと独グラモフォンへ録音することが出来なかったと何かで読んだ。70年代になってこの制約がなくなり、ベームはウィーンフィルとベートーベンやブラームスの交響曲全集を立て続けに録音する。このモーツァルトは60年代半ばの録音で、当時ベルリンフィルと進めていたモーツァルト交響曲全集録音の一貫として録られたものと思われる。独奏を務めているのは、当時のベルリンフィルの弦楽セクション第1奏者であったトーマス・ブランディス(ヴァイオリン)とジュスト・カッポーネ(ヴィオラ)である。

いつも通り、少し重めの針圧をかけたスタントンのカートリッジを静かに下ろす。わずかなスクラッチノイズに続いてベルリンフィルのトゥッティが響く。きのう聴いたエッシェンバッハ&NDR響とは随分響きと曲作りが違う。ベーム・ベルリンフィルはしっかりとした骨格が分かる響きが印象的だ。流麗、なめらか、美音、というキーワードとは遠い。これがベームの個性であり、ベルリンフィルのベームに対する応答なのだろう。それでも同じコンビによるモーツァルトの交響曲に比べると、この盤は曲の性格からた柔和でしなやかな表情も感じさせる。特に第2楽章はエッシェンバッハ盤との違いが際立っていて、堂々とした展開でスケールが大きい。

二人の独奏は、中音域がしっかり詰まった充実した音と、ベーム・ベルリンフィルのやや古風な曲の運びにマッチした弾きぶりが印象的で、単なる美しさだけと求める姿勢とは対極だ。第2楽章の憂いに満ちたメロディーとヴァイオリン・ヴィオラ両独奏パートの掛け合いには、この盤の二人のような音色がむしろ似つかわしいかもしれない。特にヴァイオリンに続いて出てくるジュスト・カッポーネのヴィオラはまるでチェロのように響く。

昨晩聴いた五嶋みどり・今井信子・エッシェンバッハの演奏は、もちろんピリオド楽器による今風のものではなく、現代の尺度からすればむしろオーソドクスでコンサヴァティブな曲作りだ。但し独奏もオケも音色は滑らかで美しい。第2楽章の表情付けも、ベーム盤の無骨ともいえる素っ気なさに比べ、きめ細やかでデリケートな表現だ。録音の違いによる差もあるだろうが、ベームの演奏に代表されるような60年代までのスタイルと明らかに違う。こうして聴き比べてみると、時代によって演奏スタイルは確実に変化していることを実感する。

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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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