スウィトナー&SKB ブルックナー第五交響曲



きょう1月3日も当地は典型的な冬型快晴。風もなく穏やかな一日だった。どうやらこのまま調子だとこの冬は異例の暖冬となりそうだ。写真は当地から眺めた名峰:赤城山。標高1828m。アルペン的な風貌はまったくなく、富士山より長いというその裾野だけが印象的な山で、いかにも日本的か。こんな山を見て思い起こす音楽は何かと考えた。山の音楽というと、リヒャルト・シュトラウスのアルプス交響曲が思い出されるが、この赤城山には似つかわしくない。何となくおっとりしていて、それでいて雄大で…と思いを巡らし、この盤を取り出した。


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ブルックナーの交響曲第5番。昨年秋からあらためて一連の録音を聴き直しているオトマール・スウィトナーとシュターツカペレ・ベルリン(SKB)の盤。1990年1月録音。手持ちの盤は数年前にキングレコードから廉価盤でリリースされたときのもの。同コンビによるブルックナーは1986年の第8番以降順次録音がなされ、1、4、7、そしてこの5番まで進んだところで病気により中断。折からの東西ドイツ統合、SKBシェフ交代(スウィトナー⇒バレンボイム)もあって、結局全曲録音には至らなかった。


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音が出始めていきなり驚く。第1楽章冒頭、低弦群のピチカートのテンポが速い。思い入れもなくスイスイと歩みを進める。これには少々拍子抜けだ。この曲を30年以上前にケンペとミュンヘンフィルの盤で知り、馴染んだ耳には、この第1楽章のピチカートはもっと意味深く弾いてもらいたい。もちろんゆったりとしたテンポがほしい。主部に入っても音楽は横へ横へとスムースに流れていく。縦に杭を打ち込んでいくようなスタイルではない。気になったので手持ちの盤のいくつかについて、第1楽章の演奏時間を調べてみた。

スウィトナー&シュターツカペレ・ベルリン  18分41秒
ケンペ&ミュンヘンフィル            20分56秒
マタチッチ&チェコフィル            19分25秒
チェリビダッケ&ミュンヘンフィル       23分21秒

やはり最速だ。もちろん音響として軽くはないし、SKBは極上のバランスで素晴らしい音を録音会場のイエス・キリスト教会に響かせている。ただ、いささか食い足らない。アダージョ指定の第2楽章も速めのテンポに変わりなく、音楽はもたれることなく先へ先へと進む。続く第3楽章スケルツォもさぞ急速調かと思うと、ここは中庸で落ち着いた運びとなる。そしてこの曲の聴きどころ最終楽章。クライマックスの二重フーガへの道のりも速め速めに進んでいく。繰り返すが、オケの音響は素晴らしく、管楽器群のバランスも良好で不足感はない。食い足らないといったのは、もっと重心の低い演奏(単なる音響としてではなく解釈として)を期待あるいは予想していたからだ。よく考えればスウィトナーは元々そういうタイプではない。総じてこのブルックナーは、第5番と聞いて連想するような、壮大なゴシック建築を築き上げていくような演奏ではなく、テンポをかなり自在に動かしつつ美しくスムースに流れるブルックナー。ケンペ盤やチェリビダッケ盤の対極ともいえる演奏として価値ある録音だ。


この演奏の第1楽章


同じく第4楽章コーダ。この曲は最終楽章のこのコーダ3分余を聴くためにそれまでの70分近い時間があるといってもいい程だ。いつ聴いても興奮を禁じえない。



以下のサイトに、この録音の少し前に録られたブラームス<ハンガリー舞曲>の録音にまつわる話と晩年のスウィトナーの様子を伝える話が載っている。
http://columbia.jp/kono1mai/075suitner.html


さて、きょうで休みも終わり、明日から仕事開始だ。暖冬とはいえ、寒さはこれからが本番。
まあ、今年もボチボチやっていきましょうかね。


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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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