G・グールド モーツァルト 幻想曲ハ短調 K.475



東京都内では桜の開花宣言があったが、関東全体でみればまだまだこれから。北関東の当地はきょうも意外に気温上がらず、風の冷たい一日だった。さて、三連休も終わり、あすからまた仕事という晩。早めに休もうと思いつつ、少し時間があるので、久しぶりにグールドのボックスセットから1枚選んで聴くことにした。


GG_WAM_475_1.jpg  GG_WAM_475_2.jpg


モーツァルトのピアノソナタ全曲録音中の1枚。幻想曲ハ短調K.475とピアノソナタ第14番ハ短調K.457、それと同第16番変ロ長調K.570、同第17番ニ長調K.576、以上の曲が収まっている盤。K.475の幻想曲とK.457のソナタは調性も同じハ短調で、出版も2曲を併せて行われたことから、一対の作品として扱われることが多い。この盤でのグールドの扱いもそれに準じる。この2曲と他の曲も含め、モーツァルトの充実した後期作品が並んでいる。

グールドのモーツァルト演奏はバッハ同様すべてが明晰で、各声部がダンゴにならずに弾き分けられ、主要なモチーフがすっきりと浮き彫りにされる。まるでモーツァルトの書いた音を間引きしているのではないかと思うほどだ。さりげなく弾いているようで、高度な技術でコントロールされているのが分かる。和音やフレーズの緊張と解決、それを実現するための適切なアクセント、レガートとノンレガートの使い分け、倚音(いおん)の扱い、そういう音楽の基本的な法則と技術が的確になされている感じを受ける。とかくエキセントリックな側面だけが強調されるグールドだが、よく聴けば実にオーソドックスにやるべきことをやっているようの思えるのだ。幻想曲やK.457の第2楽章などでは深く瞑想的な展開もみせるが、決して重くは感じない。音響的にも、いつも通りモダン楽器の雄;スタインウェイで弾いているのだろうが、楽器のチューニングと合わせてモーツァルト時代のピアノフォルテによる音のイメージを意識した演奏だ。


別の曲だが、グールドのモーツァルト演奏がよくわかる動画あったので貼っておこう。第13番の第1楽章。この演奏のどこが風変わりだというのだろうか。実にセオリー通りのいい演奏だ思うがどうだろう。チャーミングでありながら、同時にスケール大きく豊かに音楽が流れる。


この盤に収められている第14番ハ短調の第1楽章。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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