エルガー 弦楽セレナーデ



立春を過ぎ、日もだいぶ延びてきた。五時に退勤するとまだ明るい。朝晩はまだ寒さにふるえるが、それでも空気は心なしかゆるんで春の気配。しかし喜んでばかりはいられない。花粉もスタンバイの時期だ。
きょうは夕方から知人と会い、十時を過ぎて帰宅。ひと息ついて日付が変わる時刻だが、ナイトキャップ代わりにこんな盤を取り出した。


Edward-Elgar.jpg   DSCN0709 (480x480)


イムジチ合奏団が弦楽合奏のための近現代作品を取り上げた一枚(以前も記事にしているので再掲)。1985年録音。時代はCDへ移行の真っ最中。新譜アルバムのアナログ盤リリースが無くなり始めた頃だろうか。この盤も蘭フィリップスの輸入原盤に日本語の解説シートを付す形でリリースされている。収録曲は以下の通り。イタリアあり、アメリカあり、イギリスありのユニークな選曲だ。

レスピーギ   ; リュートのための古風な舞曲とアリア第3組曲
バーバー    ; 弦楽のためのアダージョ(弦楽四重奏曲ロ短調op.11より
ニーノ・ロータ ; 弦楽のための協奏曲
エルガー    ; 弦楽セレナード ホ短調op.20

この盤にはバーバーとエルガーの弦楽合奏の名曲が入っているところが気に入っている。映画音楽で有名なニーノ・ロータの作品も珍しい。イ・ムジチにとってはお国物というところか。エルガーは、パーセル以来途絶えて久しかったイギリス音楽における中興の祖をいわれる。ときに近現代的な和声感、ときに穏やかなロマンティシズム、それらが同居する作風。針を落とした弦楽セレナーデは、その穏やかなロマンティシズムの方を代表する作品だろう。アレグロ・ヴィヴァーチェの指定ながら、どこか憂いを秘めた第1楽章、深い抒情に満ちた旋律が歌われる第2楽章、軽快なフレーズに揺れるうちに、第1楽章の主題に回帰する第3楽章。美しいイギリス音楽の見本のような曲だ。イ・ムジチの演奏は音響的な美しさに関しては文句なしの出来栄え。もっと渋めの演奏を聴きたくもなるが、これはこれで十分素晴らしい。
エルガーの他の曲、チェロ協奏曲、ヴァイオリン協奏曲、エニグマ変奏曲、序奏とアレグロ、2つの交響曲など、いずれも傑作揃い。「愛の挨拶」と「威風堂々」ばかりではエルガーも可哀相だ。メディアももっと広く取り上げてほしい。


エルガー <弦楽セレナーデ>第2楽章。韓国のアマチュア・オケの演奏。中々濃いめの味付けだ。


エルガー <弦楽セレナーデ>全曲。


バーバー <弦楽のためのアダージョ> フィンランドの古都;ラハティのオケ。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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