荘村清志(G)



きのうの渡辺範彦で思い出した。70年代の若手人気ギタリストといえば荘村清志だ。


<荘村清志 1974年>                <荘村清志 2008年>
shoumura_kiyoshi_1977.jpg  shoumura_kiyoshi_2008.jpg

<1973年夏 当地来演時のサイン>
syoumura_kiyoshi_maebashi.jpg


1970年代、日本のクラシックギター界の明日を背負っていた若手演奏家が三人いた。全員が同じ1947年生まれの渡辺範彦、芳志戸幹雄、荘村清志の三人だ。残念なことにこのうち二人はすで他界している。芳志戸幹雄は嘱望されながら1996年に49歳で亡くなった。パリ国際コンクールで日本人として初めて優勝した渡辺範彦についてはきのうの記事に記した通り。そして唯一70年代には一般の音楽ファンにも人気も博した荘村清志だけが今も活躍している。

写真のアルバムは1974年の録音で、荘村清志が人気のピークにあった頃のものだ。数年前、出張の際にJR長野駅前の書店で開かれていた中古レコード市で見つけて出張カバンに入れてきた。この当時の彼をぼくは3度ほど聴いている。1973年に当地前橋に来演したときは楽屋までいって、楽譜にサインをしてもらった。その楽譜は今もときどき引っ張り出して弾くことがある。

この盤では、ダウランドのリュート曲、バッハのリュート組曲第1番、それとヴィラ=ロボスの前奏曲と練習曲からの抜粋を弾いている。レコードの音を聴いて、当時の彼のステージから聴こえてきた音を思い出した。楽器は確かラミレスだった。大きな手でそのラミレスからたっぷりとした音が聴こえてきた。特に低音が特徴的で、ややつぶれたような感じの独特な低音で、高音も含めて美音ではなかったが、ともかくダイナミックだった。特にこの盤でも弾いているヴィラ=ロボスは圧巻で、技巧的なパッセージでも音量が落ちることなく、鮮やかに弾いていた。このバッハなど聴くと流麗とは言い難いし、フレーズも途切れ途切れのところが散見される。21世紀の若手たちはもっと美しく完璧に弾くことだろう。この盤は70年代の、良くも悪くも当時の日本におけるクラシックギターの記録だ。荘村清志も80年代から90年代にやや低迷した時期があったが、近年再び活発に活動している。来年には古希を迎える年齢になったが、一層円熟した演奏を聴かせて欲しい。


近年の演奏。バリオス<郷愁のショーロ>。
ぼくら世代のかつてのギター小僧達は、荘村清志の演奏でこの曲を知った輩も多いだろう。


タレガ<グランホタ> 2000年の演奏とのこと。この映像を見ると、髪型からして70年代の面影を強く感じる。


近況を語る様子。2014年。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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