アンチェル&チェコフィル <わが祖国>全曲



まだ続くのぉ~?アンチェル&チェコフィル…。手持ちの盤を取り上げているとあと数回は続きそうだが、一旦きょうで終わりにしておこう。…というわけで、今夜はこのコンビの本命ともいうべき一枚を取り出した。


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カレル・アンチェル指揮チェコフィルハーモニーによるスメタナの連作交響詩<わが祖国>の全曲盤。これもしばらく前にアンチェルの録音が廉価盤でまとまってリリースされた際の1枚。今もシリーズを変えて入手可能だ。

先日聴いた管弦楽名曲集ではキレのいい、スッキリと引き締まった造形を聴かせてくれたアンチェルとチェコフィルだが、この盤ではやや趣きが異なり、ブラームス同様少しロマンティックに寄った解釈をみせる。やはり曲が曲だけに、彼ら自身の血に直接訴えるのだろうか、あるいは聴く側のぼくの方に心理的バイアスが加わるのか、多分その両方だろう。有名な第2曲ヴラタヴァ<モルダウ>など聴いていると、テンポはゆっくり目だし、前半もやや抑え気味の表情付けで実にしみじみと歌いぬく。先日のオーケストラピースとはやはり明らかに違う。また第3曲のシャールカでは終盤の劇的な展開に目を見張る。第5曲<ターボル>冒頭の序奏では、強烈なティンパ二の強打と、終始浸透力のあるファンファーレを聴かせる金管群が印象的だ。チェコの殉教者;ヤン・フスの不屈の魂を表現しているのだろう。

こうして連作交響詩<わが祖国>全曲をあらためて聴いてみると、その名の通り、様々なモチーフを連ねた実に立派な交響作品で、大規模な広義のソナタとしての交響曲とは当然異なる趣きだが、モルダウの美しい旋律だけに耳を奪われず、ぜひ他の曲も通して楽しみたいと、今更ながらに感じた次第だ。


貴重な映像。ステージの上に<1968年プラハの春音楽祭=Prazké jaro>の表記が見られる。音楽祭の開催がスメタナの命日に合せた五月初め。この年の夏以降ソ連侵攻によりチェコ動乱が始まることになり、そしてアンチェルは翌年亡命し祖国を離れる。何度かこのステージを踏んだアンチェル&チェコフィルの最後の演奏だったに違いない。残念ながら音はモノラルで冴えない。



モルダウの後半。晩年を送ったカナダでの演奏がこちらに。1969年、小澤征爾のあとを受けるかたちでトロント交響楽団のシェフになったが、4年後の1973年には世を去った。https://youtu.be/FvhQ2JwsnWA


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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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