ムローヴァの<バッハ無伴奏パルティータ>



ようやく寒波到来。きょうの関東地方は久々に冷え込み、東京都心でも小雪が舞った。今まで暖かかっただけに実際の気温以上に寒く感じる。 さて年明けから一週間。仕事も完全平常ペースとなり、年度末に向けてぼちぼちラストスパートの時期だ。そんな中、きのうから処理している案件に思いのほか手こずり、きょうは少々後味の悪い退勤。まあ、そんな日もあるさと、ぶつぶつ言いながら帰宅。ひと息ついて気分を落ち着かせようと、こんな盤を取り出した。


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ヴィクトリア・ムローヴァの弾くバッハの無伴奏パルティータ3曲を収めた盤。1992年から93年にかけて録音。これもだいぶ前に一度記事にしているので再掲。 実はこの盤のあと、当然のように無伴奏ソナタの盤が出るだろうと思っていたが一向に録音されなかった。ムローヴァはその後ガーディナーやアーノンクールら古楽領域の演奏家と交流するうちに、次第にモダンスタイルから離れて、ピリオドスタイルのバッハを演奏するようになった。そして2007年にいたってようやくバッハ無伴奏作品の全曲を1750年製のガダニーニとバロック弓を使って録音することになる。手元のこの盤フィリップス盤はそうしたスタイルに移行する前の、モダンスタイルの彼女のバッハ演奏ということになる。

そうはいってもこうして聴くと随所にその後のピリオドスタイルへの萌芽を感じさせる。ヴィブラートは控え目で、フレーズの終わりのロングトーンなどはほとんどノンヴィブラートでスーッと音を伸ばしてフレーズを閉じている。弓への圧力も控えめなのか、音を太くたくましく鳴らすようなところがなく、極めて美しい音がややゆっくりめのテンポでよどみなく繰り出される。その結果、正確な音程と共に清涼感あふれる音楽が続く。眉間にしわを寄せて深遠なバッハにひたるバッハ演奏ではない。それでは清涼感だけのBGMかといえば、もちろんそうではない。ムローヴァの組み立てる音楽の骨格や個々のフレーズやアーティキュレーションの扱いが明確で聴く側にしっかり伝わってくる。そのために決して薄味の印象にはならないのだ。こうしてあらためてムローヴァの優れたバッハ演奏に接すると、その後十数年を経て2007~08年に再録された録音を聴いてみたくなる。


パルティータ第2番ニ短調の終曲<シャコンヌ>。1999年の演奏。


同上。2010年の演奏。


近年、芸域拡大中。


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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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