F.ソル 二重奏曲集



朝晩は引き続き冷え込むものの、日中の陽射しは随分柔らかく、冬も峠を越えた感あり。週半ばの水曜日。朝からずっと、少々ややこしい案件に手こずっていたが、程々で手を打つことにし、居残り仕事もそう遅くならないうちに退勤となった。帰宅後ひと息ついてアンプの灯を入れ、さて久々にギターでも聴こうかと、こんな盤を取り出した。


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若き日のデヴィッド・ラッセルとラファエラ・スミッツによるフェルナンド・ソル作曲の二重奏曲集(だいぶ以前に一度記事にしている)。1984年の録音。収録曲は以下の通り。

 (1) 喜遊曲 OP.38
 (2) 二人の友(幻想曲)OP.41
 (3) 幻想曲 OP.54bis
 (4) 喜遊曲 OP.62

曲はいずれもソルの作品らしく音楽的な充実感に満ちたもので、特に名曲OP.54bisはいつ聴いても素晴らしい。OP.62もポロネーズ風の指定がある後半はOP.54bisの作風に近く、スパニッシュの趣きがある。
演奏はいかにも若き日の二人のもので、実に生真面目に弾いている。もちろん技巧面での不安はまったくないし、ギルバート製のギターからはモダンギターの理想的ともいえる艶やかな音が繰り出されている。ぼくのこの歳になって聴くと、もう少し遊び心があったもいいのではないかと感じてしまう。せっかく達者の二人が揃っているのだから、すべてに余裕をもって弾けるはずだ、その余裕を技巧面でなく、音楽の聴かせどころへの配慮に注いぎたいところだ。具体的にはフレーズとフレーズのつなぎを少々急ぎすぎるように感じる。小節内の次の音へのアクションが少し前のめりになる。今の二人であれば、きっと相当違ったアプローチをするに違いない。

19世紀ギターによる演奏を二つ貼っておく。
まず名曲OP.54bis。以前も取り上げたクラウディオ・マッカリとパオロ・プリエーゼという二人組みによるノリノリの演奏。この曲は中々の難曲。自称アマチュア中級レベルでは少々難しい。



こちらはデンマークの二人組によるOP.34ラン・クラージュマン出だしの部分。楽器はもちろんだが、衣装や椅子や譜面台などの調度品まで意を配り、アンティークかつオーセンティックで中々興味深い。この曲はOp.54bisよりはずっと弾き易い。ぼくも学生時代に合せたことがある。



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非公開コメント

あれ?
女性二人のデュオかと思ったら、、、片方はデビッド・ラッセル?(^_^;(笑)

Re:

なるほど…そうも見えるかぁ〜(^ ^)
若き日のラッセルですが、今も雰囲気は変わりませんね。多弦ギター弾きだった相方のラファエラ・スミッツも現役活躍中のようです。
http://www.rsmits.com



No title

こんばんは。
OP.54bisの動画の演奏はすばらしいですね。
立奏ってのも、あこがれるというか のれそうというか 気持ちよさそうです。
あの奏者、指頭奏法なんでしょうか?いまいちよく見えませんでしたが。
会社の昼休みにイヤフォンで聴いてたのですが、もっといい音で聴きたくなって
思わずアマゾンでポチっとしてしまいました。
まねしてシェアのも考えましたが、もうチョイお安めのゼンハイザ選んで見ました。

Re: No title

FM大野さん、こんばんは。
フチ子ネタ…以来でしょうか(^^;

> 立奏ってのも、あこがれるというか のれそうというか 気持ちよさそうです。

完全に暗譜し、かつ相当弾き込んでいるようで、曲も指使いも完全に手中に収めているという感じですね。

> あの奏者、指頭奏法なんでしょうか?いまいちよく見えませんでしたが。

爪が完全にないかどうかは、ちょっと分かりませんが、とても軽いタッチで弾いていますね。音をしっかり出すという感じではなく、オリジナル楽器のもっている反応の良さを生かして、子音のニュアンスがよく出た音だと思います。

ヘッドフォン…それは楽しみですね。また感想を聞かせて下さい。
プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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