ギュンター・ヴァント&NDR響 <ブラームス交響曲集>



クリスマスの夜。職場の同僚数名とプチ忘年会兼クリスマス飲み会。ほどほどに切り上げて帰途につく。下車最寄り駅近くの小料理屋。一人で店を切り盛りしている女将とはここ十数年来の馴染み。年の頃は四十代後半だろうか。もっとも見かけはずっと若く見える。いつも髪をきりっとひっつめにし、地味ながら趣味のいい着物を着こなしている。ぼくを下戸と知って、時より立ち寄ってカウンターに座ると、まず出てくるのはいつも熱いほうじ茶だ。 「はい、どうぞ。お茶。」「ありがとう。お客さんいないねえ」「クリスマスはねえ、みなさんアットホームですって。でも、こんなに誰も来ないなんて珍しいわ。夕方から与太さん一人よ。」「ああ、そう。じゃあもうかんばんにするところだったのかな。すまないねえ。」「いいんですよ。店閉めても、私もやることないから。それより…」「それより、なあに?」「うん?せっかく与太さんと二人になれたから、私も一緒にいただこうかな。横に座ってもいいかしら。」

…とまあ、そんな話はきのうに続き、あるはずもなく、本日も業務に精励。8時チョイ過ぎに帰宅と相成りましたよ。
さて、夜更けの音盤タイム。本日は硬派路線に戻って、こんな盤を取り出した。


DSCN0272 (480x480)  DSCN0276 (480x480)


ギュンター・ヴァント指揮NDR響(北ドイツ放送交響楽団)によるブラームスの交響曲集。1995年から97年にかけ、NDRの本拠地ハンブルグのムジークハレで録られている。今夜はそのうち第1番をプレイヤーにセットし、第2楽章から聴いている。これもだいぶ前に一度記事に書いているので再掲しておく。

何度か取り上げているチェリビダッケ盤といい、このヴァント盤といい、共に録音が素晴らしくいい。<録音がいい>ではあまりに漠然としているが、ここで言う録音の良さとはオーケストラの響きの捉え方のことだ。ヨーロッパのコンサートホールに響く管弦楽は正にこういう響きだろうと想像できる録音。すべての音が程よい距離感をもって柔らかく溶け合い、それでいて各パートの音は明瞭だ。チェロ・バスの深い響きの上にヴァイオリン群が広がりをもって展開する。その奥から木管が整ったピッチで聴こえてくる。広々としたホールの空間に柔らかなホルンが響く。左右のスピーカーを2メートルほど離し、それを底辺とする正三角形の頂点に座って聴けば、オーディオセットのグレードに関わらず、安直なミニコンポでもこの響きを実感できる。四畳半の部屋でも十分可能なセッティングだ。もちろん、わがアヴァロンは左右奥行きとも素晴らしくよく展開する。

ヴァントは晩年になってもテンポが遅くならなかった数少ない指揮者といわれる。この録音当時八十代半ばだったが、テンポは中庸ながら決してもたれず、ビートがしっかり刻まれている。特に第2楽章のような緩徐楽章でもはっきりとテンポ感を保っている。一方響きのコントロールという点ではチェリビダッケ以上にクリアで各パートが明確に分離している。一聴すると響きが薄いようにさえ感じるほどだ。チェリビダッケの盤は聴衆入りのコンサートライヴあるいは放送用公開録音であったが、ヴァントの録音はセッション録音のため、より条件が整えられていることもあるだろう。ヴァイオリン群や木管群の高い音からコントラバスの基音までしっかりかつ明瞭に録られている。従って音楽はこの上なく精緻で身の引き締まるような緊張感に満ち、その緊張感がオケ全体の響きとホールトーンの中で心地よく解放される。こういう演奏と録音を聴いていると、決してボリュームを上げなくても、再生音楽としてのオーケストラ演奏を充分楽しめることが分かる。


1997年NDR響とのライヴで第1番の第2楽章。この盤とほぼ同時期と思われる。緩徐楽章ではあるがテンポはもたれず心地よく進む。ヴァント自身の身体も上下に動きしっかりビートを刻んでいるのが分かる。また一つ一つの音やフレーズの重心の置き方、音を縦に打ち込むのか横に流して解放するのかなど、その指揮から実によく分かる。素人のクラシックギター弾きや田舎のアマチュアマンドリン楽団も、このような指揮振りや演奏から汲み取るべきものは沢山ある。やはり広く音楽に接しないといけない。



★★追伸★★
ブログランキングポイントは下降傾向。引き続き、下記のバナークリック<一日一打>のほど、お願いいたします。
■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

カレンダー
10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -
最新記事
最新コメント
カテゴリ
月別アーカイブ
リンク
QRコード
QR
閲覧御礼(2010.10.01より)