神尾真由子(Vn)のチャイコフスキー



本日仕事始め。普段からボーッとしているせいか、休み明けだからといっていつもと変わることもなく、終日業務に精励。それでも一日少々長く感じたかなあと思いつつ、定時に退勤と相成った。きょうも暖かい一日。当地関東は三月末から四月上旬の陽気だった由。今週末からは寒波到来の予報だが、どうなることか。さて、ひと息ついて今宵の一枚。音盤棚を眺め回してこんな盤を取り出した。


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2007年チャイコフスキーコンクールの覇者;神尾真由子の弾くチャイコフスキー;ヴァイオリン協奏曲。だいぶ前に一度記事にしているので再掲。実はこの盤、仕事の付き合いで知り合ったH氏から数年前にいただいたもの。昔チェロを弾いていたことがあるというそのH氏にだいぶ以前、あいさつ代わりにフルニエの弾くブラームスのチェロソナタのアルバムを差し上げたことがあった。年に一度か二度ほんの少しの時間会うだけの関係だが、同好の志という気安さもあってか、随分長くお付き合いをしているような錯覚におちいる。そのH氏がぜひ聴いてみてくれと持参してくれたのがこの盤だ。

話題にのぼる若い演奏家を追いかける気力も情報量もないので、神尾真由子の名前はもちろん知っていたが音を聴くのはこの盤が初めてだ。2010年6月の録音で、クルト・ザンデルリンク(1912-2011)の長男;トーマス・ザンデルリンク(1942-)が指揮するイギリスの名門;ハレ管弦楽団が伴奏を付けている。

第1楽章からじっくりと聴き進める。序奏部のオケは随分と静かに入り、幾分控えめに曲が進む。神尾真由子のソロは録音の録り方もあるのか、極めて透明度が高く緊張感のある音だ。主部に入ってもテンポはやや遅めの設定。オケの鳴りも抑え気味で、その上を彼女のソロがやや細身に感じる音色で、しかしメロディーの歌い方はじっくりたっぷりと弾き進める。オーケストラはやや控え目ながら横方向、奥行きとも広がりのある録音で美しく録られ、その中に神尾真由子のソロが透明度の高い音で浮かびあがる。ちょっと独特の雰囲気のある録音だが、20分かかる第1楽章を半分ほど聴いた頃、この盤の響きに馴染んできた。マンチェスターにあるBBCのスタジオで録音されたとライナーノーツにあるが、このスタジオライブを聴いているイメージだ。

彼女は6歳のときにこの曲に出会い、特に第2楽章に心ひかれたという。その第2楽章は第1楽章以上にカンタービレが効いている。かなり積極的に強弱を付け、ヴィブラートなどもかなりたっぷりかける場面もあるのだが、音色の透明度が高いので決して厚化粧には聴こえず、好感が持てる歌いっぷりだ。第3楽章はこれまでの抑え気味の表現を打ち破るように快速に弾き進めるが、勢いに任せてラフになるところはない。もちろん技巧的にはまったく破綻はなく、透明感あふれる音色もそのままだ。トーマス・ザンデルリンクのオーケストラコントロールはここでも決して大声を立てないので、オケの響きに埋もれがちのソロ・ヴァイオリンの細かなパッセージもよく聴こえてくる、見通しのよい演奏だ。

こうして聴き進めてみるとこの演奏は、神尾真由子という若く勢いのある演奏家がその若さと勢いをぶつけたという演奏ではなく、むしろチャイコフスキーコンクールから3年を経て、この曲を冷静に見つめ、この曲のもつ華麗で豪奢な雰囲気を一旦横において、じっくりと歌い込んだという印象が強い。指揮者のトーマス・ザンデルリンクもそうした姿勢を後押しするかのように、熱っぽさよりは広がりと余裕のある伴奏を付けているように感じる。


この録音のメイキングビデオ。


第3楽章。2007年10月のライヴ@サントリーホール。チャイコフスキーコンクールが同年6月だったので、凱旋公演というところだろうか。原田幸一郎指揮日本フィルのバック。



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ハレ管弦楽団も巧いですね ^_^

メイキングビデオ、良いですね。こういう録音風景を見るのは大好きなんです ^_^
演奏者の曲に対する姿勢が伝わってきます。
神尾さんの度胸の据わった堂々たる演奏が素晴らしいです。

Re: ハレ管弦楽団も巧いですね ^_^

akifuyu102さん、こんばんは。今年も宜しくお願いいたします。
ハレ管弦楽団はやはり名門なのでしょうね。バルビローリ時代には多くの録音も残しましたから。
そもそもイギリスのオケはいずれもレベルが高いと聞きました。ドイツやフランスのオケより柔軟性もありそうだし、英国風の中庸の美というか良識的というか…。指揮者色に染まるのも得意なのでしょうね。

プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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