ムラヴィンスキー1973年東京ライヴ



きょうは大寒。十二月以来ずっと暖冬暖冬を言ってきたがここへきてようやく寒さも本番だ。ここ数日、朝の冷え込みは氷点下。家の影になる路地では、先日の降雪の名残がガチガチに凍っている。今週末にはまた雪の予報だが、さてどうなるか。ほどほどの雪は風情があるが、ほどほどの程度が問題だ。
さて、きょうは週末手前の木曜日。本日も業務に精励。8時少し過ぎに帰宅した。先週末からのロシアシフトの続きでこんな盤を取り出した。


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前回の記事に書いたエフゲニー・ムラヴィンスキー。五十代以上の音楽ファンには、その威厳に満ちた風貌や手兵レニングラード・フィルとの名演の数々を思い浮かべるだろう。まさに東西冷戦時代を通じて20世紀の巨匠として君臨した指揮者の一人だ。今夜取り出した盤は1973年彼らが待望の初来日を果たした際のライヴ録音。飛行機嫌いのムラヴィンスキーはシベリア鉄道と船を使って日本まで来た。とんでもない地の果てに行くつもりだったらしいが、初来日で大そう日本が気に入り、その後数回に渡り来日を繰り返すことになった。1973年5月26日東京文化会館での演奏。半年後には第一次オイルショックで日本中が大騒ぎになった年だ。収録曲はベートーヴェンの交響曲第4番とリャードフとグラズノフの小品2曲。同日に演奏されたショスタコーヴィッチの第5番も別の盤で出ている。

何といってもベートーヴェンの4番が素晴らしい。この演奏はベートーヴェンの時代の様式感とかウィーン古典派でありながら斬新な創意に満ちた佳曲…といった位置付けにはない。どこをとってもムラヴィンスキーとレニングラードフィルのベートーヴェンだ。全編通して極めて整ったアンサンブルが印象的で、ジャケット写真を見るとかなり大きな編成で演奏されたと思われるが、音だけ聴いているとそんな印象はない。各パートとも音程が正確で縦の線が揃っているために、オケの音が肥大化しない。まさに筋肉質の演奏だ。しかもエネルギーの集中はもの凄く、ここぞというときのフォルテやアクセントでは爆発的なパワーを発揮する。

長身で眼光鋭いムラヴィンスキーににらまれ、団員達もさぞ緊張していたに違いないが、この曲の随所に出てくる木管群の聴かせどころでも、いずれも切れ味のよい技巧をみせてくれる。弦楽群のアンサンブルも少々大げさな表現だが筆舌に尽くしがたい。速いパッセージを弾くコントラバスもビシッと揃っている。ムラヴィンスキー&レニングラードフィルの演奏はセッション録音でもチャイコフスキーの後期交響曲など素晴らしい盤を残しているが、やはりライヴにこそ真髄がある。内角胸元鋭くえぐるカミソリシュート。そんな感じのする今時聴けない演奏だ。


この盤の音源。ベートーヴェン第4交響曲。



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ムラヴィンスキー、レニングラードフィルの初来日本当に印象的でした。私が行ったのはショスタコとチャイコの5番の日に行ったのです。チケットもこちらのほうが先に売れてたようでしたが、ベートーベンの四番が凄く良かったと両方行けた羨ましい友人に聞いたのが記憶に残っていて、このCDすぐに入手したのもすでに思い出です。当日の赤い表紙の豪華なパンフレットも宝物です。

Re: タイトルなし

リベルテさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
それは素晴らしいご経験をされたのですね。おそらく会場に居合わせた聴衆もまた、レニングラードの団員達と同じように、ムラヴィンスキーのオーラに陶酔していたことでしょう。私は録音で聴くしかありませんでしが、あのコンビは、何事もグローバル化と称して均質化されてしまう現代には不可能な存在でしょう。
プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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